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紫陽花  作者: 落葉藤本
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平凡な少女

朝は五時に起床する。

毎日の日課だから、目覚ましなんかにお世話になったことはない。中学に入るまで、時計は一時間ごとに鳴るものだと思っていた。朝起きるために、指定した時間に鳴る時計があることすら知らずにいた。世間様から見れば【浮世離れした子】と言われている。知っているけど仕方がない。だって、うちは普通のご家庭じゃない。

父ひとり子ひとりの父子家庭。父親の職業は神職。家は神社。毎朝の日課は居住スペース以外の神社の掃除。あ、境内は父の仕事。そして、神様への奉納。

うちでは普通のことだから、この生活が普通じゃないと知ったのは最近のこと。

「神社の子だから、不思議な力があるんでしょ?」とよく聞かれるけれど、生憎と魑魅魍魎の類は見たことがない。極たまに【呪われた】なんて助詞の付く品々が父親の下に持ち込まれることはあるけれど、実際に何かが起きたことはない。父さんが祝詞を唱えて、それで終わり。

父さんには、もしかしたら何かが見えているのかもしれないけど、わたしにはわからない。

漫画本を読むようになった頃ーーミステリーにハマってた頃はよく「何かいた?」と好奇心から質問していた。父さんの答えは「ミサキに見えないならいないよ」だった。

ーー見えないけど、いるかもしれない。

そんな想いは中学に入った頃には消えていた。

人は見えないものを信じられるほど純粋じゃない。況してや、家業で目の当たりにしているのだから。


斎守いつきのかみ神社の斎藤神咲、ごくごく普通の中学一年生でした。

つい、この間まで。



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