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悪役令嬢は追放される前に、世界の台本を破ることにした  作者: 月岡紬


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第15話 準備は整った

 通知は、簡潔だった。


 日時。

 場所。

 名目。


 ――関係者説明会。


 それだけ。


 断罪とも、裁定とも書かれていない。

 だが、この国でその言葉が意味するものを、

 知らない者はいなかった。


 私は、書簡を読み終え、静かに畳んだ。


 心は、不思議なほど穏やかだった。


 恐怖はない。

 焦りもない。


 むしろ――

 ようやく、ここまで来た

 そんな感覚。


 王立学院の廊下を歩く。


 人々は、私を見る。


 以前のような探る視線ではない。

 避ける視線でもない。


 確信した目だ。


 ――ああ、決まったのだな。


 私は、そう理解した。


「……堂々としてるな」


 ユリウスが、少し離れた位置から言う。


「震えてると思ったか?」


「少しはな」


「残念でした」


 私は、小さく笑った。


「殿下。

 ここまで来たら、

 もう“個人の勝ち負け”ではありません」


「分かってる」


 彼は、真剣な顔で頷く。


「だから、最後まで付き合う」


 それだけで、十分だった。


 その日の午後。


 私は、久しぶりに自分の魔法に深く潜った。


 解析。

 構造。

 因果。


 世界に張り巡らされた

 見えない糸。


 誰もが、その糸に触れながら、

 触れていることを自覚していない。


 だが、私は違う。


 私は、それを――

 ほどく準備ができている。


 夕刻。


 聖堂の一角で、セシリアとすれ違った。


 短い距離。

 短い時間。


 彼女は、立ち止まった。


「……怖いです」


 正直な声。


 私は、頷いた。


「ええ」


 否定しない。


「でも」


 彼女は、続ける。


「何も言わずに立つより、

 自分の意思で立つ方が……」


 言葉を探し、

 やがて、小さく息を吸う。


「……後悔しないと思いました」


 私は、微笑んだ。


「それで十分です」


 彼女は、しっかりと頷いた。


 その仕草は、

 これまでで一番“人間らしい”ものだった。


 夜。


 部屋に戻り、私は最後の確認をする。


 記録は揃っている。

 言葉も、沈黙も、配置も。


 彼らは、

 自分たちが正しいと信じている。


 だからこそ、

 壊せる。


 私は、窓を開け、夜風を受けた。


 遠くで、鐘が鳴る。


 まるで、開幕の合図のように。


 ――追放されるのは、私ではない。


 追放されるのは、

 この世界の“都合のいい物語”だ。


 私は、静かに宣言する。


「さあ――

 舞台に上がりましょう」


 追放フラグ【Stage5:断罪準備完了】

 ――ロック。

ここまでご覧いただきありがとうございます。


次話で完結となります。

一緒に投稿しておりますので、最後までお付き合いください。

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