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とらぶる❤  作者: 彩月莉音
第9章 魔法なんて大っ嫌いだぁー
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第386話

 グランドでの稽古を終えたリュートは寄り道することもなく、まっすぐに保健室のテラスに足を運んでいた。

 テラスには、すでに、大量のお菓子が用意されており、リュートの頬が緩んでいたのだった。

 リュートが来るであろう時間を考え、事前に用意していたものだ。

 グリンシュと約束されていた訳ではないが、稽古終わりに立ち寄るだろうと、リュートが好む大量のお菓子やケーキを、ふんだんに用意していた。


 席についたリュートのため、慣れた手つきで温めにハーブティーをグリンシュが出している。

「楽しかったですか?」

「勿論。いろいろと、試すことができた」

「そうですか。それはよかったです」

 大量にあるお菓子やケーキを、リュートが頬張っていく。

 次々になくなるお菓子やケーキを補充しながら、空になるカップに飲み物を注いでいった。

 稽古したため、お腹がすいていた。

 あらかた食べ終えたところで、飲み物を飲んで、ようやくひと段落着いたのだ。


「満足しましたか?」

 微笑むグリンシュ。

「ああ。美味しかった」

 周囲を見渡し、グリンシュを捉えていた。

「他には、いないのか?」

 ここに来て、誰もいないことに気づいていたのだった。

「カテリーナは、出かけていますよ。それに、ミントちゃんは、このところ、見かけていません」

「そうか」

「トリスたちは、まだ、来ていませんね。だいぶ、稽古に集中していたのでは?」

「……そう言えば……、そうかもしれない。でも、アニスがいるから、大丈夫だろう」

 稽古の光景を思い出しながら、言葉を紡いでいた。


「アニス一人で、回復役を?」

「そうだ」

「……負担かもしれませんね」

「大丈夫だろう。アニスには、ある程度、薬草やポーションを渡しておいたから」

「なら、大丈夫かもしれませんね」

「ああ」

 稽古で動けなくなっているトリスたちを、気にする様子もない二人。

「アガール街は、どうでしかた?」

 アガール街のことを聞かれ、表情が険しくなっていた。


「立ち並んでいた露店には、面白い掘り出し物がいろいろとあったが……、ムカつく連中がいた」

「そうですか」

「頭の硬い者ばかりだ」

「古い街ですからね」

「報告が上がっているんだろう?」

「えぇ」


 リュート自身も、学院側がつけた監視役の者たちの存在に気づいており、無視していたのだった。

 そして、学院の保健士であるグリンシュも、上がってきた報告書に、すでに目を通しているだろうと確信していたのだ。


「気に喰わない考え方だ」

 憤慨しているリュートに、困ったような顔を覗かせている。

「いろいろと、歴史が残っているところは、まだまだ、硬い者が多いでしょうから……」

 グリンシュの言葉に、目を細め、遠くを睨んでいるリュートだ。

「何せ、学院にも、先日まで、そうした古い考えを持った者がいたのですから……」

 学院の敷地にある、四つ村があるうちの一つカブリート村でのことを思い返していたのだ。

 カブリート村も、アガール街同様に、頭の硬い者たちがいて、生贄を捧げる儀式をしていたのである。

 そうした儀式を、未だに信仰している考えに、リュートとしては不満だった。

「……面白くない」


「アガール街の地下は、どんな儀式場だったんですか?」

「たいしたことはない。あれで、儀式を重んじているなんて、バカげている」

 鼻で笑っているリュートである。

 儀式場とは名ばかりで、何の変哲もない洞窟で、激しい戦闘に耐えられない、脆い造りになっていた。

 そのことを、興味のあるグリンシュに聞かせていたのだ。


(いずれ、機会があればと思っていましたが、いかなくとも、よかったですね……)


「それは随分と、お粗末ですね」

「だろう? 儀式を重んじるなら、もう少し考えるべきだ」

 辛辣なリュートの言葉。

 グリンシュが同意している。

 そして、儀式の内部など、気になっていることを根掘り葉掘り聞き、徐々に興味を失っていくグリンシュだった。


「冒険者の質も、悪かったようですね」

「ああ。多少はできるやつも混じっていたが、ほぼほぼ、弱い。あれで、俺たちに勝てると思っていることに、何をやっていたんだと思っている」

 アガール街で、戦った冒険者たちのことを思い出し、眉間にしわを寄せている。

「依頼した長老も、甘いですね。そんなやからを雇うなんて……」

 微かに、嘲笑が混じる声音をしているグリンシュ。


(閉鎖的で、まともな情報を扱えないなんて……、長老としては、愚策でしかありませんね……)


「ああ。そのせいで、満足することができなかった」

「そうでしたね」

 ふふふと、グリンシュが笑う。

「話は、変わりますが、一体、露店で、どんな物と出会ったんですか?」

 アガール街での儀式のことは興味が失せたので、次に興味のある露店での話に変わっていった。

 砂漠地の拠点の一つになっていることから、様々な商人たち通ること出が集まり、数日滞在し、露店を開くことも多く、掘り出し物の魔導具などが売っている。

 以前から、アガール街で、出展している露店に、グリンシュは興味を憶えていたのだ。


 無造作に、亜空間から露店で買ったものを取り出し、グリンシュに見せていった。

 リュートが買ってきた物で、盛り上がっている二人だった。

 最後まで、テラスにトリスたちが姿を現すことはなく、アガール街でのことを興味のあるまま、グリンシュが聞き、そして、露店で買った掘り出し物について、リュートが熱く語ってきたのである。


読んでいただき、ありがとうございます。

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