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探偵の領分


たぶんおそらくこの子が今回盗まれちゃった『闇の精霊ジル』なんだろうなぁ。

さすがに消滅寸前の精霊を回復させるとかそんな芸当できない。

せいぜい疑似的な闇の属性を付加させたショールで包んで現状維持するのが関の山だ。

それにしても困ってしまった。


とりあえずどこかに寝かせようと最寄りの空き部屋のドアノブを捻る。

が、開かない。

精霊だから普通の幼女より軽いとしても片手で抱えながらドアノブを捻るのはなかなか辛い作業です。

ガチャガチャ、と回しまくり押すが開かない。

何なのかしら、見たところ内側からカギをかけるタイプの扉よね。

まさかなかではアベックがイチャコラしてて、


『やだ!誰か来ちゃう!』

『HAHAHA!鍵かけてるから大丈夫だよハニー』

『キャッ☆ダーリンてばえっち!』


みたいな展開がががが…


ギイイィ


…ドアノブ引いたら空きました。

うっ…これはめちゃくちゃ恥ずかしいでござる。

恥ずかしいっ!でも大丈夫誰も見てないからっ!きっとみてないからっ!

これいじょう廊下に立ちつくしているのが気まずくて私は素早く部屋の中に滑り込んだ。

そこは普段使われているようすもなく埃のニオイがし形と位置から見てソファーとテーブルであろうものに埃除けに白い布がかけられ窓は一つ濃緑の厚手のカーテンがかけられ厚手のものなのか纏められずぶら下がっているおかげで部屋の中は酷く薄暗い。

埃が舞わぬようそっと布を外し、そのまま寝かすのは彼女の服が汚れそうだったし古そうなソファーに横たえるのも気がひけたので、彼女に巻いていたショールを外しソファーに敷きその上に彼女を横たえる。

それからカーテンを引きぴったりと閉じて部屋の中を完全な暗闇に包む。

ひとまずはこれでいい。

問題はこれからだ。

光に当てないことでこれ以上の衰弱は防ぐことができる、闇の精霊ゆえに夢魔除けの術式の残留魔素も恐らく害になるだろう。

そもそも精霊缶は高位の精霊の一命をとした封印の秘術のはず。

同属性のものを自分自身を封印容器変え自分の中に収めるという荒技だ。

精霊缶自体が極めて珍しいためになかには闇ルートで取引しコレクションする馬鹿な輩もいるとかいないとかはさておき、精霊缶の封印がやぶれたといケースは・


1長い時を経て精霊の力がつき果て自己を維持できなくなり精霊缶が消滅中のモノのみ残る。

2馬鹿力ならぬ馬鹿魔力で開ける。

3相反する属性で痛めつけて弱らせ無理やりあける。


1はないなー。


そして今回は王宮内の精霊の間の鍵を破るという大胆な犯行。

おそらく犯行時間は深夜から早朝ってところかぁ。

そして鍵をソ…ソブ…だっけ?ケベック…レ…レメンだっけ??あの魔術師の弟子何て名前だっけ…

……だめだ全く思いだせないからもう仮にタロウでよい。

タロウが帰宅する前に鍵を奪取する必要があるわね。

昨日タロウは夕方には帰ったから、もし昨日の夕方頃ににタロウから犯人が鍵を盗んでいたとしたら、人の寝静まった後から早朝まで十分な時間があることにあるわ。


その時間で魔力の高い人間が何度も缶をあけることにチャレンジしつづける???

なんかイマイチだなあ非効率的だし、相反する属性で攻撃するとしても光属性の魔法は扱えるにんげんが極めてすくないし、そもそもうちの国魔術師少ないし弟子と宮廷魔術師あわせて20人くらいだし。

狭き門というわけではなく、そもそも高い魔力を持つ人がすくない。

そのなかで光魔法を使えるのは一人か二人。その二人の扱える光魔法も初歩の初歩、光をだして暗闇でランプ代りにするくらいと眼つぶし代りに閃光を放つ程度だし。そもそもその二人は昨日定時にかえったことが確認されてるし。



「う…。」


精霊が苦しげな声をあげるがこれ以上は私にはどうすることもできない。

せいぜい魔法で闇の属性を彼女の周りの物に定着させるくらいだ。

それで少しずつ彼女の体に闇の元素を吸収させる。

そうすれば…



そうすれば?






・・・




・・・・・・




・・・・・・・・・





「ああっ!!??なんてことっ!!!」



思いついてしまった。

これは妄想?いやたぶん正解。


いま城の中は『夢魔除け』の、『闇』を遠ざける術式であふれかえっているのだ。

枕に夢魔がとりつかぬよう城中の枕に『夢魔除け』が施され、そもそもこれは光魔法ではないから宮廷魔術師とその弟子と私と父…はどうか分からないけども、午前だけでもかなりの量の枕を処理した。

一つ一つは地味な作業だけどこれだけの人間が動いてるんだものその術式の残留魔素のべったりついた枕があちこちカートで城中に充満してるとしたら…それを見越して動いてるとしたら…。


犯人は精霊缶を盗み、朝になってから魔素を充満させ精霊の衰弱を狙った。

あとは弱ったところを開ければいい。



自分が手を下さずとも周りが勝手に弱らせてくれる。




これ考えたやつすごいかも悪い意味で。


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