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  作者: Nina Beilstein
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錆び付いた私の歯車

プロローグ~standby Lady~


あの日私の世界は変わった。機会の私が"私"を見つけられた日。あの人に巡り会えた日。全てがあの日から、錆び付いた歯車は動き出したのだ。


雨の日、鈍い金属が潰れる音とともに、私を突き飛ばしたマスターは、地面に突っ伏した。

「マスター……」

懐から滲み出る、鮮血を抑えながら私はマスターを呼んだ。しかし、マスターから鮮血は絶えず流れ、マスターは涙を流しながら私に話しかけた。

「1人にしてごめん、でも、私に思い出をくれてありがとう。あなたも、私みたいに幸せな気持ちで最後は迎えなさいよ…」

私の頬に触れていた、マスターの手は糸の切れたマリオネットのように、雨降るアスファルトの上に落ちたのだった。

駆けつけた救護隊は、マスターをキャスターに乗せて、病院に搬送し直ぐに手術室にマスターは連れ込まれた。私は内蔵バッテリーの警告アラートが脳内で響く中、マスターの手術が成功するように願い待っていた。

手術中のランプが消え、中から1人の医師が現れた。何も言わずともわかる…

「すまない…全力はつくした…だが…」

医師は方を落とし、すまないと何度も私に謝った。

「マスター……」

頭の中に流れる私の日々。マスターより先に死ぬのが私だったはず…だが…なんだろう…胸が苦しい…マスターがいなくなる、マスターとのメモリーが私を苦しめる…機会の私…こんな時どうしていいか分からない…こんな事なら、記憶を削除できるように作って欲しかった…こんな事なら最初から思い出なんて作りたくなかった…

マスター…私はどうしたらいいんですか?

マスター…あなたは私に幸せになれと言いました…幸せとは何ですか…

マスター………大好きでした。


マ………スター…


そこで私のバッテリーは切れた。




聞いた?あの子……あの歳でご両親亡くしたのよ…可哀想…

僕は、目の前の両親の遺影の前で立ちつくしていた。そう…僕…如月(きさらぎ) 和人(かずと)は、両親を亡くした。17歳夏…あの日も、今日みたいな、雨が降る日だった…家族3人仲良くドライブしていた時、スリップした車両に追突されたのだ。辛うじて生き延びた僕…そして今日は両親の葬儀なのだ。この後からの生活は、両親の遺産で一人暮らしをしながら高校に通うことになった。

しかし、1人で過ごすのにも限界がある。しかし親族から煙たがられてた僕には引き取り人などおらず、そのために1人、ヒューマンコミュニケーションアンドロイド、通称"イブロイド"を購入することにした。


今思えばこれが

僕の

私の

生活のターニングポイントだったのかもしれない。



私が目を覚まし、最初に見たのは知らない天井だった。

「…ここは?」

あたりをキョロキョロ見渡すが、あるものは私の寝ているベッドのみ、それ以外に何も無い…

「目が覚めたわね、Iv00159」

その呼び方をされ、私は少し勘づいた…そう…ここは…

「アンドロイド回収施設…ですか…」

「察しがいいわね」

アンドロイド回収施設…通称"墓場"回収施設に来たアンドロイドは基本破壊され、パーツを引き抜かれ再利用されるのだ、なので着いたあだ名は墓場。私もここに来たということは、マスターのいない私には、当然のことだが破壊されるのだ。破壊する理由はちなみに、再利用以外にもうひとつある。私たちは利用期限を過ぎた場合、稀に"アンデッドール(死んだ人形)"になることがある。そうなると、見境なしに人を襲ってしまう。理由は事故保護プログラムに従うため、私たちは人間を敵とみなし、攻撃してしまうからである。そうならないように私たちは、ここ、アンドロイド回収施設にマスター不在になったら、連れてこられるのだ。

「私は…破壊されるのですか?」

私は、おそるおそる聞いてみた

「普段ならな…しかし、お前は別だ。まだ使用期限もそこそこある。そのため、この前要請があった、新たなマスターのとこに行ってもらう。」

あまりない事だが、このように里親に出される場合もある、話を聞くと新たなマスターは17歳の男子高校生。両親が死んだため1人で生活ができないため、私を雇ったらしい。

「どうする?」

白衣を着た、研究者は私に聞いてきた。

『知りたい…マスターの最後の言葉が………』

私は、マスターの言葉"幸せ"について知りたくなり、私は依頼を受けた。数日後私はクリーニングされ、スタンバイ状態で梱包され輸送された。

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