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第3話 ぶらり慰安旅行 前編

本編では現在シリアスをやっているデュークですが、本来はジュンやアスタに次ぐギャグの起爆要因としてパーティー入りしたのを知ってもらおう。

 というテイストの悪ふざけ回となっています!

 時はイーリア歴827年、暦では寒さも落ち着きを見せ始めた初春はつはるの月。

 今日は気候穏やかな晴天の日、書斎でとある来客者と談笑をする赤岩順。

「はぁ~って事は、アカイワ様の日々の行動源は奥様であるミア様と」

「そうそう!ここはバッチシ覚えててよ~」

 男はシシリアルから来た記者らしく、今回は女王である【メイリーン】がスポンサーとして毎月発売されている『月間・お隣の偉人』という雑誌に、赤岩ファミリー全員が今月を飾る事になったそうで、只今は総責任者のジュンをインタビューしているという。


「じゃじゃ!アカイワ様この「俺の!わたしの!お気に入りメニュー3選」のコーナー行かせてもらいますね。3位から順番にお願いします」

「おうよ!そうだな3位は「和風おろしハンバーグスペシャル」だな」

「ふむふむ、聞いたことのない料理名ですねぇ。詳しくお願いします」

「牛と豚の合いびき肉と玉ねぎとで混ぜんだろ、それに各種調味料を混ぜてふっくら焼き上げんのよ。で!これだけでも超美味いんだけどよ、それに大根を摩り下ろした奴を掛けて、ミアの特製ソースを掛けんのよ。それがめちゃくちゃ美味くてな。特に夏とか暑い日とかにおすすめの一品だな」

 こんな調子でどんどんとインタビューが続き、記者は聞くべき所を全て抑えた後はジンやギリアムを始めとした、他のメンバー全てにインタビューが終わったのは太陽も落ちようとしていた夕刻頃だった。


「あぁもぉ~ジュンちゃん本当に人使い荒いんだからなぁ、こりゃ後で駄々でもこねて特別手当てもらっちゃおかなぁ」

 帰路につこうとする記者とすれ違いに、一人遠征に行っていたデュークが帰宅してきたのだ。

 遠征での疲労や、ジュンにどう小遣いをねだるかに頭を使っていたデュークは、すれ違いの記者に挨拶はすれど深い関心は持っていなかった。




~~~~赤岩家・食堂~~~


「……え~~~~~!うっっっっそぉ!ジュンちゃん達、取材来てたの!何でおっさん帰ってくるまで待ってて貰わなかったんだよぁっ!」

「あーもーうっせぇ!小遣いせしめた挙げ句に、わがまま放題かこのおっさん!うるせぇぇぇぇ!」

 食堂で全員食事を取っていると、誰がきっかけか今日来ていた記者や雑誌の話しになっていた。

 デュークを除くフルメンバーがインタビューされ、自分だけ仲間はずれだと主張する中年は、見苦しくもジュンに涙目で自分も出たかったと訴えかけている。


「おっさん……残念だったわね……」

 半狂乱でジュンに訴えかけている中年に、リューコが優しく声を掛け肩に手を置き、慰めを掛けていたのだ。

「リューコちゃん……」

「あたしは5ページ分もインタビューして貰っちゃって、ほんと悪い事しちゃったわね~!」

 訂正しよう。慰めではなく、追い打ちだった。


「ちょっとリューコさん!追い打ちしちゃダメですよ!可愛そうじゃないですか」

 すかさず高笑いするリューコに対し、止めに入るミアであったが、デュークからすれば嫉妬の標的が一人増えただけ。

「ミアちゃんは何ページ分なのさ!言ってみ!おっさん怒んないから!」

「……ページ……です……」

 恥ずかしいのか頬を少し赤らめ、小さな声で言ったミアだったが、これがデュークの嫉妬を更に煽ったのだ。


「えー?なんだって~?おっさん聞こえなかったなぁ~。ほらミアちゃん、ワンモアセイ!」

「8ページ……です。後お料理コーナーの分も合わせると12……ページです」

「ほぉぉぉぉぉらぁぁぁぁぁぁ!やっぱり多い!ねっ!お願いジュンちゃん!おっさんも!1っページだけでいいの!だからさぁぁぁぁぁ!」

「うるせぇぇぇぇぇ!足元で泣きつくな!叫ぶな!仕事ちゃっちゃと終わらせねぇで、フラフラ遊んで帰ってきたおっさんも悪いんだろうが!」

 こうなったデュークはもう止められない、普段でもそれなりに賑やかな夕食なのだが、今日は賑やかさがより一層ましてうるさくなていた。




~~~~数日後・赤岩家~~~~


「おいおっさん。出かけるぞ準備しろ」

「なにー?9ページのギリアムちゃん」

「こんっっっっっの、糞爺!まだ言ってやがる」

 やさぐれたデュークは、完全に拗ねておりこんな態度で1週間近く経過していたのだ。

 殴りかかろうとするギリアムを、必死にジンとアスタで抑え喧嘩は起こらずに済んでいた。


「はぁ……ほらおっさん、テメェの船チケットだとよ」

 呆れ返り怒る気も失せたギリアムは、ジュンから預かっていたシシリアル行きの船チケットを渡し、二人に後は任せると言い、デュークのバカさ加減によって引き起こされた頭痛が響く頭を押さえ自室に向かっていった。

「おぉ!えっ!?何今から行くの?さっすがジュンちゃん!憎めない社長よね~」

 急な手のひら返しには、ジンとアスタも呆れたのかこの一言しか出てこなかった。


「「この人……やっぱ、馬鹿だ……」」


 他のメンバーは皆事前に準備が済んでおり、後は彼を待つだけの状態となっていたが、遠足前の小学生の如くデュークは支度を終わらせ、予定通り出発することとなった。



~~~~ イーリア~シシリアル行き船・甲板 ~~~~


「んもぉ~ジュンちゃん何でおっさんにこの旅行の事教えてくんなかったのよ~、憎めないシャッチョさんだねぇ~」

「あんたに言うとはしゃいだ挙げ句に、毎日がハッピーバースデーレベルで騒ぐだろうが!んでクネクネすんな気持ち悪ぃ!2丁目に帰れ!」

 感激のあまりくっつこうとするデュークを剥がそうとしていたが、そこにアスタが駆け寄ってきたのだ。

「あー!おっさんししょーにくっつこうとしてる!アスタもー!」

 背後からジュンによじ登っていき、頭上を陣取ったアスタ。

 久しぶりの全員集合しての旅行、他の皆も楽しさのあまりに高ぶっているのは間違いない。

「そういやアスタ、ギリアムは?一緒じゃ無かったのか?」

「ギリアムはねぇ気持ち悪いって言って、部屋に戻っちゃった」



~~~~ 同船・船内市場 ~~~~


 旅客船で有っても船内で市場が開かれており、各所名物品・みやげ品・船内で食べ歩きができる物から始まり、世界各国でブランドを持つ品々が売られていたりする。

「えーうっそ!これあたしの国じゃもうちょっと安く買えるわよ!おっちゃんこれ、ぼってるんじゃない?」

「まぁまぁリューコ姉さん、船内料金と思うッスよ~。地売りと船売りじゃ税金の掛かり方も違うッスから~」

 リューコ・ルナのペアの二人は、世界民芸装束コーナーにて化粧品や服などを見ており、試着等で時間を潰していた。


 リィナ・ユキ ペア

「ユキさん、此方に来てください!ありましたよ!」

「あわわ……リィナさん、待ってくださいぃ……」

 体調が良いとのことで人混みの中、はぐれないように振り回されているユキ。

 この二人の目当ての品は、ギリアム用の酔い止めだった。


 ギリアムは「大丈夫」と言っていたが、リィナは普段の礼も兼ねてと買いに出た所、近くに居たユキに妹の事を頼んでいたのだ。

「1つ銅貨8枚……結構お高いのですね……勉強になります」

「でっでも、おじさんの話しだと……これが一番効く……みたいです」

「えーと……ユキさん、いくらお持ちですか?」

「えっと……ユキは銅貨3枚もってます……リィナさんは?」

「私は……4枚です」


 二人でギリアムから貰った小遣いを照らし合わせ、足りるかどうかと相談していたが、どうやら少し足りないようだ。

「おじさま!このお薬を銅貨4枚で売ってください!」

 リィナは少し前に読んだ『知られざる主婦の奥義・100選』という本の内容を思い出し、人生初の買い物での根切りという行動に出た。


「ちょっちょっとお嬢さん、いくら何でも半額じゃあ売れねぇよ。無茶ってもんだ!」

「そっそこをどうか!」

「ダメダメ!ウチは値切りはやってないの!」

 冷やかしお断りといい商売人の親父は突っぱねるが、兄に似たのか妹の方もかなり頑固で、ダメと言われては頼むと頭を下げるの繰り返し。

 やがてはどちらが折れるかという結末が気になり、気が付けば周りにはギャラリーが溢れていた。中には親父に安くしてやれというヤジや、二人共折れるなという応援まで入る始末。


「お願いします!」

「ダメ!」

「どうかそこを!」

「ダメったらダメ!」

 こんな会話が30分程続いてか、先に諦めたのは商売人の親父だった。


「……はぁもうしゃあねぇな。いくらなら出せるんだ?」

「二人で銅貨7枚です」

「わかったわかった、もうそれで売ってやるよ……おじさんの負けだよ」

 激闘の末にリィナとユキは値切りに成功し、定価よりも銅貨一枚だけだが安く購入出来たのだ。

 これには見守っていたギャラリーも歓声が湧き、値切りきった二人に称賛を贈る者、二人に勝利を譲ってやった親父を褒める者も。




 ミア・ジン ペア

「ジンさん良いですか、ハリクロウオはこの名前の通り黒いこの針に毒があるので、調理の時はこの針に気を付けてくださいね」

「はい!この魚はどんな料理に合うんですか?」

「そうですねぇ、油が乗っているこの時期だと刺し身にしてお醤油でいただくのが一番美味しいですね。ジュンさんが発泡酒に合うってよくおつまみにしてるんです」

「良いですねそれ!凄く美味しそうです」

 二人は年の離れた姉弟の様に、どの食材は何に合うという話しや調理法などを考え、時には試食も交えながら楽しんでいた。


「ミアさん……アスタちゃんが居ないです」

「えー!もうあの子はまた一人でフラフラと!」

 市場で魚の捌き方や、野菜の目利き等を教わっていたジンは先程まで一緒に居たアスタが居なくなっている事に気づき、人混みの中二人で懸命に捜索する事になってしまった。


「「アスタちゃーん!」」

 声を上げながら探していると、道行く人かららしき少女が甲板に向かうのを見たと情報が入り、買い物を切り上げ二人は急いで甲板に向かっていった。



~~~~同船・甲板~~~~


「見つけたよアスタちゃん!」

 ジンが人混みの中で何かを見物しているアスタを見つけ、声を掛けほっと一息をついた所で、一人で勝手に行動し心配させたとして、ミアにこってり絞られたアスタ。

「でも良かったよ見つかって。そう言えば何見てたの?」

「えっとね~ししょーとおっさんがね腕相撲しようってなって、それみてた!」

 

「あははは、なんだありゃ」

「仕方ねぇよ!最強ザ・ワンが相手だぜ~」

 観客のヤジを聞いていると、本当に二人が勝負をしている様子で、周りからは愉快な笑い声が聞こえてきた。


「ふんごごごごごごご!ジュンちゃん本当に魔力強化してないよねこれぇっ!」

「あははははは、頑張れおっさん。もう時間ねぇぞ~、あっお姉さーん発泡酒もう一杯!」

 周りの観客に聞いた所、15分以内にジュンを腕相撲で負かせばその日の夜の飲み台はジュン持ち、だが勝負の間3分経過する毎にジュンが一杯飲んでいく。そしてその代金はおっさん持ちというルールのようで、ジュンは指2本に対しおっさんは攻撃以外なら何しても良いというハンデ付き。

 それであってもジュンの腕は微動だに動く気配がない、しかも酔っている状態でだ。


「ミアさん……」

「はい……言わなくても大体わかりますが」

 二人はこの光景を生み出した主が、身内だという事にため息をつく他無かった。




 はてさて今回シシリアルの記者が来たことにより、赤岩家は全員でその製本を見ようと言うのと、慰安旅行も兼ねたこの旅行。

 始まりからこれで大丈夫か?このファミリーは?


To Be Continued?

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