表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とらぶる❤  作者: 彩月莉音
第8章 古の砂漠の民と路地迷路
391/403

第383話

 カーチスたちが、学院に帰る当日。

 ナナエラは昨日の夜から、カーチスたちに持たせる物を、いろいろと作っていたのである。

 朝早く起きてからも、まだ、作っていたのだ。

 忙しなく、カーチスたちが好きなものを、ある程度、作り終えようと見えかけたところで、嫁いでいった娘クラリスが来ていたのだった。

 レナも手伝っていたが、先に部屋に戻っていた。

 台所には、ナナエラしかいない。


「お母さん。大丈夫?」

 当たり前のように、顔を出すクラリス。

「クラリス。お義父様たちのところに、挨拶してきたの?」

 ミゲルのところに挨拶もしないで、こちらに来たのかと心配していたのだ。

 過去に何度かして、ミゲルから小言を貰っていたのである。

「ちゃんとしてきたわよ。ワイズと話があるみたいで、挨拶をして、こっちに来たの」

 カーチスたちが学院に戻るので、顔を見るため、夫ワイズと共に、実家のディアマンテ家に来ていたのだった。

 ワイズと一緒にミゲルやウォルターに挨拶し、ワイズと話をすることがあるから席をはずせと言われ、母ナナエラのところに来ていた。

「それなら、いいけど……」

 胸を撫で下ろすナナエラだ。


「心配性ね」

 呆れているクラリスに対し、ナナエラがジト目になっていた。

「何度か、やらかしたからでしょう」

「その節は。ごめんなさい」

「気をつけてね」

「はい」

 嫁いでも、娘のことを案じるナナエラである。

「カーチスが、やらかしたみたいね」

 こちらに来る前に、カーチスたちが儀式で騒動を起したことを聞き、気が気ではなかったが、嫁いで家を出て行ってしまった以上、気軽にディアマンテ家に行くこともできず、この日を待っていた。

「そうね」

「聞いた時は、びっくりしたけど。意外と、落ち着いているようでよかった」

「えぇ」

「騒いでいるのが、シャミック家だけだけど、思っていたよりも、おとなしいからびっくりしちゃった……」


(……立場を考えると……、同意してもいいも……。でも、思っていたよりもシャミック家がおとなしいのは事実だし……)


「……そう……ね」

 微妙な顔で、ナナエラが答えていた。

「それに、爺様の機嫌、そんなに悪くなかったわ」

 微かに、クラリスが驚きをみせる。

 夫ワイズと共に、挨拶に行く時、ある程度の機嫌の悪さを覚悟していたのだ。

 けれど、大して機嫌が悪くないミゲルの姿に、内心では、驚愕していたのだった。

「カーチスにも、注意で止めたみたい」

 母ナナエラの言葉に、クラリスが絶句している。

 予想以上な出来事に、フリーズしてしまっていた。

 そんなクラリスの姿に、小さく笑っていたのだ。

 ナナエラ自身も、注意だけに止めたミゲルに、驚きを隠せなかったからだった。

 これまでのミゲルの態度から、想像できなかったのである。


「それと、カーチスは学院を卒業しても、家にも戻ってこないことになったわ」

「えっ。爺様の命令」

「違うわ。カーチスの答えよ」

「……」

 寂しそうな顔を、クラリスが滲ませていたのだ。

「あの子自身が、決めたことだから、とやかく言わないこと」

「……わかった。でも、いいの?」

 探るような眼差し。


「いいのよ。でも、お義父様の命で、たまに、顔を出すことになっているから」

 ナナエラの言葉に、大きく目を見開いていた。

「爺様が、そんなこと、言ったの?」

「言ったらしいわよ。カーチスからも、お父様からも、聞きました」

 信じられないと言う顔を、クラリスが覗かせている。

 そんなクラリスの姿に、ふふふと笑い、二人から聞いた時の自分の姿を思い返していたのだった。

「街の改革があるようだから、旦那様を助けてあげなさい」

「……わかりました」

 返事を聞き、ニコッと微笑むナナエラの姿に、クラリスも笑顔を滲ませていたのだ。

読んでいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ