告白ノススメ。
「ふーむ。大事、かあ。」
昼休みの学食で、奈々が守のことを一通り話すと、“のり”こと紀子が不思議そうに言った。
「大事で大事で、誰にも話せなかったの。ごめんね。隠すつもりじゃなかったんだけど。」
「あ。そんな謝んなくていいよ。よくわかんないけど、すごく大切なんだよね。しかし、意外。奈々って見た目の割に一途なんだね。」
「意外って何よー。」
入学式当初から、奈々を遊び人と思っていたらしい。派手な顔立ちに髪の色は明るめ。しかしよく見れば、服装はシンプルな、ジーンズにパーカーなどの組み合わせが多い。服もバッグもブランド物はほとんど持っていない。服装が地味でも派手に見える奈々。なので“意外”なのである。
「で?告ってないの?予定は?」
のりの興味津々な事情聴取が続く。
「迷ってる。今のままなら友達でいられるけど、告ってダメだったら友達ですらいられなくなりそうだもん。」
「そいつ、絶対、奈々に気があると思うけどなー。高校生が、電車で1時間半かけて、何回もお見舞い来るなんて、よほどのことだよ。」
「塾仲間にもいつもそう言われてたけど…。」
自信がないし、守が何を考えてるか、さっぱりわからない。
「告っちゃえば?そいつの気持ち、知りたくね?」
知りたいけど、すごくこわい。
友達のままでいいから、会える関係でいたい。
誰かが守の彼女になってしまうのは、切ない。
周りがザワザワと席を立ちはじめていた。時計を見ると、午後の講義の時間が近づいていた。