それはね、君のことが好きだからだよ
掲載日:2026/05/05
「猫の貯金箱には何が入っていたと思う?」
少女が声を張らなくてもいいくらいの距離で話しかけてきた。自分は直射日光に当たっていない、ほんのり温かい席に座っていた。
「お金じゃないかな。きっと招き猫の形をした貯金箱で、褪せた色の百円玉なんかが入っているよ」
「どうして招き猫だと思ったの?猫の貯金箱としか言っていないけど」
「そりゃ、猫の貯金箱なんて大抵招き猫だよ。豚の貯金箱ならピンクだろうね」
「まあ普通に考えたらそうだよね、私もそう思う」
そういって、目を軽く合わせてくる。
「じゃあだよ。いつも遠くから君の事を見てる女の子が、急に君の隣に座って話しかけるのってさ。普通どんな時?」
「……そりゃ、大抵はまあ、つまりそういうことじゃないかな」
そのような女の子の顔はきっとピンクだろうと、自分の顔が熱くなるのを感じながら思うのだった。




