表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とらぶる❤  作者: 彩月莉音
第4章 ドッキドッキな野宿体験学習
75/401

第71話

明けましておめでとうございます。

今年も、頑張って、投稿したいと思います。


今日から、新章に突入します。


 店内に、様々な声が溢れ、普通に話しても、聞こえない。

 フォーレスト学院の敷地内の、ペケロ村の一角にある、酒場『道化師』だ。

 多くの客が、村の住人ではない。

 学院の周辺を、観光に訪れている者や、旅人などである。

 そして、旅人や観光を装い、生徒たちの調査に訪れた、各国の諜報員が、密かに集り、仲間同士で、手に入れた情報交換や、別なところに所属している諜報部隊との情報を交換している。


 ペケロ村は、情報交換のやり取りしている場所として、諜報員たちに使われることも多かった。

 店内にあるテーブル、椅子、カウンター席は満席で、スペースが空いていない。

 隙間に立っている客まで、いる状態だ。

 むさ苦しい状況は、村にある、どこの酒場にも言えることだった。


「座る場所も、ないな」

 見渡す限りの人の多さに、落胆している旅人が、愚痴を吐露した。

 旅人は、シャール大陸を縦断するように、長旅をしていたのだった。

 身体がヘロヘロで、体力を消耗していたのである。

 治安がよく、何の弊害もない、フォーレスト学院で休息を取るつもりで訪れていた。

 だが、ゆっくりできそうもない状況に、憂いしかない。


「悪いな、お客さん。このところ観光で、訪れる客が増えてな」

 カウンターにいるオヤジが、悪そうな顔を覗かせていた。

 上の階の宿泊できる部屋は、すでに満室だった。

 ひっきりなしに、注文が入っている。

 酒場の従業員も、限られているので、手が回っていない。


 消沈している旅人が、酒場内を隈なく見渡す。

 何度、窺っても、人、人、人で、溢れんばかりだ。


「どこも、かしこも、酷い状況だった」

 旅人が、最初にこの酒場に、来た訳ではない。

 いろいろなところを回り、ここに辿り着いたのだった。


「だろうな。ここは村の中で、比較的、奥まっているから、客の入りも遅い。それが、このあり様だからな」

 呆れた表情を、オヤジが滲ませていた。

 店内は、人で溢れている状況だ。


 どこからも、干渉をされない、フォーレスト学院は、シャール大陸の一角にある半島全体を所有し、その中に、四つの村が点在していたのである。

 ペケロ村は、そんな村の一つだった。

 他の国との国境に、一番近くにあるため、どこの村よりも、多くの旅人や観光客などの人の出入りが激しかったのだ。


「とんでもない時に、来たようだな」

 自分の運の悪さに、旅人が首を竦める。

「そうでも、ないぜ。いろいろと、面白いことが起こるぞ」

「どういうことだ?」

「知らないのか、お客さん?」

「何がだ」


「数年先の卒業生に、粋のいい生徒たちがいるから、それを検分する諜報部隊が、混じっているせいだよ」

 軽く息を吐き、合点がいった。

「なるほどな。エラい時に来たものだ」

 旅人が、吐き捨てた。




 オヤジと、旅人が話している最中の奥の方では、観光客を装っている諜報員が、学院の中にどのように忍び込もうかと、算段をしている真っ最中だった。

 少し前から、ペケロの村を拠点として、潜り込んでいたのだ。


 溢れる客たちの声のせいで、諜報員たちの声が、他の客たちに聞かれることがない。

「考えることは、同じだな」

 自分たちとは違う、諜報員の人間たちを、店内でも、いくつも確認していたのである。

 情報を交換する者や、全然、情報を開示しない者まで様々だ。

 誰しも、考えることは、同じだった。

 それぞれが所属している諜報員が、早い時期から、学院の敷地内に、入り込んでいた。


「結構な数の人間が、学院側に、捕まったらしい」

「相当なトラップも、仕掛けられているし、警備も、例年以上に厳しいな」

「どうする?」

 眉を潜めている諜報員たち。


 情報を掴めず、深刻な状況だった。

 一つも情報を得られず、帰る訳にはいかない。

 給金の査定に響くからだ。


「他の連中と、手を組むか?」

「……それはまだ、先の話にしよう。が、情報だけは、常に、交換して置いた方がいい」

「だな」

「法聖の息子か……」

 リーダー格の男が、唐突に口にした。


 その眼光は、獲物を静かに捕らえようとしている。

 目の前にいる仲間の背後へと傾けた。

 こちらを窺っている双眸を、向けられていたのだった。


「先を、越されるものか」

 不敵な笑みを零している。

 ここに、集まっている多くの客の、半分以上が、法聖リーブの息子である、リュートの情報を得ようとしていた。


 自分たちも、卒業予定の生徒たちの情報よりも、リュートに関する情報を、重点的に集めるように、指示を向けていたからである。

 偉大な魔法使いリーブの息子リュートに、自分たちのところに来て貰うため、あるいは、娘と婚姻関係を結ばせるため、リュートに関するあらゆる情報を、諜報員たちは欲しかったのだった。


「徹底的に、周囲を探れ。何が何でもだ」

 部下たちが、コクリと頷いた。


読んでいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ