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とらぶる❤  作者: 彩月莉音
第9章 魔法なんて大っ嫌いだぁー
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第387話

 リュートとの稽古に、無理やり付き合わされた面々を、忙しく周って、手際よく回復しているアニス。

 稽古には参加しないで、終わった後の回復役として待機し、終わると同時に、アニスは酷い者から、順次回復に周っていたのである。

 粗方、酷い状態の者たちを脱出させたところで、近くで座り込んでいたカレンが声を掛けてきたのだった。

「お疲れ」

 カレンに双眸を巡らすと、稽古が終わると残っていた薬草で回復させ、話せる状態まで回復していたのだ。

 リュートとの戦闘に意気込み、この面々の中でも、最前線で攻撃をし続け、数多の傷を受けていたのである。

 そうした姿を、しっかりと、アニスが見届けていた。


「回復する?」

「大丈夫。アニスの方こそ、疲れているんじゃないの?」

「私は、大丈夫」

 微笑むアニスだった。

 まだ、まだ、ぐったりしている面々に、双眸を注ぐカレン。

 同じようにアニスも、グランドから立ち去ることもできない面々を見つめていた。

「もう少し、できると思っていたんだけどな……」

 やや悔しさを滲ませながらも、カレンの声音は、やりきった感を混じっていたのだ。

 やれるだけやることができ、それなりに満足感は得ていたのだった。


「魔法だけじゃなく、剣術や体術もやろうって、ホント、バカみたい。それで、ものにしているんだから、やんなる。リュートは、一体、どこまで強くなれば、気が済むのかしら」

「そうだね」

 素直に相槌を打っているアニスだ。

「自信……あったんだけど。あっと言う間に、終わっちゃった……」

 稽古が始まると、やけ糞になった剣術の面々と共に、やる気を漲らせたカレンも飛び出していって、余裕でいるリュートと対峙したが、ものの数分で、一回目はやられてしまっていたのである。

 やられたとしても、そこで諦めることもなく、すぐさま、回復して貰い、リュートとの戦闘に戻っていったが、最後には、仕留められてしまっていたのだった。


「粘っていたじゃない」

「でも……」

 先程の、稽古と言う名の戦闘を振り返っていた。

 飛び出していったが、慎重に、リュートにぎゃふんと言わせる攻撃をしたいと動いていたが、戦闘が終わり振り返ってみると、リュートに踊らされているような感覚が否めなかったのだ。

「リュートに読まれていた……。だから、もっと、違う動きをすべきだった」

「そうだね。不敵に笑っていたものね」

「うん……。ホント、まったく、隙がない。ホント、どこまで強くなるのよ」

 目を眇めているカレンを見て、小さく笑みを漏らしている。

 対峙している魔法科や剣術科の動きを見切っているリュートの姿にアニスも感嘆しつつ、自分なら、どう動くかと、頭の中でシミュレーションしていた。


「絶対に、一撃、加えてやる」

 メラメラと、闘志を燃やしているカレン。

 メチャクチャ、酷いやられ方したはずなのに、再選の灯が灯っていたのである。

「倒さないの?」

「倒させられる訳ないでしょう、リュートなのよ」

「そうだね」

「だから、一撃を喰らわせて、少しは、できるところ、見せてあげるんだから」

 あれだけ、何度もボコボコに倒されたにもかかわらず、へこたれない姿に、アニスが笑みを漏らしていたのだった。


 カレンの双眸が、アニスに注がれていた。

「ねぇ、アニス。見ていて、どうだった?」

「やっぱり、連携じゃない?」

「そう思う」

 リュートと対峙している際、何度か、カレン自身も、剣術科との連携に苦戦していたのだった。

 チャンスと言うところで、何度か、剣術科のメンツに阻まれ、攻撃が仕損じていたのだ。

「うん。剣術科の一部の子とは、それなりに、連携が取れていたけど、上手く合わせられない場面が、いくつかあったじゃない?」

「うん」

 顔を曇らせていくカレン。


(……学院を卒業したら、いきなり、よく知らないもの同士で、組むこともあるだろうし……、こういうのは、経験なのかな……)


「だから、その辺を、もう少し改善したら、いいと思うし、後は、もう少し、リュートの動きを予測した方が……」

「変幻自在なリュートの動きを、予測するのが難しいのよね……」

 嘆息を漏らすカレンである。

 頭の中では、理解していても、リュートの動きを読むことが非常に難しく、無策で飛び出している感があったのだった。

「魔法の攻撃を読むのも、難しいのに、剣術や体術も加わったから、余計に、読むのが難しくって……」

「それでも、少しは、読まないと」

「うん……」

 読むことに対し、消極的な姿勢をカレンが見せている。


「他だと、読んで動いているけど。リュートと、対戦となると、それが、できていない気がするよ?」

「難しいから、ついつい、その場の勘で、動いちゃって……、そのクセが……」

 カレンの眉尻が下がっていた。

「そのクセ、直さないと」

「そうだね」

「それに、後、リュートの挑発に、乗らない」

 居た堪れないカレンが、視線をはずしている。

 リュートとの戦闘の中で、何度か挑発されてしまっていたのだ。

「気をつけます」

「冷静に」

「はい」

「数箇所、いい場面はあったんだから」

 沈みかけていた気持ちが、一気に浮上していった。


「ホント!」

「嘘は言わない。ホント、一撃だったら、入っていたところはあったよ?」

 アニスの言葉に、勇気付けられていた。

 やる気になっている双眸。

 クスクスと、アニスが笑っていたのだった。

 リュートに対し、一撃を加えるのに、連携や技量が、更なる向上が必要だったし、さらに状況を冷静に分析する力が必要なことは言わない。

「頑張る。絶対に、リュートに一撃、食らわせてみせる」

「頑張って、カレン」

「うん」

読んでいただき、ありがとうございます。

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