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とらぶる❤  作者: 彩月莉音
第6章 邪魔するものは、吹っ飛ばせ
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第153話

あけましておめでとうございます。

本年も、よろしくお願いします。


本日から、投稿を再開します。

腕を骨折し、ようやく、骨も再生され、治っていたのですが、

何かと、十二月は忙しく、本日から再開となりました。

ケガしている間に、いろいろなことがたまってしまい、

やることが多かったのです。


ただの言い訳です。

 未だに、渋り表情のカイルを尻目に、ラジュールの双眸が、剣術科の生徒に、巡らされている。

「これから、お前たちは、私の生徒と戦って貰う」

 いきなりの対戦形式に、驚きを隠せない。

 大きなどよめきが、起こっていたのである。


 けれど、ラジュールは、意に返さない。

 自分のペースで、進めていった。

「お前たちは、全員で、掛かってくると、いい」


 自分たちの有利な状況に、舐められているとしか、思えない生徒たちだ。

 剣術科の生徒たちの多くが、顔を歪めていた。


 まっすぐな瞳を、ラジュールに向けた、セナの口が開く。

「それでは、私たち全員に、魔法科の生徒、七人ですか?」

 冷静な表情とは裏腹に、声音には、怒気が孕んでいた。

 ここまでバカにされ、黙っていられなかったのだ。


 だが、ラジュールは、ほくそ笑んでいる。

「違う。連れてきた三人と、思っていたが……」

 唐突に、ラジュールの眼光が、トリスたちを捉えていた。

「トリス。お前たちは、どうする? 誰か、出てみたい者は、いるか?」

 見つめられ、カーチスやアニスは、緊張した面持ちだ。


「私、出てみたいです」

 真剣な眼差しで、カレンが、手を上げていた。

「カレンか……」


 ラジュールの話を耳にし、闘志を燃やしているカレンだ。

 その隣で、カーチスが、頭を抱えている状態だった。

 アニスやトリスは、小さく笑っている。


「……いいだろう。では、連れてきた三人と、カレンだ。カレン、前に出ろ」

 促され、やる気に満ちた顔で、カレンが出ていった。

「四人対、剣術科ですか?」

 教師に対し、セナが、怯むような真似をしない。

 挑むような、視線を注いでいたのだった。

「ま、そうなるな」


 言質を聞き、突然、リュートが、やる気モードになり、身体を動かし、準備体操をしている。

 他の剣術科の生徒は、舐められている状況に、怒りを燃やしたり、どうなるんだと、不安な顔を滲ませていた。

「言っておくが、リュート。お前は、不参加だ」

 ラジュールの命令に、えっと言う顔を、覗かせたまま、固まっている。


 普段のリュートらしくない行動。

 ここに来て、ようやく、剣術科の生徒たちが、不審がっていた。


「お前は、周りに、被害が出ないように、壁を張っていろ」

「……はい」

 従順な姿勢に、胡乱げだ。


「四人とも、リュートは、出てない。十五分以内に、片をつけろ。それを越したら、課題を出す。そして、カレン。お前は、自ら立候補したんだ、それを越したら、クラインたちの三倍の課題だ。いいな」

「……はい」

 三倍と言う響きに、ブラークやキムの表情が、曇っている。

 ラジュールの言葉は、絶対だったからだ。


 カーチスも、心配そうな眼差しを、黙り込んでいるカレンに、巡らせていた。

 十五分以内と聞き、カレンの中でも、動揺が走っている。

 その上、三倍と言う響きが、重く圧し掛かっていた。

 だが、表情に、出ることがない。

 辛うじて、気持ちを、奮い立たせていたのだった。


(十五分以内に、終わらせればいいのよ)


「バカにし過ぎじゃないですか?」

 セナの声に促され、ラジュールの瞳が、彼女を捉えている。

「リュートを、つけてほしいのか?」

 口角が上がっている、ラジュール。

「違います」

 はっきりとしたセナの口調。

 ただ、笑みを漏らしたまま、憤慨しているセナを眺めていた。


「大差があるって、言っているんです」

「大差? 三人の場合は、二十五分と、思っていたんだ。カレンが加わって、十五分にしたがな。それが、どういう意味か、わかるか?」

「……」


 ギュッと、セナが、悔しげに、唇を噛み締めていた。

 他の生徒たちもだ。


「私の中で、負けはない。必ず、勝つと思っている」

 揺るぎがないものを、誰もが、感じ取っていたのだ。

「私の中に、負けると言う要素が、一切ない」

「……」

「セナ。お前の中に、勝てる要素が、どこにあると、思っているのか? 数か? それとも、自分は、『十人の剣』に選ばれているから、負ける要素がないと、思っているのか? 言ってみろ」


「……」

「私の目は、確かだ」

 口を開きかけたセナに、カイルが入り込む。

「セナ、そこまでだ。下がっていろ」

 カイルの指示に従い、渋々とした顔で、セナが下がっていく。


「ラジュール……」

 窘めようとするカイルを、ラジュールが遮っている。

「お前だって。わかっているんだろう? だから、対戦することを、渋っていたんだろう」

「……。だが、これは、俺たちを、舐め過ぎている。四人だけで、それも、十五分以内に、決着できると、本当に、思っているのか?」


「思っている」

 きっぱりとした声だ。

 そして、凛とした眼差しを、注いでいる。

 そこには、一ミリも、疑っている要素がない。


 話は終わりだと、カイルから、視線を外し、リュートに、眼光を巡らせていた。

「リュート。張れ」

 従順に、命じられるがまま、この辺一体に、壁を作り上げていった。

 時間は、僅かだ。

 素直に応じる姿に、剣術科の生徒たちが、先ほどよりも、訝しげている。


(((((あの、リュートが!)))))


「では、始めるぞ。カイル、下がれ」

 ラジュールに言われるがまま、カイルも、渋々と、下がっていった。

 勿論、ラジュールも、下がっていき、剣術科対、四人となっていたのである。

 壁を張ったと同時に、言われる前に、リュートは、下がっていたのだった。




 グランドの中央には、リュート以外の剣術科の生徒と、クライン、ブラーク、キム、カレンだけしか、残っていない。

 剣術科の生徒たちの双眸が、魔法科四人の顔を捉えている。

 屈辱的な状況。

 数人は、頭に、血が昇っている状態だ。


 クラインたちは、いつもとは、変わらない表情だった。

 カレンの双眸が、闘志が漲っていたのである。


「冷静に、状況を判断しないと」

 セナの声に、気持ちを抑えていく、生徒たち。

 自分自身の高揚している気分を、抑えるため、息を吐いているセナ。


(学院に入り込んだ、諜報員たちと、やりあい、経験は、かなり積んでいるはず。それに比べ、私たちは、実践訓練が、確実に少ない。まず、やるべきことは、冷静に、物事を見極めないと)


「カレン。大丈夫?」

 クラインが、気遣う声をかけていた。

 自分たちは、つい最近も、諜報員と、やりあったばかりだったが、カレンが、このところ、実戦から離れていたことを、危惧していたのだった。


「大丈夫よ。それよりも、ブラークも、キムも、最初から、飛びしていきなさい」

 不満顔を、滲ませる二人。

 二人は状況を窺いつつ、ゆっくりと、戦うつもりだったからだ。


「十五分以内に、決めないと、課題なのよ」

「「……そうだけど」」

「カレンは、三倍だけどね」

「悠長に構えないでよ、クライン」


「ごめん。でも、様子を見た方が……」

「ダメ。私が、先行して、行くわ」

 クラインの意見に、従うつもりがない。

「……カレン。メチャクチャ、本気?」

「本気よ」

 あちゃーと言う顔を、ブラークが、覗かせている。


「少し、距離をとろう」

 キムが呟いていた。

「キム。下がるのは、なしよ」

「だって……」


「ガードできるでしょ?」

「……わかった」

「ブラークも、いいわね」

「了解」

「そういうことで」


 口に出さず、クラインも笑って、了承をしていた。

 互いに、臨戦態勢を整えている。

 いつ、始まってもいい状態に、なっていたのだった。


 静かな双眸で、眺めていたラジュール。

「始め」

 合図と共に、誰よりも早く、カレンが飛び出していく。


読んでいただき、ありがとうございます。

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