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とらぶる❤  作者: 彩月莉音
第4章 ドッキドッキな野宿体験学習
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第85話

 突然に、トリスたちの担任であるラジュールが、剣術科の生徒たちの様子を、巡回しているカイルの元に現れた。

 全然、訪ねてくる予定がなかったのだ。

 それにもかかわらず、姿をみせたラジュールに、表情を曇らせる。


「何か、あったのか?」

 魔法科で、何事かあったのかと、勘ぐっていた。

「いや。警備の打ち合わせだ」


 いろいろと、思案しているカイルと違い、ラジュールが平然と構えている。

 そんな落ち着き払っている仕草に、ムッとしていた。


「お前じゃなく、他の教師がいるだろう」

 密かに、隠れて警備している教師がいるのだ。

 ラジュールではなく、その者に頼めと、示しているのだが、全然効果がない。

「私の方が、早い」


 即効で返す姿に、だからと言って、担任のお前が出てくるなと、突っ込みたくなったが、ここは、グッと堪えていた。

 先に、済ます用件が、あったからだ。

「……念のために聞くが? 生徒たちは、どうした?」

「私が、いなくても、大丈夫だろう」

 顔色一つ変えない。


「……放置してきたのか」

 言動に、頭を痛める。

「いつのもことだ」

 悪びれる様子がなかった。


「今は、違うだろうが」

 眼光鋭く、非難している。

 だが、相手は痛くも、痒くもなく、やり過ごしていた。

 ますます、腹立たしくなる。

 必要最小限にしか、相手とかかわらない、ラジュールの昔から、一貫している性格に、しょうがないやつと思わなくなかったが、魔法科の生徒たちが、こんな欠陥だらけの教師に、教わった可哀想だと哀れむのだった。


「変わらん」

「お前な……、もう少し教師として、生徒たちに関心を向けろよ」

「もうガキじゃない。分別ぐらいは、あるだろう」

「……当時の俺たちには、あったか?」

「私にはあった」

 当然のことだと言うふうな顔を、覗かせている。


「どの口が、自分が、一番まともだったと、言っている」

「この口だ」

 素直に返す姿に、思わず、頬が引きたくなる。

 何とか、これまで培った理性で、気持ちを押し止めていた。


「授業をサボって、魔法の研究していたのは、どこの、どいつだ。それに、危険なことやるって、知っていながら、止めなかったのは、どこの、どいつだ」

 獰猛な眼光を、カイルが覗かせている。

 それに対し、ラジュールの表情が崩れることがない。


「私だ。授業を、すでに理解していた。それに、危険を知らせるのが、面倒だった。第一、それぐらい回避しないで、世の中を渡っていこうなんて、カイル、甘いぞ。あの時の危機甘さを改善し、危機感を備わったから、今のカイルが、できているのではないか。これは、私や、デュランに感謝するべきだ」

「感謝なんて、したくない!」

「友達を、大切にしないやつだ」

 眉間にしわを寄せているラジュール。


「友達なら、教えておくべきだ」

「それでは、つまらない」

「お前な」

 納得できない顔を、カイルが滲ませていた。


「それよりも、論点がずれているぞ」

「……」

 我に返ったカイルに、魔法科の状況を知らせる。

 周辺地域で、怪しい影を、感知するまでしたが、捕まえるところまではいっていなかった。

「……そうか」


「剣術科は?」

「似たようなものだ。ただ、リュートが抜け出したがな」

「ほっとけ」

 物静かな顔して、ラジュールが突き放した。

「あのな……」

 何とも言えない顔を、カイルが滲ませている。


「あいつらの狩りの腕前の方が、上手だ。何せ、罠に関して強いトリス、バドがいるからな。悪知恵に関しては、カーチス、ブラークがいる。天然ボケではあるが、天才リュートもいるしな。それらをクライン、キムがサポートしている。だから、気にする必要性はない」

「彼らを、諜報員が、狙っているんだぞ」

 心配の色が失せないカイル。


「これぐらいのことを、やってのけなければ、意味がない。それに、何か起これば、カレンを初めとして、魔法科で、動くだろうし、お前のクラスの生徒も、いるしな」

「生徒を巻き込むな。自分が動くのが、面倒だからと言って」

「いい機会だろう、実践訓練は」

 放任主義で、生徒たちを、ほっとくだけだと、思われていることが強いが、ラジュールは一人一人の能力を、きちんと見定めていたのである。


「危険過ぎる」

「それぐらいが、ちょうどいい。お前が、実証しているではないか」

「……」

「打ち合わせも、終わったところで、私は、警備に回る」

「待て。監督者だろう?」

 帰ろうとしていたラジュールを、引き戻した。


「私がいなくても、あいつらは、大丈夫だ」

「つくづく、お前のところの生徒たちが、可哀想だよ」

「そうか。自由だと、喜んでいるぞ」

「……。ところで、リュートに会っていかないのか?」

「必要がない」


「お前の生徒でも、あるだろうが」

「カイルだけで、大丈夫だ」

「押し付けるな」

 納得できず、カイルがムスッとしている。

「あいつが、望んだことだ」

「……」


「他に、用件は?」

「生徒たちに、もう少し関心を持て」

「くだらない」

 吐き捨てたラジュールが、瞬く間に消えてしまった。


読んでいただき、ありがとうございます。

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