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勇者の強くてニューゲーム  作者: 千歳衣木
二章 勇者育成機関にて
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十話 「クラス分け」

クラス分けトーナメントについて話す前にシステムについて話しましょう。

四百名あまり、正確に言えば四百十一名の生徒達を六つのブロックに分け、それぞれ同時進行していきます。

そして一回戦で負けた者や勇者としての特殊技能、素養なしと判断された生徒はここで除名処分となります。


厳しい判断のようにも思えますが、無闇に命を危険に晒す前にとの判断です。

一度入学できた以上その実力は本物ですから、冒険者ギルドや軍隊への斡旋もつきますし、純粋に強さのみを求める機関だからこう言ったシステム、という訳では無いのです。


そして約半数にまで減った後は、二回戦で負けた者はFクラス、三回戦で負けた者はEクラス、というようにして強いクラスほど人が減っていきます。


もちろんこのあとの成績如何によっては上のクラスに編入されることはありますが、よほどの伸びしろがあるか最初から実力を隠していた人間でもなければ上層部にとっての本命であるSクラスまで登ることはおろか、一つ上のクラスに上がれれば御の字と言ったところでしょう。


つまりこのトーナメントによって決まったクラスはそのまま卒業までほぼ同じメンバーということになりますね。

ちなみに、六ブロックありますのでSクラスに入れるのは各ブロックごとの優勝者、原則六人です。


次に試合のルールについてですが、特殊な鉱石で出来たステージから一歩でも踏相手が踏み出すか、相手が参ったと宣言するか、首、胸、腹部の三箇所全てに攻撃を当てれば勝利となります。


ちなみに気絶させても勝利ではなく、させたあとに相手を場外まで運んで体のどこかを地面に触れさせるまでは勝ちとなりません。


これは、直接戦闘には不向きな能力、スタイルの策士型の生徒もいるための措置です。策を弄して障害物もない場所で直接戦闘型に勝てる者は、実戦の場であれば直接戦闘型より圧倒的に強い為優秀なものと言えますし。


「よし、さくっと優勝してきますか」


と、どうやらエルロッドの番が来たようです。一回戦目の相手はみたところ、エルロッドがいなければブロック優勝確実の強さのようですが―――。


「ま、まいった!」


お生憎様、エルロッドにかなうはずもなく退場となってしまいました。

まぁ今回エルロッドはこれほどの実力者が退学になるのはかわいそうなので一週目の時と同じく、しかし今回は演技で少し苦戦をして相手が力を見せる場を作ってあげたのですが。


「まぁこんなもんか…飛び級で勇者資格が欲しいとこだったな」


勇者は自分と学生の格の違いを実感し、早いところ本物の勇者として魔王討伐に行きたいと内心で考えながら歩きます。


「ま、しゃあねえか。まだ魔王も復活してないことになってるし、気長にやろう」


勇者は諦めると次の試合に向けてお昼寝し始めました。



―――――



「はっ!やっ!せぁっ!」


気合とともに自らの得物である剣を振り回すも、二回戦の相手はスピードがありすぎて目で追うことすらできず、ましてや攻撃を当てることなど不可能としか言えず。


「はぁ…っ…はぁ…ぁ…くそっ」


徒に剣を振り回して体力を浪費するだけとなっていました。

そしてその二回戦の相手である――エルロッドは呟きました。


「…思っていたよりはるかに弱いな。まぁ、わかってたけど…」


力を見せる場を作った意味もないな、そう考えながらエルロッドは試合を終わらせようと足を踏み出します。


それと同時に相手が武器を振りかぶりました。


「《 サンエノタチ 》!!」


そう叫ぶと同時に剣が振られ、エルロッドは容易く回避、場外へ放り投げる…ハズが、相手が疲れすぎたのか、スキルと同時に体力が尽きたのか、剣は振り上げられた状態で留まり…。


「試合終了!」


「はぁ!?」


エルロッドは剣に引き付けられるかのように突っ込み、ダメージは無いもののスキル効果により首、胸、腹部の順にヒット、エルロッドの敗北という形で試合は終わりを迎えました。

ほぼ説明回になってしまいました。三人称ってよくわかりませんね。無念。

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