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勇者の強くてニューゲーム  作者: 千歳衣木
三章 たった一人の旅路
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八十五話「魔王領侵攻」

お久しぶりです。

 魔王領に踏み込んだ勇者達はまさに敵陣真っ只中と言うべき手厚い歓迎を受けました。が、そこはずっと最前線で戦ってきた勇者達。磨き上げられたチームワークや個々の力で次々に敵を屠っていきます。


 「魂の加護(ステュクス)に関わるからってみんなに任せるのは気が引けたけど…」


 エルロッドはそう呟いて戦う友人達をちらりと見やりました。緊張しているどころか笑顔すら浮かべて剣を振り回し呪文を唱える彼等は人々の希望となる勇者としてエルロッドとなんら遜色のない存在でした。


 「この調子なら何にも心配はいらないな」


 釣られて笑みが浮かぶエルロッドに近くを歩いていたイムが声を掛けます。


 「そりゃね。Eクラスの子でも4人パーティ組めばAランクの魔物を瞬殺できるくらいには鍛えられてるんだよ、ここで」


 誇らしげなイムに横からフレデリカが口を挟みます。


 「アンダーテイカーさんの強化術式がなければ、もう少し苦戦したと思いますけどね」

 「まぁ確かにそれはそうなんだけどさぁ」


 イムが苦笑しましたが、エルロッドが気になったのはそこではありません。


 「え、俺の強化術式ってバレてたの?」

 「ハココさんがベルナイアに来た最初の日に言っていましたわ。エルロッドさんによる強化術式があるから感謝するように、と」

 「他の魔法使い達は僕ら含め気付かなかったし、やっぱエルロッドくんは優秀だなぁと思ったものさ」


 どうやら初日にバラされていたようです。確かに自分が急に強くなったと勘違いして犠牲が出るよりはいいかもしれませんが、かと言ってそんなに早くバラされるとは思わなかったエルロッド。

 一行にハココが戻っていないから少し頭を抱えるだけで済んでいますが、戻って来た途端文句の一つでも言いにいきそうな雰囲気です。


 「さりげない支援が第三者にあっさりバラされるのって一番つらいんだけど…」

 「まぁまぁ、そこも含めてアンダーテイカーさんですわ」

 「その通りだよ。エルロッドくんはそれくらいがちょうどいいさ」

 「バカにしてんのかお前らああああ!」


 わずかに赤面したエルロッドは恥ずかしさを紛らわすかのように叫びました。



ーーーーー



 さて、大した事件もなく犠牲も出すことなく進むこと二ヶ月。勇者達はようやく魔王領の奥地、魔王の住む禍々しい城に辿り着きました。

 もはや並みの魔族では生活もままならないであろう荒廃した土地に悠然とそびえる漆黒のソレにわずかにたじろぐ勇者達。しかしここまで来て怖気付くようなものは一人もいませんでした。


 「…行こう」


 エルロッドが呟くと固く閉められていた城門がひとりでに開き始めました。どうやら魔王軍本隊は小細工を望んでいないようです。

 というより、多少強い素材だとしてもこの場の者達にとってこんな壁などあってないようなもの。


 「どうやら侮ってはくれないようですね」

 「人類の敵とはいえ武人のようであるな。敬意を表するである」


 ベルルカとアザトがなにやら話しています。それを聞いた勇者達は相手も油断はないようだと改めて気を引き締めて足を進めました。


 「ここから先はSクラスだけで進もうかと思うんだ」


 城門を全員が抜けたことを確認したエルロッドは全体に届くようにそう言いました。それに対し、CクラスやDクラスだった勇者達から不満が漏れました。


 「待てよ!俺たちだって役に立つぞ!」

 「手数は多いほうがいいだろ!」


 彼らは置いていかれること自体に、というよりはまるでここからはついてこられないから、と言われているように感じ、その理由に腹を立てているようでした。

 そんな彼らを諌めたのはエルロッドーーではなく、Aクラスのリーダー的存在であるペネッツ・ランサーでした。


 「まぁ落ち着きなよ。確かに僕らは強くなった。けど…たまに現れる魔族の将兵には数人じゃ手も足も出なかった」


 プライドの塊というような彼の口から弱さを認める言葉が出るとは意外だったエルロッドでしたが、口を挟むことはせずに黙って聞きました。不満を口にしていた勇者も静かに耳を傾けます。


 「だから城内では少数精鋭で行動してもらって…僕らはここで増援や伏兵が背後からSクラスを攻撃できないように守る必要があるんだよ」


 エルロッドはなるほどな、と思いました。単純に力不足だから待機してもらうつもりだったのですが、ペネッツにそういう意図があるならそうしてもらうのがよさそうです。

 どうやら他の勇者達も納得したらしく、任せてくれと言わんばかりにSクラスを見ていました。


 「…それじゃあ話もまとまったことだし、最終決戦といこうか!」


 エルロッドがそう言って城に向かって歩き始めると。


 「此方を満足させる相手は現れるものかのう」

 「ピクニック楽しいねぇ!たのしー!」


 シキとヒスイが真っ先に着いて行きます。


 「我々の相手に不足がないのはそれこそ魔王だけのような気がするであるが」

 「こちらが侮ってどうするのですか。恐らくは幹部級の魔族が数人いるはずですよ」


 苦笑しながらベルルカが、鼻息荒くアザトが後に続く形となりました。

 プロットが紛失して約一年ーー。

 もういっか!と割り切った私は遂に次の話を投稿するのでしたーー。


 すみません。サボってました。忙しさのあまりに…。でもまた執筆意欲が湧いたので頑張ります!頑張ってなかったら叱ってください!

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