表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
酸っぱい恋  作者: シュウ
柚子編
6/19

夏美の恋

夏美視点です。

私は小さい頃から好きな人がいる。

その子はずっと私のそばにいてくれて気を使ってくれるし、なにより優しい。でも言葉使いが荒いのが残念なところ。

その子の他にも私には小さいころからの友達がいて、その子とも好きな人と同じくらい仲がいい。

私、田中夏美(たなか なつみ)は、幼馴染の菊池百恵(きくち ももえ)が好きである。


小学生の低学年の頃からずっと仲良しだった私とももちゃん(百恵)と柚子(ゆず)ちゃんは、いつでも一緒だった。

私がももちゃんのことを好きだと思い始めたのは、中学1年の体育の時間だった。

当時同じクラスだった私達3人は、小学生の時には無かった『更衣室での着替え』というものに少し抵抗を感じていた。

ほかの人はどうなのかは知らないけど、私は裸(下着はつけてるけど)を見られるのが嫌だったので、なるべく誰にも見られないようにと、極力気配を消すように努力しながら、ジャージでからだを隠しながら着替えていた。

その空気が他の人にも伝染してしまったのか、妙にほかの人たちも意識してしまったらしく、ほとんどの人がからだを隠すようにして着替えていた。

そんな中、ももちゃんだけは豪快に、男の子のように制服を脱いで綺麗なからだを惜しげもなく晒して着替えていた。

その時の私は、ももちゃんの綺麗なからだに見とれていた。

今までまったく意識していなかった友達のからだを見て、『触りたい』『見ていたい』という気持ちが芽生えたのだ。

当時は、自分の頭がおかしくなったのかと思って気にしてはいなかったが、その気持ちが芽生え始めてからは、ももちゃんの綺麗なからだを更衣室で見るのが楽しみになっていた。

それは他の女の子のからだでもいいのかと言うと、それは違った。

私はももちゃんのからだだから興味があるのであって、他の子のからだを見てもなんとも思わなかった。

それが一年も続くと、さすがに私でも気づいてくるもので、これは恋であると思い始めていた。

ももちゃんの裸体を考えてベッドの上で悶えることもあったし、普段何気ないところでももちゃんに触られるとドキッとしてしまうこともあった。

しかし私たちは女の子同士だから、付き合うことはできない。

付き合うということは、男女間でするものなのだと思っていた。


しかし高校2年になって環境が変わることになった。

高校生になっても私たち3人は仲良しで同じクラスだった。

2年生から私たちの新しい友達として加わった高町楓(たかまち かえで)ちゃん。

彼女はものすごく美人で、中の下をキープしている私と比べると・・・もう比べることが間違いなのかもしれない。

そんな彼女が私たちの輪の中に入ってきた。

見た目によらず気さくな彼女は、すぐに私たちと仲良くなった。

でも最近になって、柚子ちゃんととてもいい感じに見えてしまって仕方ない。現に、私とももちゃんが掃除当番で遅くなったときに、柚子ちゃんと楓ちゃんが一緒に帰っているのを、教室の窓から見たことがある。


どういう関係なんだろう?


私から見ている限りでは、二人は好き合っているように見えて仕方がない。

でも、ももちゃんも何も言わないし・・・ってゆーか、ももちゃんがそんなことに気づくはずないけど、もしも、その、付き合っているんだとしたら、柚子ちゃんのほうから私たちに報告(?)があってもいいと思う。私たちだって、もう長い付き合いになるんだし。

そう思っていた矢先の出来事だった。

ももちゃんがお昼休みに同性愛の結婚の話をしていた時に、楓ちゃんが突然廊下へと走り出したのだ。

慌てて楓ちゃんを追いかけていった柚子ちゃん。


「ん? 楓のやつどうかしたのかなぁ?」


能天気なことを言うももちゃんに私は小声で話しかけた。


「あのさ、もしかしてなんだけど・・・」

「うんうん」

「楓ちゃんって柚子ちゃんのこと、その、好きなのかなぁ?」

「えぇっ!?」

「ちょっと、ももちゃんっ。声が大きいって」


ひゃー。みんなの目線がこっちに集まっちゃったじゃん。ももちゃんのバカ。


「めんごめんご。で、どういうこと?」

「だから、その、ももちゃんが話した同性同士の結婚の話を聞いてられなくて飛び出したんじゃないのかなぁ?」

「えー。それならそうと言ってくれればいいのになぁ」


そう言っているももちゃんの顔はとてもニヤニヤとしていた。

もしかして・・・気づいてた?


「ももちゃん・・・?」

「ん? だから、あの二人もそういう関係だったら教えてくれてもいいのにさってこと。あたしらの仲じゃん」

「もしかして知ってたの?」

「あんなの見てればすぐに気づくって。なっちゃんだって気づいてたんでしょ?」


ニシシと笑うももちゃん。

ももちゃんが気づいてたのは意外だった。


「なかなか教えてくれないから、ちょーっと邪魔しちゃおうかなぁとか思ってたんだけど、本当に教えてくれないんだもん」

「じゃあさっきの話って・・・」

「あれはただ単に面白かった!って話をしただけ。だってガリガリとデブッチョのカップルなんて面白いじゃん。でも楓みたいなべっぴんさんとうちの柚子が付き合ってたって、別に変ではないじゃん。むしろ恋はドンドンするべきだと思う」


長年一緒にいたけど、こんなももちゃんを見るのは初めてかもしれない。

ももちゃんも大人になってるんだなぁ。

ももちゃんは私の目を見て続ける。


「もちろんなっちゃんも自分に素直になるべきだと思うよ」


そう言って机の上にある私の手をももちゃんの手が握る。

私は言っている意味がわからなかったけど、目の前のももちゃんが素敵な笑顔で私を見ているのに気づくと、全てがパズルのようにハマっていった。


そう。私の恋心はももちゃんにバレバレだったのだ。


赤面して少しボーっとしたまま手を握られていると、教室に戻ってきた柚子ちゃんと楓ちゃんが私たちを見て驚いた顔をしていた。

でも私は、柚子ちゃんと楓ちゃんも手を繋いで戻ってきたので、それにびっくりしていた。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

投稿期間がしばらく開いてしまい申し訳ありません。

ちょっと体調がね・・・


というわけで、番外編にあたる『夏美編』でした。

これで柚子編は終了となり、次は檸檬編となります。


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ