第18話 すっかり疲れた俺たちにマスターから・・・・
やばい人種が捕まって、寒さと疲れと不安が一気に出て、部屋に戻ってぐったりしてしまった俺、ママさんが暖かい飲み物を入れてくれてホット一息。
しばらくして、マスターとママさん、俺とアンナがテーブルを挟んで座った。マスターはアンナににこやかな表情で
「アンナちゃん。あらためてよろしくな」
と言うとアンナも
「マスターこんにちは」
と返す表情は、憧れの眼差し。そして
「楓雅くん大変だったなあ疲れたろ?」
「うん、寒くて疲れた。あの女他人を巻き込むなっての。ったく」
「そうだなぁ。それでな」
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マスターは真剣な表情に変わり、ママさんもそれにしたがって切り出す。
「楓雅くん、もうこれ以上待ってもお母さんは戻ってこない。関わりたくないんだろ?」
と言うと
「うん」
とあっさり頷く俺。そして
「そこでだ、マスターとママの子にならないか?」
えっ今なんて言ったの?
「うちに来よう」
えっマジ?でもなぁ・・・・・
「俺はいいけどアンナはどうするの?」
嬉しさの瞬間アンナと離れ離れになるかも知れないと思うと、マスタはーアンナに向かって
「アンナちゃんも一緒においで。二人はこれから兄妹だ。誕生日は一緒だけど、楓雅くんのほうが少し早い時間に産まれているそうだからお兄ちゃん。アンナちゃんは妹だ」
と言うとアンナも少し戸惑った表情で
「お嫁さんじゃないの?」
と言うとママさんが
「アンナちゃんね。あなたの歳だと正式なお嫁さんにはまだなれないし、言わなくても楓雅くんとはずっと一緒にいられるわ。でもこれからうちに来ればきっといいお嫁さんになれるわよ。だからお母さんと一緒に頑張ろうね。それともう一つ、うちに来たらアンナから安南になるの、これはね、お母さん安芸子っていうんだけど、そこから一文字とった名前なの」
と紙に書いて見せるが、読めはしない
「うん、私お母さんといっしょに頑張っていいお嫁さんになる、それと私の名前はお母さんと一緒になるの嬉しいよ」
とアンナは目を輝かせて言った。この表情は今まで以上に晴れ晴れしていた。そしてマスターが
「うちの子になる条件はただ一つ。二人ともこれからもずっと仲良くすることだ。今でも充分だけど、これからも二人揃って頑張ってほしい。いいね」
俺達二人そろって大きな声で
「はい」
と二つ返事だった。
これでアンナともずっと一緒にいられる。あの女とは大違いの両親のもと、しっかりとした生活が出来る。公園にも毎日ママ友軍団、ジジババ軍団気兼ねせずに行ける、が別の不安もよぎりだした・・・・・
一方のアンナはすっかりごきげんでマスターとママさんいやお父さんとお母さんに
「私ね、マジブルームの真樹ちゃんの家に憧れてたんだ。真樹ちゃんちパン屋さんで、お父さんとお母さんがいつもそばに居て、美味しそうなパン食べられるしから」
「お父さんとお母さんにいつも居てほしかったのか?常にいるわけじゃないし、うちはパン屋じゃないしレストランだぞ」
「いいよ別に。水商売でロシア人じゃなかったら」
「レストランもお酒飲む人いるけど、お店の人は飲まないから大丈夫よ。お父さんは他のお店や用事で外に行ってるけど、お母さんは毎日一緒にいるわよ」
「よかったよかった。じゃぁ早速帰ろううちに」
そう言われて持ち物をまとめて俺達は一旦ボロアパートを出たけど、また一つ
「脱獄出来たな」
と俺は感じて、駅前のビルに向かった。
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