夜の海辺
ただなんとなく書いた作品
砂浜は足を取らず気持ちの良い感触が伝わってくる。
月明かりが私も私の周りも照らし、夜なのに明るいなんていう不思議な風景が出来上がっていた。
海辺はキラキラと光を反射してまるで海そのものが光っているようだ。
綺麗だと思った。
それは永遠に続きそうな程に普遍的で目を凝らしてしまう程に幻想的だった。
私は夜の海辺を走る。
他に誰もいない。
私は笑顔になる。
それも誰も見ていない。
月はそんな私をまるで吸い込んでしまいそうに光り輝いていた。
あ、死にそう。
唐突にそう思った。
今このまま止まったら、私は電池のなくなった機械の様に止まってしまう。
足が、腕が、体が疲れてきても私には不快感はなかった。
疲れも自分自身にとって心地よい。
そして。
「いち、に、さん」
私は、足を止めた。
1歩2歩片足で飛び跳ねて、最後には両足で歩を止めたのだ。
勿論、私は死ななかった。
死ななかったが、だからといって嬉しいわけでもない。
それどころか私は死んでみたかったのだ。
あのまま死ぬとしたら、その感触は例えようの無いものとなる。
それは生きている私にとって決してわからない感覚。
知ってみたい。
私は海を眺めた。
海はそこにあるだけだ。
私も、似たようなものだ。
ああ、そうだ。私はそういう奴だ。
自分のことなのに他人のように考えてしまう。自分が他人に思えてくる。昔からの私の異常な部分だ。
でもそれを異常とは思っていないのだ。
だから、私は苦しい。
他人と同じふうに生きたい。
他人と同じような価値観を持ちたい。
それがどんな事か知ってみたい。
波の音が私の鼓膜を揺さぶる。
風が出てきた。
「いつかの私もこんなことを考えるのかな?」
そんな未来のことを考えて、私は裸足の足で砂を踏みしめた。
私の後ろに足跡ができる。
まるで、私の人生のように。
テレビを見てたら綺麗な砂浜が映ってたので衝動的に書きました。