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一話「反乱軍」

リディアを発見し、既に太陽は頭上に昇っているが、俺は休まずに馬を走らせ続けついに村らしきものを遠くではあるが見つけた。白い煙を上げているところから既に何もかも燃やした後らしい。

俺はリディアを村から少し離れたところに馬と荷物を置いていき、一人で弓を持ち村に近づいた。

 

「っ…」

 

焼け焦げた家が所々にあり、焼けた匂いに混じり腐乱臭が鼻をつく。焼けた跡を見るに焼かれたのは最近らしい。地面を見ると飛び散った血の跡や折れた矢がある。

 

「…野党…の仕業か?」

 

この分だと村人は全滅か…

近くに倒れている女性を発見する。既にこと切れており、その腕には…赤ん坊を包んでいるであろう布が見える。

 

女子供でも容赦なしかよ…胸糞悪ぃな…。

 

「リディアのご両親は確か銀色の首飾りをした女性と金色のブレスレットを付けた男性だったな…」

 

特徴を聞いておかないと誰が誰だかわかんねえしな…リディアのつらい表情を見るのは忍びなかったが、しょうがねえ。

燃え尽きた家々を見ていく。中には燃えずに遺体が残ってたりと痛々しい遺体を目の当たりにしなきゃいけない。

 

こりゃあ…俺のメンタルも持たねえかもな…。

 

「っ…」

 

 

―—————————行け!———————————走れ!—————————————

 

―—————————オイ!———————————しっかりしろ!―――――――――――

 

 

嫌な光景だ。辺りは血、血、血…フラッシュバックの中に出てきた子供を抱えて動かない女性。

何もかもが嫌な光景だ…。

 

「チクショウ…」

 

舌打ちしながら俺が嫌な記憶を頭から話すために、煙草を口に咥えて火をつけた。俺がこの世界に来る前に持ってきたライターを胸ポケットに入れて煙を吸い込む。

 

だが、俺には疑問があった…

 

これ、誰の記憶だ…?

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リディアの証言にあった金色のブレスレットをした男性と銀の首飾りをした女性の遺体を発見した。矢で射られて身体に数本矢が刺さっていたのを俺は手で矢を抜き、土を掘って遺体を埋めておいた。二人分の遺体を入れた盛り上がった土に石を三個ほど積んて手を合わせた。

 

「(彼女をこれからどうするか考えねえといけねえな…)」

 

合わせていた手を離し、地面に置いた荷物を手に取り立ち上がる。

 

俺が後ろに向いて歩きだした時、何かの音を耳に入れる。

ドドドドドドドドと何かが群れを成して向かってくる音だ。魔物かもしれないと警戒した俺はすぐに崩れた家の物陰に隠れた。

 

地響きのように足元が小さく揺れる。それは次第に大きくなり、集落の入り口を見るとその音の正体を現した。

 

馬に乗った甲冑姿の人間だ。それも500人以上はいるぞ。しかも数人の兵士の槍には旗が掲げられているところを見ると盗賊とかそんなんじゃない。装備も整いすぎているところを見るに軍の正規兵だ。

 

馬に乗った兵士たちは先頭にいる兵士が馬を止めると後ろにいる兵士も足を止めた。

 

どうやらこの集落で休憩するのか続々と兵士たちは足を止めていく。

 

「なあ、何で昨日襲った集落にまた来たんだ?」

 

「そりゃあ、反乱軍の退路を断つために決まってんだろう。ここは丁度ナルクラ共和国との国境線に位置する町だ。ここに兵士を置いていけばもし反乱軍が逃げるとすればこの集落を通るはずだ。もしこの集落を通って国境線を超えたら反乱軍はナルクラに協力するし、我らが追えなくなる」

 

兵士たちの声が小さいながらしっかり耳に入った。やっぱりこいつら帝国軍かよ…なんの罪もない人たちを殺しておいて…!

 

「しっかし、勿体なかったなぁ…ここの集落にいる女は良い女揃いだったのに」

 

「殺してからヤッた癖によく言うぜ」

 

「殺してしまったら抵抗しねえからいいじゃねえか」

 

ここまで腐ってんのか…帝国はよぉ

 

「それにしてもロクに美味いメシ食ってねえなあ。早くこんなクソな任務終わらせて腹いっぱいメシ食いてえよ」

 

「明日には反乱軍のいるアジトに付くんだ。焦んなよ。確か、反乱軍首領の名前は…ラウルだったか?」

 

「っ!」

 

ラウルって…昨日俺が捕まってたとこのリーダーか?あいつら反乱軍だったのかよ。

明日つくって事は今日はここで野営する気か?どうする…ラウル達のところに戻ってこの事を伝えるか?いや、俺がそこまでする義理がアイツらにあるのか?俺は余所者であり何も関係ない赤の他人だ。

面倒事もごめんだし、争い事に巻き込まれたくねえ。早くここから離れてリディアを連れて…

 

『お家も…無くなっちゃった…おとう…さ…んも……おか…さん…も…』

 

脳裏にフラッシュバックする様に出てきたリディアの泣き顔…あの子はこの争いに何の関係も無いのに巻き込まれた。それに首を突っ込んだのはこの俺自身だ。あの子が泣いてるのに声を掛けてやらなかったのは何処のどいつだ。あの子に何かしてやりたいと思ったのは俺の心だ。誰の指示に従ったわけでもない。俺がやりたいからやってるんじゃねえか!

それに、もし運良く帝国領土外に生活出来たとして、帝国が攻めてこないという保証は何処にある?ここまで戦火の火種を撒き散らすぐらいの考えだ。今この世界で頼れる人間は…あいつだけだ…!

 

そう思っていたら、俺は誰かに見られていない事を確認しながら集落から急いで出ていった。

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息を切らしながら俺は足を進める。急いでラウル達に伝えるためにリディアと馬の元にたどり着いた。すぐに荷物を馬に

 

「リディア、ここから離れるぞ…帝国兵がすぐそこまで来てやがる!」

 

「ッ!?てい…こく…?」

 

俺が帝国という言葉を出した瞬間リディアの顔に影が濃ゆくなった。

わかってるさ。お前の仇が帝国軍だってことをな。だが、今は仇討できるような状態じゃないのも確かだ。

俺は肩に背負った弓と矢が入った矢筒を地面に置きリディアの両肩に手を置き、リディアの瞳を見つめる。

 

「リディア…気持ちはわかる。お前の仇が帝国軍だってことも何もかも…だが堪えろ!俺たち二人が頑張ろうとあの人数を相手には出来ねえ。だから、力を手に入れる!それにはお前の力も必要なんだ。だから、黙って俺の言うことを聞いてくれ!お願いだ…!」

 

「……!」

 

両肩を掴んだ手を振り払い、リディアは地面に置いていた弓と矢筒を引っ掴んで走り出す。

 

「リディア!」

 

俺の声を振り払うように走り止まらない。やばい…このままじゃあリディアが殺される!恐らくリディアは一矢報いる気だ。帝国軍のことだ。村を焼き払うぐらいのことをしたんだ。リディアを容赦なく殺すはずだ!

チクショウが!リディアを見殺しにできない!何故そう思えるのか、俺自身にもわからない。しかし俺の体はあいつを死なせたくないと本能がそう囁いている気がした。

俺はリディアを追いかけるために走り出した。

 

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リディアの村は帝国領土の隣の領土ナルクラ共和国の国境線位置にある小さな村だ。ここではほとんどの人間は狩りをしたりして過ごしていた。

リディアの父は狩人だ。朝早くから森に狩りをするために出かけ、必ず大物を仕留めて帰ってくる。リディアは狩りをしている父を誇りに思いながらその背中を見て育った。人間は命を頂き生きている。特にリディアの父はその命の重さを理解し、生命を頂く偉大さを尊重していた。

自分たちが仕留めた獲物は責任を持ち食べつくす。命を頂くとはそういうことだ。

父の口癖だった。そんな父は数日前に突如現れた帝国軍に殺された。理由は反乱軍がこの帝国とナルクラ国の国境線に位置するこの村に拠点を作るため。

現れた帝国軍は言った。『避難しろ』ではなく『反乱分子とみなし処刑する』。

 

その日、リディアの平和は壊された。

目の前でやさしい母を殺され、尊敬している父を殺された。

 

リディアの心の中にあるのは憎悪、憎悪、憎悪。帝国に対する憎悪だけ。

 

お父さんとお母さんを殺した帝国軍兵士を絶対に許さない。

一人でも多く道ずれにして殺してやる。

 

それが今のリディアの心の中にあるもの。

 

仇を撃つ。

 

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キャラクター紹介

名前:リディア

歳:十代前半

 

幼いころから狩人である父の背中を見て育った少女。

綺麗な銀髪に大きな碧眼の持ち主。顔立ちも幼い子供。意外と大食いである。

 

 

 

 

 

 

 

========================

 

ちくしょう!どこにいるんだ!

リディアが森に入ったところを追いかけたが見失ってしまった。リディアの小さな体だったら草の茂みに簡単に隠れられる。畜生!モタモタしてる時間はないってのに!

もう村まで目と鼻の先だ。あまり大きな声をあげると帝国兵に気づかれる可能性もある。

 

「リディア…!何処だ――うわっ!」

 

草むらを分けて足を前に進めた瞬間、足に何かが引っかかった。顔面から地面に熱烈なキスを交わして一瞬思考がシャットダウンしかかったが、何とか意識を保ち顔を手で押さえながら足元を見る。

 

「チクショウが…何だよ…っ!」

 

足元にあったのはリディアが俺から奪った弓だった。そして傍らには一人の鎧を着た男が一人倒れている。喉には矢が刺さっていて絶命している。

まさかだが、これはリディアがやったのか…?だとしたらリディアは一体…

 

「まさかっ!」

 

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========================

 

焼き払われた村の中心、兵士たちは縄で縛った少女を取り囲んでいた。

 

「うぅぅぅ!離せ!殺す!殺してやる!!」

 

銀髪と碧眼の少女リディアだ。縄に縛られていようが憎悪と殺意をむき出しにした獣の様に帝国兵に大声を上げ吠える。だが帝国兵たちはそれを見せ物の様にリディアをあざ笑い、珍しい動物を見るような表情をしていた。

 

「まさか生き残りがいるとはなぁ、あの中をよく逃げてきたな。でも、わざわざ助かった命を捨てに戻ってくるとは、やっぱり発想がガキだなぁ!」

 

一人の帝国兵の一言に他の兵士たちも笑い出す。

 

「オイ、このガキ殺す前にヤっちまうか?」

 

「おいおいまだガキだぞお前、そんな趣味があんのかよ」

 

「うるせぇ、ガキだろうが女は女だ。どうせ死ぬんだったら最後に気持ちいい思いさせてやろうぜ」

 

「それもそうだな」

 

ジリジリとリディアに近づく帝国兵士たち、彼らは性という欲望を目の前の少女で発散させようと目をギラギラさせながら近づいていく。

 

結局何もできなかった…

 

リディアの中にはあきらめと絶望に満ちた。瞳にたまった涙が頬を伝い、一滴枯れ果てた大地に零れ落ちた。

闇という絶望の影がリディアの心を支配する。

 

どんな影にも光は必ず射し込む。

 

「オウラアアアアア!!」

 

後ろから鎧の金属がガチャガチャと音を立てて走ってくる足音の後に聞こえた雄たけび。そして、ジリジリと寄ってきた帝国兵士を右の拳で殴りつける帝国兵士の姿がリディアの視界に入った。

 

咄嗟のことで防御も何もできなかった兵士はそのまま拳をモロに喰らい、後ろにいた数人を巻き込みながら倒れていく。

 

「全く、勝手な真似して迷惑かけやがってこのクソガキ…赤の他人だから面倒ごとに巻き込まれたくねえが…やっぱ、ガキだろうが女の子が泣いてるところを見捨てるのは、目覚めが悪いわな…」

 

頭に付けてる兜を取るとそこにいたのは、何の力を持たず、唯々目の前の少女を助けに来た一般人

 

早乙女礼二だった。

 

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========================

 

~数十分前~

 

とにかく俺は遺体を調べている。鎧の形とか、紋章が入っているところを見て、こいつ…帝国兵士だよな…。首に矢を撃ち込んでるし、近くには俺の弓…これをやったのはマジでリディアなのか?恐ろしいなあのガキ…。

 

などと考え事をしていたら、俺の首元に何か当てられる。銀色に光る小さな剣。

 

なぁ~んだ小剣かぁ~♪

 

「えっ?」

 

じゃねえわ!小剣!?ナンデ!?ココ敵の陣地マジかだからそうだよねぇ♪

 

って現実逃避してる場合じゃねえわ!

 

「動くな…動いたら命の保証はできないよ」

 

ん?この声何処かで…。

 

「……」

 

「キミは帝国軍かい?それとも共和国軍兵士かい?」

 

このさわやかイケメンボイス…どこだったっけ…最近聞いたんだよ…

 

…………あ

 

「ラウルか?」

 

「何故キミがボクの名前を知っている?」

 

「何故もなにも、昨日俺を牢屋送りにして事情聴取しただろうが…忘れちまったかぁ…反乱軍リーダーラウルさんとりあえずその首元に置いてる小剣仕舞ってください冷や汗が止まらぬ」

 

後ろを振り向くとそこにいたのは人当たりがよさそうな顔見知りのイケメンがいた。

 

ヤッダ!なんか顔から眩くてキラキラしたものが飛んでるようにミエル!ナニこのコ!これだからイケメンっつう種族は好きになれねえんだよぉ!

 

…案外困った顔カワイイじゃない…そっちの気はサラサラねえがな。

 

「キミレイジかい!?こんなところで会うなんて奇遇じゃないかい!」

 

「そうだな!お前は元気に―――――って!同窓会じゃねえんだよ!」

 

何ツッコミ入れさせてんだこの天然イケメン!状況を見ろよ状況を!

 

「っと、そんなこと言ってる場合じゃないね…キミがこの兵士をやったのかい?」

 

俺のツッコミは無視ですかそうですかわかってましたよコンチクショウ!

 

「…いや…途中一緒になったガキがいるんだが、そのガキがやったらしい」

 

「子供?」

 

俺はラウルたちと別れた後のことを話すことにした。

 

「そうなのか…ボクたちも偵察兵の伝令を聞いてここに来たんだ。帝国兵がここに駐屯しているって」

 

「ああ、確かにいるぜ。ざっと数は600はいる」

 

「随分と多いな」

 

「わざわざ国境線位置にある村を焼き払ったぐらいだ。アンタ、相当恨まれてんだな。流石反乱軍リーダーだ」

 

「やめてくれ。ボクはリーダーの器じゃない…こうやって解放軍…もとい反乱軍を結成させても。逃げて、逃げて、逃げ続ける毎日を送って…それでも勇敢な兵士たちを無駄死にさせていった…ボクは、リーダーなんかじゃない…今回だって、兵士たちを集めたけど、犠牲がどれだけ出るか…」

 

 

 

 

 

 

「お前、そんなんで反乱軍を結成させたのか?」

 

 

 

 

 

「えっ?」

 

「お前らは何でこの軍を結成させた?暴虐の限りを尽くす帝国軍を叩きのめしたいと思ったからなんじゃないか?確かに、これは素人の俺が口出しすることじゃないかもしれねえ、だが、お前らは志を同じくして集まったんじゃねえのか?犠牲が出るからリーダーとして向いてない?ならお前は何故軍を指揮してる。覚悟したから戦ってんじゃないのかよ…」

 

「キミに分かるか。ボクの一言で数十、数百の仲間が死んでしまうんだぞ。それがどれだけ重い物なのか…」

 

「犠牲が出るから戦いたくないってのはお前が仲間を信じてないってことじゃないか」

 

「っ…!」

 

「仲間だと言うんなら、その仲間を信じてやれよ。お前の言葉で動いてる奴らは覚悟を持ち、お前と同じ考えだからこそお前に付いていってるんだ。仲間たちだって覚悟してお前に付いていってるんじゃないか…アランもセシルも……俺は行くぞ。リディアを守る。赤の他人だろうが何だろうが、あの子は泣いてた。泣いてる女の子をそのままにしておいて置くのは…目覚めが悪すぎる」

 

俺は足元に転がってる帝国兵士の遺体の身ぐるみを剥がしだし、それを身に着ける。

…この鎧結構重いな…。

 

「…君って、不思議な人だよね…どうしてそんなに前向きに考えられるんだ?」

 

「後ろ向きに物事を全て考えてどうするんだ?何か変わるのか?状況が一変するのか?そうじゃねえだろ。後ろ向きに考えていれば次第にやる気も失せて全てが悪い方向に考えてしまう。

俺は足を止めたくないから前向きに考えてるんだ」

 

…この鎧どうやってつけるんだ?鎧なんて初めて見たから付け方なんて分からねえよ…。

 

「ふふっ…レイジ、鎧反対に着てるよ」

 

「マジか…」

 

やっべぇ…恥ずかしい!

あんだけ偉そうに言ってたのに間抜けなところみせたら恥ずかしいに決まってんじゃん!穴があるなら通り抜けたい!

 

「ははっ、ちょっと前向いてくれ。鎧を着せてあげるから」

 

「お、おう」

 

ラウルの前に身体を前に向けて鎧を付けてもらうことにした。

…流石反乱軍のリーダー…鎧は付けなれてるのかちょちょいと付けていった。

 

っていうか重っ…!

 

「作戦はあるの?」

 

「…それは、お前らが手伝ってくれること前提か?」

 

「勿論さ」

 

「ならあるぜ、お前が怖がるように、あいつらに恐怖を教えてやるよ…!」

 

========================

 

 

 

 

 

 

 

 

========================

 

~現在~

 

リディアの前に立ち、帝国兵を一人殴り飛ばして、辺りの帝国兵は動揺を隠せていないようだ。

剣を抜いて俺に向けるものが入れば、オロオロとしてる兵士もいる。

 

「き、貴様!何のつもりだ!?」

 

「何のつもりも何も、ロリコン変態から少女を守ってるだけだ…」

 

「ふ、ふざけるな!この裏切り者!」

 

裏切り者とはこりゃあお門違いにもほどがあるなぁ…っつーかこの状況でまだ俺を帝国兵だと思ってんのか?

兵士全員の顔覚えてないの?まあ、数百もいる兵士の顔なんていちいち覚えてねえか…。

 

「あ~はいはい裏切りました~…それで?」

 

「はっ?」

 

「お前らは帝国と共和国の国境線位置のこの村を焼き払った。正直ここが国境線のどの位置にいるか知らんが、お前らがここに居るということは帝国国境内ということ…領地内のこの村を…しかも無害の民を皆殺しにしたということは、お前らは帝国民に刃を向けた裏切り者ということじゃないか?」

 

「な、なんという無茶苦茶な理屈…!」

 

あ~正直俺もそう思う。

 

「裏切り者には、裏切りの鉄槌を…この村を焼き払ったっつーことは、テメーら…やり返されても文句は言えねえってことだ!」

 

腕を勢いよく天に向けてあげた!すると、それと当時に周りから雄たけびが上がった。

 

「『わあああああああああああ!!!!』」

 

明らかに数十の声じゃない。数百という声が村中に木霊する。それと当時に黒い黒煙と赤い炎が周りから燃え盛る。同時にリズミカルにドン!ドン!と何かを叩くような音。しかし、周りからは何も見えない。得体の知らない何かが取り囲んでいることだけを理解できた帝国兵たちの動揺は更に大きくなる。

 

「な、なんだなんだ!?」

 

「偵察兵はどうした!?状況確認はどうした!?」

 

んなもんもういねえよ。お前らの兵士油断し過ぎで見つけ出すのも時間がかからなかったおかげで全部潰せたんだからな。

 

 

 

 

 

 

「さあて、お前ら、死ぬ覚悟はあるんだろうな?」

 

 

 

 

 

 

大きく上にあげた腕を下に向けて振った。これは合図なのだ。

 

 

 

 

 

皆殺せと…

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