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せんべい布団の飛行船  作者: 佳尾るるる


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第16話 ボスがお父さんだったらいいなぁ でもありえないだろうけど・・・

 ママさんが毎日来てくれるようになってから、俺達の生活の質はぐっと上がった。洗濯は毎日干せ、掃除ももっと隅々まで出来るようになった。最初はママさんを怖がったアンナも毎日一緒に家事を手伝うようになり、すっかり打ち解けたようだ。嫁と姑って感じで、バトルにならなければいいけど・・・・


 里芋といかの煮付け、野菜畑和風だしの昼飯を食いながら、アンナが


「昨日ね、太陽にかけろ!ってドラマ見たんだ。そしたらふうくん、マスターはボスとジーンズ刑事にそっくりっていうんだ」


「あらっ随分昔のドラマ見てたのね。ジーンズ刑事はおぼさんがの頃だったわ。ボスはもっと昔は映画で人気だったのよ。二人ともバッタバッタと悪者やっつけてね」


「へぇぇ、そうなんだ。ほんとジーンズ刑事かっこいいよ、私大好き。ボスはお父さんになってくれたらなぁって」


「ボスがお父さん、もしかしたらなってくれるかもね」


「なってくれたらうれしい。そうしたら毎日お父さんに、お疲れ様って言ってビール出すんだ」


「あらっそれじゃぁボスが旦那さんじゃない?それはだめよ」


「どうして?」


「それは浮気って言うのよ。お嫁さんがやってはいけないこと。アンナちゃんには素敵な旦那さんがいるじゃない」


「あっそうだった。でもお父さんにお疲れ様って言ってみたいよ。お父さんみんなのために頑張ってるんだから」


「それは良いことよ。お父さんはお母さんや子供たちのために汗水垂らして働いているんだもん」


 アンナはマスターがお父さんになってくれたらって本気で思ったようだけど、ありえないだろう・・・・


「マスター若い頃、ほんとジーンズ刑事にそっくりだったわ。あの頃マスター大学生で、基地の近くのハンバーグとピザが美味しいお店でアルバイトしてて、私はバスガイドさんだったの。そのお店憧れの場所で、初めて行ったとき怖い人に絡まれて助けてくれたの。」


「マスターはママさんのヒーローだったんだね」


「そう、それからかなぁ。お付き合い始めて、マスターは卒業してそこの正社員になって、何年かして大きなホテルに行ったり、洋食屋さんに行ったりして、私も何年かしてバスガイド辞めて、そのお店でウエイトレスさんになったの」


「バスガイドさんって?」


「観光バスってあるでしょ。そこの一番前に立って、お客さんに案内したり、ちょっと歌ったりするの」


そこで俺達声を揃えて


「ママさん ♪あめあめふれふれもっとふれ~ の人にそっくりだよ」


そうすると微妙な顔で


「私、昔から大人っぽいって言われてたけど、本当はお姫様みたいな可愛らしいアイドルの子好きだったのよ。楓雅くんみたいにお目々パッチリでまつ毛がクルンって長い子。麻川まみって子」


 ママさん多分若い頃から迫力満点のルックスだったんだろうけど、本当は年相応の可愛らしさが欲しかったんだろう・・・・


「たまに歌うわよ。雨の歌。一度お店にも来たわ」


と言ってスマホから2ショットを見せてくれた


「どっちが本物かわからないよ」


声を揃えて俺達


「でもあの人のほうがずっときれいよ。」


そして俺達もう一度


「ママさんだってかっこいいよ」


「あらっありがとう」


ママさん、ちょっぴりご満悦のよう。


 食べ終わると今日も早めに公園。例の散歩の人たちが大勢居て、ママさん一人ひとりに挨拶をすると、普段は俺達を睨みつけるのに、今日は何もしなかった。やっぱなんかありそうだ。マスターとママさん。


 今日の夕飯はピーマンの細切り炒めににほうれん草の胡麻和え。ママさんが飯の支度をしてくれるようになってから、野菜が増えた気がする。俺もアンナも人参やピーマンをたくさん食べられるようになった。


 最近ほんとせんべい布団の飛行船はどこにも連れて行ってくれない。どうしてだろう?だけどあの女が消えて、アンナが来てからすごいよく眠れるようになった。アンナもそうだって。


「ねぇふうくん。このままこの飛行船でマスターとママさんの家に連れて行ってくれないかなぁ。私ママさん大好き」


「それはどうかなぁ?よそのうちの子を連れて行くとは・・・・噂だけど、ママさん化粧が濃すぎるとか、女豹って言われてるらしい」


「そんなことないじゃん。ママさん優しいし」


「母親とか、店の連中が一部言ってる。マスターや店長に怒られると」


「ママさん、きっといい子にしてれば、怒らないと思うよ」


「そうだけどね」


 店の母親の仲間が家に来て言っていた。マスターや店長に怒られて、その腹いせにマスターやママさんの悪口を。そりゃそうだろう。無断欠勤や遅刻の常習犯じゃ。


「ほんと一度でいいから、同じ場所に行きたいな」


「うん」


 そう願って今日はいつもよりぴったり抱きあって眠りについた。寒さが増してきて、なお温め合うためにも。



     マスターとママさん 大人の恋の物語のように水割りで


「あの子達太陽にかけろ!の刑事にそっくりだってあなたのこと」


「ジーンズ刑事か?」


「それとボスだって」


「ボスは貫禄が会ったよなぁあの頃40くらいだろ?50代の今の俺にそこまで」


「アンナちゃんね。ボスがお父さんだったらいいなぁって」


「懐いてくれたらいいな。お前にはどうだ?」


「あの子達すっかり懐いてくれたわ。ほんと可愛らしい。でも親子になったら気をつけないとね」


「そう、親子だからな。俺達の仲間の孫と仲良くなるだろうけど、時にはしつけたり、咎めたりしなくちゃいけないから、憎まれることもあるかもしれん」


「でもそれを乗り越えたいわ。色々と逆風も多いだろうけど」


「当然覚悟はあるさ。ところで戸籍のことだけど、普通養子縁組にしようと思う。」


「どうして?」


「楓雅くんだけのときは特別養子縁組で良かったけれど、アンナちゃんもとなると、将来二人が結婚する場合出来なくなる。血の繋がった兄妹同士の扱いになるから」


「本当にこの先結婚するのかしら?なんか10年くらいしたらなんか怖いわ・・・」


「大丈夫だろ。あの二人だらしがない母親を憎んで、二度と帰って来るなとも言っているし、反面教師にするだろう」


「そうなら良いわ。もう少しね、あなた」


「ああ」



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