表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/129

第4章 都市整備 住民受入篇(オラン人その2)

ぎりぎり?間に合いました、今年最後の更新です。

皆様よいお年を!

「おい、これではぜんぜん足りないぞ!」


 帝国兵の100人隊長、名前は確かボレウスとか言ったか・・・


 我々が1年間掛けて苦労して育て、ようやく収穫した麦を、威圧して根こそぎ奪おうとしている。


 ここ最近、帝国の国境防衛隊の連中が、我々のようなオラン人集落に現れては貢納と称した略奪を働いている。


 戦争状態にも無い相手に対して、この様な無法がまかり通ってよいものかと思うが、オランの民は既に王を失い、指導者を失って帝国に吸収されつつある亡国の民。


 オラン人の歴史で国としてまとまりを持った事は1度も無いが、各部族から王を輩出して指導者となし、部族としてまとまりを持って帝国に反抗していた時期もあった。


 しかしそれはもう昔の話、今は帝国の横暴に振り回される弱小な周辺部族。


 オランの民も、帝国領内に住めば一応、帝国人として処遇される事から、最近は移り住む者たちも多いが、満足な土地も用意してもらえず、貧民と成り果てる場合がほとんど。


 それに移り住んだところで、オラン人という呼称が消えるわけではなく、流石にこの様な無法なまねはされないだろうが、目に見えないさまざまな差別はある。

 

 それが嫌ならこの仕打ちに耐えるしかない。


「そうは仰いましても・・・これ以上の貢納をすれば村は冬を越せません。」


「・・・そうか、では人減らしをしてやろう、15から25までの女を集めろ、選別して帝国へ連行する!・・・ふん、蛮族とはいえ貴様らの所の金髪碧眼の女たちは良い値で売れるからな。」


「そのような無茶を本気で仰っているのですか?」


 ヘリオネルは怒りを押し殺してボレウス隊長に答えるが、帝国兵が本気だと言う事は分かっている。


 先隣の村はそれで娘を10人差し出す羽目になったと言う。


 顛末は言うまでも無い、帝都の娼窟行きだ。


 冗談ではない、うちの村からそんな者を出してたまるものか!


「・・・では、10日後、また来る、それまでに麦袋の数を増やしておくか、女を集めておくかしろ!」


 ヘリオネルが無言でいることを怒りを抑えているのではなく、葛藤から来るものだと勘違いしたボレウス隊長は、そう言い捨て、率いてきた200名の帝国歩兵とともに駐屯地へと引き上げていった。


 200名の帝国兵・・・今部族の壮年の男をかき集めても100名には達しない、反抗することは不可能だ。


 かつては1000人を数えたシオネウス族一の村も、もう500人に足る位の人口しか居ない。


 残された時間と手段は限られている、幸いにも今日出した麦を帝国兵は持っていかなかった。


 長老会は決を採るまでも無かった、全員一致で移住の決定、しかし移住場所は決められていない、オラン人地域以外で、帝国の力が及ばない場所といえば、クリフォナム人地域か、若しくはその先のハレミア人地域、そして果ては東照帝国。


 しかし、東照帝国やハレミア人とは文化的差異が大きく、移住自体が上手くいったとしても軋轢が必ず生じるし、クリフォナム人とは古来より犬猿の仲である。


 先の見通しは全く立たないが、このまま帝国の言いなりになってしまうよりはと皆が覚悟を決めた。

2晩を掛けて夜逃げの準備をしたシオネウスの一族は、とりあえず追っ手を撒く為に廃棄都市シレンティウムを目指し、旧街道をひた走る。


 帝国では忘れ去られてしまったが、シレンティウムを経由してシルーハ、東照帝国への抜け道の存在は、北方辺境に住み暮らす部族の中では常識とも言うべきもので、かつてアルトリウスが整備したレンガ敷きの道が今も草の下に隠されている。


 所々で割れてしまったレンガもあり、そのような穴に荷馬車が落ち込んでしまう事もあったが、全員が協力しヘリオネルたちは無事シレンティウムの西側城門前までたどり着いたのであった。




「と言うわけでして、恥ずかしげも無く帝国から逃れ出てきた次第で。」


「行く宛てはあるのか?」


 ヘリオネルの力ない言葉に、ハルが気遣わしげに問うと、ヘリオネルは疲れた様子で頭を振った。


「いえ、先ほども言ったとおり、何処にも行く宛てはありません、エルレイシア殿にアルフォード王へとりなしをお願いしたいのですが・・・」


「恐らくは無理でしょう、アルフォード王は良くも悪くもクリフォナム人優先主義者です、たとえあなたがたが支配を受け入れることを表明しても、オラン人に土地を分け与える事は無いでしょう。」


「やはりそうですか・・・仕方ないですな。」


 エルレイシアが申し訳なさそうに答えると、ヘリオネルも予想はしていたのか、肩を落としながらも納得の言葉を口にした。


 ハルは、思案する風でしばらく黙っていたが、徐に部屋の奥の方を見て口を開いた。


「先任、どうですかね、500人受け入れられませんか?」


『問題は無かろう、都市西方はもともとオラン人の居住区であったしな、最盛期は3000人以上のオラン人が暮らしておった、今も基礎の遺構は残っておるゆえに、そのまま家を建てさせれば都市計画も進む、農地と遺構に生えた木を切り住居の建築に充て、そうして再整備した土地をこの者らに与えれば良い、既に水はアクエリウスの力で届いている、夜逃げと言うからには十分な食料も持参しておるだろうからな、再来年くらいまで辛抱してもらえば、この地でも収穫が見込めよう。』


 アルトリウスがハルの言葉に反応し、そう言いながら奥の部屋から現れた。


「あの方は・・・帝国人ですかな?」


 突如現れた鎧兜姿のアルトリウスに、僅かな不信感をのぞかせたヘリオネルが尋ねる。


「私の前任者である、アルトリウス司令官です、この都市を築いた方で、私が職を引き継ぐにあたって助言を頂いているのです。」


『・・・ふっ、そう改めて言われると面映いな、だがもっと言って良いぞ。』


 ハルの紹介に鼻を高くしたアルトリウスが答える。


 アルトリウスの言葉に眉を顰めたハルを他所に、紹介を受けたヘリオネルは驚愕で目を見開いた。


「て、帝国の鬼将軍!?まさか、生きているはずが無い!」


「はい、既に儚くおなりです、死霊となっても過去の栄光が忘れられず、都市を復興させようと目論んでいる方です。」


『・・・神官殿、確かにその通りであるが、それではみもふたも無いではないか。』


 ヘリオネルの言葉に答えたあけすけなエルレイシアの言葉に、アルトリウスが抗議する。


「し、死霊か!?神官殿、この者を野放しにしていて良いのか!」


「私の術が全く効かないのです、幸い害はありません、むしろ都市経営については助かっています。」


 エルレイシアの淡々とした説明に、ヘリオネルはようやく慌てて浮かせかけた腰を石の椅子へと落ち着ける。


 そして大きくため息をついた。


『・・・ハルヨシよ、みだりに我が姿を現せばこうなる事は先ほど警告したであろうが。』


「仕方ないでしょう、この都市の事は先任に聞くのが一番なんですから。」


『ふふん、まあ、そうであるがな。』


 アルトリウスが渋面で苦言を呈したが、ハルがそれに対する答えを口にすると、アルトリウスの機嫌はすぐに直る。


「全く、驚かされる事ばかりで・・・」


 額に手をやり、ヘリオネルは先ほどより一層疲れた顔でそうこぼした。




「・・・では、我々をこの都市で受け入れてくれると言うのですね?」


「ええ、ただし条件が幾つかあります、その条件下で良いならばということです。」


 ヘリオネルの口調は先程とは変わり、幾分明るさが含まれている。


 ハルはオラン人のシオネウス族をシレンティウムへ受け入れるに当たって、ヘリオネルと幾つかの暫定的な取り決めを行った結果


   1 シオネウス族は、任期3年の代表者を1名継続して選出できる、再選も可能

   2 シオネウス族の習俗風習について、他に害を及ぼすもの以外は禁止しない

   3 シオネウス族の居住地は、都市西部とし、農地も同様とする

   4 シオネウス族の商業者及び工芸者は、指定された街区に居住する

   5 シオネウス族の農業について、基本的には帝国風の農法を導入する

   6 都市経営に関わる人員(官吏)の採用については、行政府の募集に従う

   7 法令はシレンティウム都市法を適用し、シオネウス族の族法は同族間のみ適用

   8 水利、教育、医療、治安に関する費用と責任は行政府が持つ

   9 税金は3年間完全免除、4年目以降は行政府と相談し決定

   10 税は14歳以上に住民税(年間伯金貨1枚)と売上税(1割)を課す

   12 シレンティウムにおいて法令は、全人種平等に課す

   13 シオネウス族全員にシレンティウムの市民権を与え、準帝国市民として扱う


と言う事が決定した。


 細部については、シレンティウムの都市法が出来次第という事になるが、ヘリオネルとしても行く先の無い部族をここまでの好条件で移住させてくれる場所は他にないと考え、提案を部族会議に諮ることにした。



 提案だけを見れば部族の者たちが移住を拒否する事はまずありえないだろう。


 何より、シレンティウムの市民権が与えられれば、帝国兵の横暴に対して、行政府を通じて抗議することも出来るし、今までのように一方的に略奪される事は無くなる。


 しかし、長年帝国兵の横暴に苦しめられてきたヘリオネルは、ハルの事を信用しきれずにいた。


「話が旨すぎる・・・何か裏があるのではないか・・・」


 ヘリオネルはそう独り言をつぶやきながら、軍団司令室のある建物から、一族が宿泊している軍団基地へと向かった。



 しばらくして、ヘリオネルの荷馬車の近くで、部族の主だった者達が集められ、部族会議が開催される、もちろん議題はアキルシウス辺境護民官からの提案事項である。


「有難いし願っても無い条件だが、帝国の護民官が出したという所が気に食わない。」


「しかし・・・それなら何故わざわざ我らを都市へ招いたのだ?」


「それこそ裏があるからだろう!」


 のっけから長老の1人が宣言するかのように言い切り、その直後から議論は紛糾した。


 ヘリオネルも気に懸かっていた事であり、誰かが解決の糸口となるような意見を出しはしないかと期待したが、結局結論はでないまま、議論が出尽くしてしまう。


「兄貴よ、どうする?」


 戦士長である弟のベリウスが意見を求めて来るが、ヘリオネル自身も結論を出せずにいたため、腕を組んでうなることしか出来ない。


「あなた、私も良いかしら?」


 その時、荷馬車に乗ったままのヘリオネルの妻、エティアが発言を求めた。


 オラン人、クリフォナム人の間では、族長の妻も部族会議での発言権を持つため、エティアの発言はごく自然なものであることから、ヘリオネルは身重な妻の発言を許す。


「ねえ、ここは聞いていた静寂都市とは思えないほど清潔で、気持ちの良い所だわ、お水もおいしいし、太陽神官様はいらっしゃるし・・・だから、私ここに住めたら良いなと思うの、きっとお腹の子にも良いし。」


 大きなお腹をさすりながら、エティアは発言を続ける。


「その、アキルシウスさんといったかしら、その人は何故太陽神官様と一緒にいらっしゃるの?」


「何でも、帝国人の盗賊からお救い差し上げたのだとか・・・太陽神官様から直接聞いたので嘘ではないと思うのだが・・・」


 エティアの質問に答えるヘリオネル、しかしその回答で場の雰囲気が変わった。


「・・・帝国人の盗賊から帝国人が太陽神官様を助けたのか?」


「そんな事が・・・信じられん・・・」


 口々に驚きの声を上げる長老たちだったが、太陽神官自身から聞いたという族長の話である、信用に値すると誰もが思っての発言である。


「そうですか、アキルシウスさんも何か事情がおありなのかしら?」


「うむ、彼は5年前に帝国に制圧されてしまった群島嶼連合の剣士だったらしい。」


「何と・・・誇り高きヤマトの剣士が・・・さぞかし難渋したであろう!」


 エティアの再度の質問にヘリオネルが答えると、大勢は決した。


 群島嶼連合の剣士はその清廉さと強さで大陸中に名を知られている。


 そして、その群島嶼連合が3年に渡る激しい抵抗もむなしく、帝国に屈した事も、北方辺境まで聞こえていた。


 最後に、決断を促すようにエティアが言った。


「太陽神官様が命を救われて、信頼もされている方です、帝国の官吏とはいえ、群島嶼連合の剣士なれば、信頼してみても良いのではないでしょうか、帝国の追手も何処まで来ているか分かりませんし・・・何より、もうみんな疲れ果てて動けません、それに、アキルシウスさんの帯に、太陽神官様の黄色い結符がありましたよ?」




 しばらくして、ヘリオネルが長老と壮年の戦士長を伴って執務室に現れた。


「アキルシウス護民官殿、我々は満場一致でシレンティウム行政府の提案を受け入れ、この地に住まう事にした、ついては部族代表として私ヘリオネルが選出されたのでご報告を。」


 ヘリオネルは長老、戦士長と共にハルに頭を下げ、それからその長老と、戦士長を紹介する。


「こっちが我が部族の生き字引、ドレシネス老、そしてこれが私の弟で戦士長を勤めるベリウス。」


 ハルは2人の自己紹介を聞き、早速質問する。


「ドレシネス老は、文字の読み書きは出来ますか?」


「もちろんですじゃ、西方共通文字は修めております。」


「では、シオネウス族の戸籍を早急に作っていただく、作成例はこれ、これを参考にしてください、執務はこの部屋で。」


 ハルが取り出したのは、アルトリウスの執務室で保管されていた帝国の戸籍原本。


「・・・承知いたしました。」


 ドレシネスは、ハルから戸籍原本を受け取ると、離れたところに置かれている机へと向かい、早速戸籍原本を吟味し始める。


「ベリウス、配下の戦士は何名いる?」


「俺を含めて50名だ、そのうち女が4名。」


「では、臨時の治安官吏として全員を雇う、武器防具は持参できますか?」


「もちろんだ。」


「では、給金は月に金貨2枚、これで良いかな?」


「・・・破格だな、承知した。」


 片眉を上げて答えるベリウス。


「エルレイシア、早速女性戦士4名を連れて、アルマールの村へ行って下さい、あなたがいれば他族の者を連れて行っても大丈夫でしょう。」


「分かりました。」


「やって貰うのは、我々の荷物の回収、500余名分の食料の買い付け、それから・・・」


「定期的に行商人に来て貰えるように交渉すれば良いのですね、護衛はこちら持ちで構いませんか?」


 自分がすべてを言う前に、エルレイシアがさらりとやるべき事を答えたので、ハルはちょっと驚いたような顔をした後、笑顔になる。


「ええ、それでお願いします。」


「いいえ、私たちは一心同体、それぐらいの事は言葉にせずとも分かります。」


 にっこり嬉しそうにハルへ微笑むエルレイシアを目の当たりにし、更にはハルの腰についた結符を見てヘリオネルら3名はうんうんと納得したように頷く。


 ハルは大判金貨10枚を買い付け費用としてエルレイシアに手渡しながら、ヘリオネルらの態度を訝った。


「ん?どうしたんですヘリオネル族長?」


「うおっほん、いえ、こちらの事です、お気使い無く。」


「まあ、いいですが・・・では族長は居住地と農地の割り振り、それから残った人たちを使ってその用地の整地と建築をお願いします、但し、農地の割り振りは1家族あたり4H、住居は子供大人関係なく人数割りで、それから素案を一度私に見せてもらいます、それで私が良いと判断したら、割り振りを正式に行ってください。」


「承知した、何時から始めれば宜しいか?」


「2、3日は休養してもらって良いですよ、疲れてもいるでしょうからね、はいこれ、西区の地図です、この枠の範囲を割り振ってください。」


 同じくアルトリウスの執務室から見つけた西街区の更に一部の地図をヘリオネルへ手渡すハル。


「分かった。」


「ベリウス、残りの戦士を使って都市の巡邏をして貰います、盗賊や魔獣の類はうろうろしていますからね、交代や配分は任せます、これが遺構の地図です。」


「手回しがいいな、了解した。」


 一応の手配を済ませ、ハルは全員が始動し始めた事を確認し、ようやく一息をつく。


「これから大変だなあ・・・」




 全員が執務室からいなくなり、ハル1人になったところで、アルトリウスが姿を現した。


『来たばかりの蛮族をあのように信頼してしまってよいのか?』


「大丈夫ですよ、エルレイシアの威力は絶大です、太陽神官の権威がこんなに高いとは正直思っても見ませんでした。」


『確かにな、エルレイシアを害する事はまず無いであろうが、ハルヨシよ、お主は分からんではないか?』


「あ~確かにそうですね、それは忘れていました。」


『のんきだな。』


 自分の言葉に今気が付いたという様子のハルに呆れるアルトリウス。


「ま、でも大丈夫かなとは思いましたよ、彼らはすっかり弱っていましたしね、これ以上の諍いは避けたいんじゃないかと、だからこそ、この都市の住人にしてしまおうと思ったんですけどね。」


 椅子に座り込んだまま、ぼんやりというハルに、アルトリウスも同意した。


『うむ、まあ、そうだな、行く宛ても無く彷徨うよりは、廃棄都市とはいえここで暮らすほうがよっぽど良かろう、心優しい護民官殿はおるしな。』


「そんな立派なものじゃあないですけれどもね、第一、都市どころか、自分が使っているもののほとんどは先任が残してくれたんです、自分では何もやっていない、ましてやエルレイシアがいなければ話し合い自体できたかどうか・・・本人にはいえないですけどね。」


『言ってやれば泣いて喜ぶと思うが。』


 自嘲気味に言うハルをからかうアルトリウス。


 ハルが僅かに苦笑し、アルトリウスも少し笑みを浮かべたが、すぐに一転し、真面目な顔でハルに語りかける。


『・・・しかし、お主の言はちょっと違うな、確かに都市は我が残し、我らが整備し続けてきたものだが、それを利用し、人を住まわせようとしたのはハルヨシよ、お主だけだ、我の夢が儚く破れ、都市が陥落してから40年間で数多の者がここを訪れた、が、誰もその発想を抱かなかった。』


「それは、先任が自分を煽ったからでしょう?自分も最初は何もする気はありませんでしたよ。」


『煽られようが、誘導されようが、そこにお主の気持ちがなければこうはなるまい?』


「それはそうかもしれませんが・・・」


 苦笑のまま答えるハルであったが、アルトリウスも顔を崩さず、真面目な表情のまま語りを続ける。


『エルレイシアとて同じであろう、彼女だけでは何も為せん、おぬしが主導して初めて彼女の権威が生きたのだ、お主はもう少し自信を持ってよいぞ?曲がりなりにも我が我の夢を託せると思ったのは、お主だけなのだからな。』


 アルトリウスの言葉に、ハルは唇を引き結んだ。


「・・・できる限りの事はやってみるつもりです。」


『うむ、その意気である、頼むぞ辺境護民官殿!』


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ