朝は新聞よむでしょ?
第一王女のメーアの朝はテラスにテーブルを引っ張り出す事から始まる。
寝間着にガウン。
ただ長く裾はふんだんにレースで覆われ、首元まで覆う寝間着に明るいクリーム色のプリーツの入ったガウンは一見遠目から見ると、簡易なドレスを着ているように見える。
似たような形の寝間着とガウンを使い回せば朝からコルセットを閉めずにすむという、なんちゃって素敵アイディアである。
朝食はテラスでとるメーアだが、彼女の部屋は城の四階にあるのでめったにみあげられることもなく、見られたとしてもなんちゃって寝間着ドレスに気づかれることもない。
間近でみるのなんて自分付きの侍女位だがもはや侍女たちは諦めて何も言ってこない。
テラスにテーブルをセットし、イスを運んで座る。
すがすがしい朝日とみずみずしい緑の香り、をしばし堪能していると、扉をノックする音と朝食を持ってきた侍女の声がしたので入室を許可する。
ゴトゴトとカートに乗せられた朝食をテーブルにセットされるのを見ながら、手渡された今日の新聞を広げる。
「ふーん。」
新聞と言っても縦50セチン横50セチンの裏表印刷一枚きりだ、キヨテルタイムズと印刷された新聞には地方の村での祭りの事や、貴族の破局スキャンダル、先日
の王室の行事などなど毒にも薬にもならないがとりあえずチェックするのがメーアの日課である。
ちなみにキヨテルタイムズのキヨテルというのは父の名前で新聞という物も十数年前に父がもたらした『文化』の一つである。
父譲りの漆黒の髪色と母譲りの新緑の目の色、黒く長い髪は癖が強いのかうねりまくり(なんか櫛でとかすのめんどいし、油ぬっとけばいいんじゃない?わざわざカールをかけているかたもいるのだしこれはこれでいいと思う。と侍女に言ったら何故か烈火のごとく泣きながら怒られた。)
そんなに不細工ではないんじゃないかなぁー…と彼女は首を傾げるのだけど、いまだかつて逆ハー現象というものにとんと縁がない。
自分の妹弟の双子のように
青薔薇姫ことエヴァンナと白薔薇王子ことエヴァンズ。
歩く逆ハー&ハーレム体質
どうして双子だからといって似たような名前つけたし。
しかもエヴァンナとエヴァンズって略しにくいし、両親マジスィーツ(笑)
と、メーアこと第一王女メルティア・ラ・ファッセ・フロル・ディアグレイシスは思った。