表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とらぶる❤  作者: 彩月莉音
第4章 ドッキドッキな野宿体験学習
114/390

第110話

 魔法科も、剣術科も、無事に、学院に戻ってきていた。

 ラジュールとカイルにより、リュート、トリス、カーチス、クライン、ブラーク、キムが呼び出しされ、長時間に渡る説教が、行われたのである。それと同時に、多くのレポートが出され、罰掃除もすることになったのだ。


 解放され、廊下を歩いている六人。

 数人の生徒たちと、すれ違っている。

 何も、変わらない日常だった。


 リュートとトリス、クラインは、いつものことと、表情を崩すこともない。

 だが、カーチス、ブラーク、キムの三人は、山のようなレポートの多さに、がっくりと肩を落としていた。

 カーチスの傷は、まだ、完全に言えていないようで、どこか動きが、ぎこちない。

 それを、クラインやブラーク、キムが、支えていたのだった。


「大丈夫か?」

 神妙な顔で、ブラークが窺っている。

「……大丈夫だ」

 か細い声だ。

「カレンの指導、いつも以上に、厳しかった?」

 気遣うような眼差しのキムだ。


 カレンの名に、僅かにカーチスが、身体を強張らせていた。

 リュートとセナと別れた後も、容赦ないカレンの指導の下、カーチスは精霊呪文を、完璧に使えるようになっていたのである。

 けれど、身体は、ボロボロだった。

 容赦ないほど、酷使していた。


「……地獄だった」

 遠い目をするカーチスだ。

 その時の映像が、走馬灯のように流れていった。


「「「「……」」」」

「でも、精霊呪文、完璧になったんだろう」

 どこでも、マイペースなリュートである。

 何とも言えぬ顔の、ブラークたちだ。


「……」

「よかったじゃないか」


((((リュートだな))))


「で、ブラークとキムは?」

「……大丈夫だ。俺たちは、クラインとトリスに、教わったから」

 ブラークとキムは、カレンではなく、クラインとトリスに教わり、カレンの地獄を味わうことがなかった。


 ジト目で、カーチスが、二人を睨んでいる。

 気まずい二人が、視線をはずしていた。


「じゃ、みんなを呼び、遊ぶか」

 先ほどまで、説教を受けていたことを、すっかり忘れていたリュートだった。

「まず、罰掃除でしょ?」

 呆れながら、クラインが、今後の予定を口に出した。

 この後、校内の掃除が、待ち受けていたのである。


「後でも、大丈夫だろう」

 のん気な姿に、トリスが、やれやれと嘆息を吐いていた。

「リュート。さすがに、それは不味いから、今、やろうね」

 窘めるクラインに、不満げに、口を尖らせている。

 クラインも、簡単に、引き下がらない。

「ラジュール直々に、目を光らされても、いいの?」


「……それは、ヤダ」

 思わず、顰めっ面になっていた。

「だったら、掃除をやろうね」

「……わかった」


「リュートも、やる気になったようだし、どこからやる?」

 他のメンバーに、クラインが顔を巡らせていたのだ。

「みんなにも、手伝って貰うか?」

 ある一つの提案を、ブラークが持ち出した。

「みんなって?」

「A組で、総出でやれば、早く終わるだろう」

 ニッコリ笑い、胸を張っているブラークだった。


「手伝ってくれるのか」

 訝しげているトリス。

「ま、今回は手伝って、頭下げておいた」

 ブラークが、すでに、根回しをしていたのである。


「……カレンもか」

 少し、疑わしげな双眸に、なってしまうカーチスだ。

 今、置かれているカレンの現状を鑑みると、どうしても、引き受けたとは思えない。


「勿論だ」

「バドもか」

 リュートが、口を挟んだ。

 すんなりと、バドが手伝うとは、考えられなかった。

「ああ。実験に付き合うのが、条件だがな」

「……大変そうだな」


「今回ばかりは、俺が、餌食になる」

 喪失感がない。

 むしろ、堂々としていたのである。

 自分が頼んだ以上、自分が引き受けるべきだと抱いたのだ。


「じゃ、頑張って、罰掃除でもやるか」

「だな」

 掃除をするため、歩いていく六人だった。


読んでいただき、ありがとうございます。

次回は、閑話になる予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ