第二十七話 接近中
二時間ほど走り続け、我ら一行は目的地へとたどり着いた。どういうわけか、嫌な予感しかしない古い旅館だ。ここもうちが所有しているらしい。物凄く安く買えたと母さんに聞いた。その時点でもう、嫌な予感しかしない。しかも、まだ女装中。マジで何か起こりそうで怖い。いや、別に幽霊が怖いとかじゃないんだが、もとより、家には妖怪みたいなのがいっぱい居るし。
だが、今回同行しているのは変態だ。そう、この変態が怪しいんだ。ここに来てからそわそわしてるし。というか何で変態が一人部屋で、僕はその他みんなと同じ部屋なんだよ。おかしいだろ明らかに。いや、変態とも同じ部屋は嫌だが。それでも、もう何部屋か用意しろよ。聞いたらなんだか知らないが、団体客が占拠しているらしい。恨むぞこんちきしょう。
「透さんなんだか不機嫌そうですね~」
母さんが言う。
この人はわかってて言ってるだろ。僕の不機嫌な理由も完全にわかってるだろ。それなのに聞いてくる。はあ、まったくこの人は。
「さあ、風呂行くぞ!!」
変態が乱入してきた。
「流星裂破無明脚!!」
「あびぱ~!?」
なんだかよくわからない技が発動し変態が吹き飛んだ。そのまま、扉を突き破り廊下まで吹き飛んだ。なんなんだろうか、この技は。って、しまった、他にも客いるんだった!!
慌てて廊下に出ると、同年代の少年一人となんか、アニメみたいな髪色をした少女五人の六人の団体に変態が突っ込んでいた。
何か、親近感が湧くのだがなぜだろうか。ただ、とても嫌な感じがする。こいつらには関わらないほうがいい。なぜか、そう思った。
「すみません、うちのバカが」
「いや、いいよ」
「ねぇ、早く行きましょうよ~」
「わかってるさ、じゃあ、また」
そう言ってその少年たちは立ち去っていった。
「あれ、またって、何だ?」
まあ、良いか。とりあえず、このままこの変態をここにおいておくのが危険だ。縄でぐるぐるに縛って更に毛布でぐるぐるに縛って、更に更に、縛ってと。よし、これくらいしていれば出てこれないだろう。これで少しは静かになるはずだ。それと、そろそろ女装をやめよう。服はもうとっくに乾いているんだから。
**** side????
クフフフ、あれが相手か。まったく女装とは笑いを堪えるのに苦労させてくれる。クク、クハハハハハハ。
「マッタクガマンデキテナイ」
おっと、これじゃ変態だな。気をつけねえと。さあて、これから、あいつら風呂みたいだな。ククク、これは好都合だ。さあ、て、せいぜい遊ばせてもらうぜ。
「さて、行くぞお前ら。ククク、風呂だ風呂」
風呂へと俺たちは向かった。
**** side out
というわけでようやく普通の服装に戻れた僕と母さんと変態を除いたいつものモノメンバーは現在進行形で風呂に向かっていた。母さんが変態を見張ってくれているのでノビノビと入れるだろう。母さんにはあとで感謝しないとな。
「しかし、温泉なんて久しぶりだな」
中学は行ってから行ってないから、三年ぶりかな。うん、まあ変態に連れてこられた時はいやだったが、楽しくなって来たな。
「ねえ、お兄ちゃん、温泉って何?」
シルが聞いてくる。
「あたしも知りたいぜ。なあ」
「私は知ってますから、私に言わないでくださいよ。エミさん」
エミは知らない、キクは知っている。
「…………ワタシ知ってる」
「うちも同じくやで」
ティーとライも知ってるんだな。
「知らない」
「知らんアル」
トウカと美鈴も知らないんだな。よし、じゃあ、説明しておくか。
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五分くらいの温泉の説明を終える。いや、手抜きじゃない。温泉の説明している描写が面倒だったとかそんなんじゃないはずだ。
そんなわけで温泉。
新年一発目の更新です。
皆様あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
さて、挨拶も終わったので連絡を。
次回の更新は十六日を予定しています。
ので、皆さんお楽しみに。
それではまた。