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とらぶる❤  作者: 彩月莉音
第3章 それぞれの休日
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閑話4

 戦闘が行われたと思われる〈白露の森〉を抜け出し、ラジュールは村で遊んでいる生徒たちを、有無を言わせず、学院に強制的に戻していった。

 僅かに、抵抗する生徒がいただけで、ラジュールの圧に押され、素直に学院に帰って行ったのだ。


 ある程度、ひと段落したところで、立ち尽くし、周囲を窺っている。

 生徒を捜している最中、サボっている教師たちを数人見つけ、物凄い殺気を込めた眼光で睨みつつ、状況を説明し、生徒たちを、学院に戻す作業をさせていたのだった。

 説明をしている際、教師たちが凍りつき、怯えていた。


 馴染みの気配に、眉間にしわを寄せ、そちら側に視線を傾けている。

 近づいてくるのは、ラジュールが担当しているクラスのバドだった。

 その背後からは、魔法で拘束されている三人の生徒たちがいる。

 ラジュールにとっては、見慣れている光景の一つだ。


「珍しいな、こんなところに来るなんて」

 黙り込んでいるラジュールに、バドが気軽に声を掛けた。

 必死に、助けてくれと、拘束されている三人の生徒が目で訴えている。

 勿論、魔法によって、口がきけないようにしていた。

 そして、バドよりも、上級生である九学年生だった。


 視線の先を、バドに戻す。

「実験体にするのか?」

「勿論」

「役に立つのか?」


 拘束されている三人の生徒たちの実力を、正確に把握していた。

 同じ学年の中でも、成績は半分より少し低い程度だった。

 どう考えても、バドの実験体としては不十分だ。


 学年が違っても、自分の魔法研究に、仲間たちを実験体にしていると、魔法科の中では知れ渡っていたのである。

「立って貰わなければ、困る」

 恐怖に震えている、拘束されている生徒たち。

 諤々と震えている。

 噂で、流れていることをさせられるのだろうかと。


「そう言ってもな……」

 バドの実力を把握している身としては、とても役不足な気がしていた。

 助けようともしないで、冷静にラジュールが分析している。

 ラジュールも、何より魔法研究に熱心だった。

 バド同様に、かつての仲間を実験体にしていたのである。

 二人は、どことなく似ている部分があった。


「大丈夫だ。薬草は大量に揃えてある」

「……誰か、捕まらなかったのか?」

 自分の担当しているクラスのことを指していた。

 彼らだったら、常に、バドの実験体になることが多いので、安心だった。

「逃げた。年々、勘がよくなり、逃げ出すのが、上手くなっている」

「そうか……」

 必死な形相の生徒たちを放置し、話し込んでいたのである。


「罠を張れ」

「罠?」

 まっすぐに、無表情のラジュールを双眸に捉えていた。

「そうだ。あいつらの行動パターンを、もっと、緻密に分析し、罠を仕掛けて置くんだ。勿論、カモフラージュの罠も、忘れずにだ」

「……なるほど。だが、面倒だな」

「手間を惜しむな」

「素直に、餌食になれば、いいものを」

 忌々しげな表情を、バドが滲ませていた。


(随分と、あれらも、能力が上がってきているな)


 不敵に、笑みが零れているラジュール。

 必死に、バドから逃げることによって、彼らの能力が格段と上がっていたのだ。


「……あまり無理をさせるなよ」

「ああ」

「休みが終わったら、授業に出らせるようにさせておけ。他の先生たちが、うるさいからな」

 能力高い、他のクラスの生徒も、実験体にしているので、苦情が来ていたのだ。

 だが、簡単に捕まる方が悪いと、うるさい他の教師たちを、煙に巻いていたのだった。


「そうする」

 バドの背後にいる生徒たちが、終わったなと言う顔を窺わせていた。

「ところで、至急、こいつらを連れ、学院に戻れ」

「……諜報員絡みか?」

 思い至ることを口に出した。


「そうだ」

「何人か絡んできたので、のしておいた」

「……どこでだ?」

 訝しげなラジュールだ。

 一応、拘束しておく必要があった。


「この先の、人気のないところでだ」

 平然とした顔を、バドが覗かしていた。

 バドが指し示した場所を、ラジュールが半眼し、睨んでいる。

 路地裏に、三人の諜報員たちが気絶させられていた。


「連絡ぐらいしろ」

「戻ったら、しようと思っていた」

 白々しい顔を覗かせているバドだが、放置しようとしていたのである。

「嘘言え」

「……善処する」

「ダメだ。連絡しろ」


 軽く息を吐きながら、顰めっ面のラジュールを窺っていた。

「……わかった」


 状況を確かめるため、ラジュールがバドが促した場所へと歩き始めた。

 バドも悠然とした足で、ガックリと落ち込んでいる生徒たちを連れ、学院に帰って行くのだった。


読んでいただき、ありがとうございます。

今年、最後の投稿となります。

次回は、新章に入りますので、楽しみに。

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