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せんべい布団の飛行船  作者: 佳尾るるる


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第25話 初めて同じ夢を見た俺達のためのスペシャルフルコースディナー

 サンタさんどうやって来るんだろう?そう思いながら、久々に夢の飛行船の旅が始まった。


 安南と二人でおめかしをして、落ち着いた雰囲気のレストランで一品ずつ料理が出されるけど、スープはこぼすは、ナイフとフォークが上手に使えない。悪戦苦闘して完食はしたけど、食べた気はせず、疲れただけ。店の人の目が怖かったし。


 さらに隣の老人は王冠みたいなナプキンを頭に被ったり、手に差し込んで鳥のくちばしの真似をしたり、丸いクリップみたいのを目に当てて遊んだり、ナイフとフォークでカチャカチャ、電動お猿さんみたいになってたり、でフランス人に怒鳴られて追い出されたところで目が覚めた。


 目が覚めると、タイツの中にプレゼントが入ってた。お菓子入りのクリスマスブーツが。それとひらがなで書かれた便箋が一枚。


「ごしょうたいじょう


ふうがくん あんなちゃん よいこにしているので、ディナーにしょうたいします


おたのしみに」


と書かれている。やばいなぁ大丈夫かなぁ?ご馳走だろうけど、なんか緊張しそう。昨日の飛行船の夢と同じく。


今日もきちんとした朝飯を食べながらお父さんとお母さんに


「サンタさん来たよ、俺初めて。でも心配だった。うち煙突がないから。」


安南も


「私も初めて。煙突がなくても来てくれたんだね」


と言うと


「良かったなぁ、サンタさんに来てもらえて。それとな俺達のところにもサンタさんが来て、お前たちをディナーに招待してって言われたんだ。だから今夜は楽しみにしてくれよ。それとテーブルマナーだけど、ちゃんとしっかり教えるから心配するなよ」


お父さんそう言ってくれるけど、どうしよう・・・・安南はすっかり楽しみにしているようで。


 そう言い終わると、お父さんまた俺と一緒に外回り。お母さんと安南はいつも通り。


 ここの家に来てからお父さんと一緒の時間が増えた。取引先に言って俺を紹介して、時間がながければ外で飯。ここでお父さんと気兼ねなく色々話すことが増えた。あの女の場合は機嫌を伺わなければならなかったけど・・・


 安南はお母さんと一緒の時間が増えた。洗濯や掃除食事の支度の間に色々話したり教わったりしているそうだ。


 昼飯を食い終わって俺だけ家に戻るとお父さんは別の店舗に行った。


 掃除も終わっていてお母さんも用事で出かけたので、また安南と二人っきり


「なぁ安南。夕俺久しぶりに夢を見たんだ。お前と二人で外国に行って、ディナーをするんだけど、マナーがぐちゃぐちゃで、外国人に睨まれたり、老人がテーブルクロスやエスカルゴの用具で遊んだり、スープをズルズル飲んで追い出されたりとか」


「ふうくん、私もだよ同じ夢」


とうとう俺達同じ夢を見られたけど、バッドエンドなのがなぁ。やっぱ飛行船は思い通りにはしてくれない。


「私大丈夫かなぁ?なんかフルコース自信がないよ」


「俺も。だけどちゃんと教えてくれるって言ってるから、どうにかなるんじゃない」


 不安を打ち消そうと、この間もらったルース大爆笑のDVDを見る。これは土曜だョ全員集合のルースターズがでているコント集。東丸山の神様、もしもお◯ま、アホ殿様なんかが入ってたけど、レストランコントで俺達固まってしまった。


 レストランコント、それは加村とゲスト、元ナホコの老人3人が高級レストランに招待され、ハチャメチャな食べ方で追い出されるやつ、そう夢とおんなじ内容だった。


 ほんとに大丈夫か?ディナーの時間が待ち遠しくない。どうしよう・・・・


 夜になってお母さんが上がってきて


「さっ着替えましょう。この間絵美莉ちゃんにもらった服を着ましょう」


そう言って着替える。そしてお母さんも着替える。着替えが終わって下に降りると店はもう閉まっていた。店の中は明かりが暗くて一つだけローソクが灯ったテーブルが有る。


「こちらへどうぞ」


お母さんの案内で席に座る俺達。テーブルには王様の冠みたいなナプキンとナイフとフォーク、スプーンも置かれている。ガラスの小鉢には水が入っているけど、これは飲んではダメ。したらコントと一緒。ナプキンを頭に被るなんてもってのほか、


「前菜です。まずナプキンを広げて、ここ(太もも)に乗せましょう。」


と言ってお母さんはナプキンを乗せさせ、小さな蒸し鶏サラダを出す。


「ナイフやフォークは外側から順にお使いください」


なのでまずは左端のフォークでサラダ。次はエスカルゴだけど、殻から出されているのでフォークで食べる。結構旨いじゃん。


 次はカップに入ったコンソメスープ。いつものやつだけど


「カップは置いたまま次のスプーンですくって口元にお運びください。音はだめですよ」


だからそっとすくって口元に運ぶ。飲むときもズルズルはダメ。幸いなかった。


 次は魚料理で、アジフライ。これは特性のタルタルソースがかかっている。ここでナイフとフォークで小さく切りながら、ナイフでソースを乗せて食べる。出来た!

ナイフが使えた。結構旨くなってきたぞ。安南も上手に使っているし、旨そうに食べてる。


 ここで口直しの少量で薄味のソルベ、いわゆるシャーベット。


 そして、メインディッシュ第一弾はローストビーフ。初めてだけど真ん中が赤で大丈夫かな?と思ったけど、平気だった。すっかりナイフとフォークに慣れてサクサク食べる俺達。肉汁とソースがもったいない、そこへお母さんがバゲットを持ってきた。もちろんパン工場の。パンにソースを付けて食うのが結構旨い。やばいらしいけど


 メインディッシュ第二弾は恒例のハンバーグ、ヒレステーキ、チキンソテーの一口サイズ。ソースをかけるとき


「跳ねるので、ナプキンで顔を隠してください」


と言われる。ナプキンは頭に被ったり、くちばしの真似をするものじゃない。食べ慣れているけど、やっぱ旨い、旨い、旨い。最初は不安だったけど、慣れれば平気だし、本当に旨い。


 パンも食べてかなり満腹満足な俺達、次はチーズと小さめな野菜畑からデザート小さなケーキ2個これもパン工場の。食後のお茶は甘さ控えめのアイスティー。すっかり満足満腹な俺達。不安もなくなりまた食べたいなぁ。


 厨房からお父さんが出て来るけど、いつもの店の服じゃなくて、白いコックさんの上着に高い帽子。


「いかがでしたでしょうか?」


二人そろって


「美味しかったぁ」


満面の笑みでそろって


「さっ戻りましょ」


そう言われて部屋に戻った俺達。風呂に入って布団に入って安南が


「美味しかったね。ナイフとフォークも使えたし」


「うん、美味かった。最初はやばいと思ったよ。コントと同じになるんじゃないかって?」


「でもあれだよね。私たちおんなじ夢は初めて見れたし」


「バッドエンドだったけど、現実はグッドで良かった。また食いたいなぁ」


「うんっ食べたい」


そう言い合って、今夜も長めのチューでおやすみなさい。夢が現実になった初めてのクリスマス。来年もあったらいいなぁ・・・・・



片付けを終えた悠太郎と安芸子がリビングで寄り添うウイスキータイム


「上手に食ってたなぁあいつら」


「そうね。最初は緊張してたみたいだけど」


「確かに。フルコースはマナーや作法が問われるし、ナイフやフォークでつまずくことが多い」


「でも今のうちに慣れさせれば、大きくなっても恥を描かなくて済むわ」


「そうだぁ。あいつらにしっかりマナーを仕込めば出自で揶揄されることもない。これからたまに4人で食べに行ったりするか。フルコースとか」


「そうね。しっかりしたお店にきちんとした服装で連れていってきれいな所作を身に付けさせましょ」





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