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序章
わたしには力がある。
ある万能の神様から一つだけ力を与えられた。
その力はたった一つのことを除けば、なんだって出来る。
怪我をした人を治すこともできる。
死んだ人だって生き返らせることができる。
けど、たった一つの願いだけは叶えられない。
何回やり直しても、絶対に手に入らない未来がある。
どんなに絶望しても変わらない現実がある。
だから、わたしは諦めた。
父さんを諦めた。
母さんを諦めた。
普通の生活を諦めた。
普通の幸せを諦めた。
普通に生きることを諦めた。
そして、この世界をーー諦めた。
これは、わたしがたった一つの願いを叶えるためだけの物語。