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エンヴィオウス

作者: 紫黄

 私は幼い頃から周りからチヤホヤされた。なぜなら顔が良かったからだ。自分でもある程度は理解していた。男は鼻の下を伸ばし、女は媚を売りにくる。たまに攻撃してくる奴もいる。大人はみんな優しい。顔が良かったから。逆にいいように言えばそれ以外なんの要素がなくても顔いいという条件だけで周りから囃し立てられた。でも何も楽しくなかったし嬉しくもなかった。むしろ気持ち悪いし辞めて欲しかった。優遇しないで欲しかった。


 私の家庭はかなり複雑だった。幼い頃に両親が離婚し、すぐに母に彼氏ができると、毎日毎日喧嘩。電話越しでも直接会っても喧嘩。母の泣き叫ぶ声や怒鳴る声を聞くのが辛くて堪らなかった。それから家にいろんな男が出入りするようになった。早めに帰ってくると言っておきながらいつも深夜3時に帰ってくるのが当たり前だった。そんな日々が続いて私の心はかなり壊死してしまった。辞めてほしいと何回も言っても私がなぜか怒られるだけだった。もう誰も信用できなくなった。人と関わるのが嫌になった。


 私は同じクラスの絵里ちゃんが羨ましくて仕方なかった。絵里ちゃんはいつもキラキラしてて楽しそうで、友達もいっぱいいて、周りに恵まれてすごく羨ましかった。彼女には人を惹きつけるオーラがある。誰にでも優しくていつもニコニコしている。私とは正反対だ。いいなー。私もあんなにキラキラしてたら人生もっと楽しかったんだろうな。こんなつまんない人生じゃなかったんだろうなー。絵里ちゃんになりたい。________




私は同じクラスの椿ちゃんが羨やましくて仕方なかった。小さい顔、大きくてクリクリの目、サラサラの髪、モデルみたいなスタイル、私がほしいものを彼女は全て持っている。すごく羨ましい。なのに彼女はあまり人と関わることが好きではないようでいつも一人でいる。私にはまるでわからない。なぜ、あの恵まれた容姿を持っていながらも一人を望むのか。あのルックスなら無双できるのに。少しでも自分をよく見せようと毎日朝早くに起きて、化粧とスタイリングに3時間くらいかけてるのにやっぱり元がいい子には勝てない。そんなことはわかりきっていることなんだけど悔しくて堪らない。自分がブスなのは既に自覚している。子供の頃から顔については結構ボロクソに言われたし。だからせめて性格は良くあろうと思ってどんなに体調が悪かろうが絶対に表に出さないように常に明るくいようって頑張ってるけど、正直かなりしんどい。私が椿ちゃんだったらきっと何もしなくても人が寄ってきてチヤホヤされたんだろうなー。瞳ちゃんになりたい。

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