第8話 アンナ初めて神社に行く。そして決別、公園なのに、そこは別世界だった・・・
神社の鳥居をくぐる寸前、アンナは立ち止まり躊躇した。
さくらさんが
「アンナちゃん、どうした?」
と聞くと
「神社に入ってもいいの?外人はだめなんじゃないの?」
とぽつり。その目は悲しそうにおびえていた。
「神社はね、誰が来てもいいし、アンナちゃんみたいに、可愛くてよい子は神様が歓迎してくれるし、願い事もかなえてくれるよ」
とさくらさんがフォロー
「近所のおじさん、おばさんたちが水商売の汚らしい子はあっちへ行けって、言わない?」
「水商売でもきちんとしている子なら神様よろこぶよ。アンナちゃん、お掃除もお洗濯もご飯の支度もきちんとできるじゃない」
とさくらさんもう一度フォロー、少し気分が晴れたよう
「ここでお参りしよう」
と3人で神殿に向かった。
さくらさん、俺達に100円玉を1枚づつ渡して、二礼二拍手一礼のお祈りの動作を一緒に教えてくれて、お守りも買ってくれた。
お焚き上げの場所があってそれを目にしたアンナが
「ミーシャンもういらない」
と言う。そこでさくらさん
「ここでお別れをしよう」
と言われ頷くアンナ。ミーシャンを手放したのに、表情はどこか少しスッキリしたようだ。
お参りも終わって公園に移動。早速食べ始める3人
「おいも美味しい。人参甘くて柔らかくて美味しい」
「ハヤシライス最高。肉がたっぷりあるし」
そう、俺は肉がたっぷり入ったカレーやハヤシライスを一度でいいから食ってみたかった。
「よかったな。お腹いっぱいになって、あったかいし」
「なんで?」
二人揃って聞くと
「天気もいいし、タイツで暖か、それにアンナちゃん晴れ晴れしいし、それとねぇ・・」
「なあに?」
もう一度二人揃って
「ふたりともラブラブ過ぎて、眩しいくらい、こっちまであつくなっちゃう」
「うん♡」
「アンナちゃん、右のお手々をパーで出して」
「楓雅くんは左のお手々」
「アンナちゃんは下、楓雅くんは上パーとパーでぴったりくつけるの」
何をするんだろう・・・・
「それでね、楓雅くんとアンナちゃんの指と指の間に通して、一緒にグーにするの」
繋がった俺達の手と手をさくらさんが両手で包みながら
「これね、恋人同士の手のつなぎ方。これならもっと近くなれるし、心の声ももっと聞こえる。それにもっと仲良くなれるし、簡単に二人は離れられないよ」
繋がった俺達の手と手。今まで以上にアンナの温もりや心の声が伝わる気がした。俺達そう簡単に離れられない、いや離されない、離れさせないよう俺は意を決した。
「そろそろ公園に行こう」
恋人つなぎで、前よりもっと近くに寄り添って歩く俺達。なんか今日の天気と同じく、ほんのりあったかで、晴れ晴れしい。
「ママ友軍団いないかなぁ?」
と俺が様子を伺うことを言うと、さくらさん
「大丈夫、いたらあたしが追っ払ってやるから。さっ遊ぼう」
冬の晴れ間に広々した公園はいつものジメジメしたママ友軍団や威張り散らしたジジババの虚栄心や偏見の目もないせいか、いつになく心置きなく楽しめた。
ベンチに座って俺達のレギパンを膝まで上げるさくらさん。自分も膝まで上げて
「楓雅くん青。アンナちゃん赤。あたしは黄色。あたしたちの脚信号だね」
と言ってタイツの脚を眺め合う。写真も撮った。全身のと脚だけので。
「二人とも脚長いから、大きくなったらショーパン似合いそう。いつもお揃いにしたら、姉妹って言われるよ」
「俺男だし・・・」
「楓雅くん女の子みたいだよ。目がくりっとして、ほっぺがぷっくりして」
ちょっと俺不満だけど、アンナはいつになくにっこり微笑んでいる。
レギパンの裾を上げたまま恋人繋ぎで公園を走り回る俺達。もう恥ずかしさも飛んだ。
普段なら怒られるけど、乳母車に乗せた赤ちゃんに近寄っても大丈夫だったし、抱っこもさせてもらって、アンナは大満足。赤ちゃんのママに
「あなた達かわいいね、どっちがお姉さん?」
そこでも俺ちょっと不満げ。
散歩の途中のおじさんおばさんたちの集団にも
「君たちかわいいな。お姉ちゃんの方は愛嬌がある感じで、妹ちゃんは色白で透き通った感じだな」
と頭を撫でられながら言われまくりな俺達。
相変わらずアンナだけ満足そう。
恥ずかしかったり、神社や公園に不安を感じていたけど、満たされた時間を過ごす俺達。
ところで最近俺もアンナもせんべい布団の飛行船が夢でどこにも連れて行ってくれないのは、心の充足が得られ始めているのと、もうすぐ現実で着陸の可能性があるかもと思っていた。
だけどそれは、別々の場所、二人だけの誰もさわれない国ではないかも、墜落の可能性もあると感じてもいた。




