第二十五話 旅行道中川の音
僕は本当に女装したまま旅行に連れ出されてしまった。なぜか、モノたちも全員一緒にだ。変態がみんな一緒がいいだろうと言って車を用意した。僕達望月一家とティーが同じ車で、あとがもう一台だ。なぜ、ティーかといえば母さんが気に入ったからだ。
ちなみにモノたちが乗った二台目はキクが運転している。あの中で唯一年長者で運転できそうだったからだ。一時間前にマニュアルを読んだだけの運転である。そのわりにはしっかり運転できている。しかし、それでも無免許運転だ。普通なら捕まる。
捕まらないのはここが望月の敷地だったりするからだ。僕も初めて知ったのだが、変態の事業が大成功して、財産がかなり膨れ上がったのだ。そのため、望月の敷地が増えたのだ。なぜ、知らなかったのかといえば、望月の記事を意図的に僕が避けていたからなのだが。
まあ、まさかこんなことになっているとは思わなかった。
「なんで、道路買ってるんだよ」
「こんなことになると思っていたからだ」
変態がかっこつけながら言った。まったくかっこよくないが。それに絶対嘘だろ。絶対面白くて作ったんだ。それで利用価値がなかったけど、これでようやく利用できて嬉しいんだ。
「あらあら~。それなら、あれもいつか使うの?」
「あれ? は!? まさか、見たのか?」
ん? なんだ? 変態が母さんに何か言われて慌ててるぞ。なにかあったのか? 会話の内容だけじゃよくわからないな。ティーに聞いて見るか。こいつ心読めるし。
「なあ、何のことかわかるか?」
「…………」
ティーが目を瞑って何かを聞くように耳をそばだてている。これで心の声を聞いてるんだろうな。
「…………聞かないほうが身のため」
いったい何をやったんだあの変態は!! やめた考えるのやめよう。そうだ、やめよう。ティーが言ってるんだ。それは本当に絶対に聞かないほうがいいんだろう。聞いてたまるか。とりあえず、変態にはあとで粛清を加えておこう。
しばらくは何事もなく、旅行は進んでいった。なんたって車はこの二台しかないのだ。何か起きたほうが異常だ。だが、それは間違いだったようで…………。
「すまん、ガソリン切れだ」
変態の謝罪に蹴りで答える。山の真っ只中でなんとガソリンがなくなったそうなんです。この変態屑野郎にどうやって落とし前つけさせようか。
「この体勢ならパンツが――あんべら!?」
そうだった、今僕女装だったんだな。うん、慣れたもんですっかり忘れてたよ。忘れたくなかったけど。見られても構わんがこいつにだけは嫌だ。殺したくなる。
「で、どうするんだ?」
「大丈夫よ、待ってれば助けが来るから」
母さんがいうのなら本当に来るんだろう。助かったよ。しかし、綺麗なところだ。車の中だったからよく景色を見てなかったが、緑が綺麗な場所だ。水の流れる音が聞こえるから、どこかに川でもあるのかもしれない。
「…………水の音」
ティーも感じたらしい。まあ、耳がいいから僕よりも聞こえてるから当然だな。しかも、何か行きたいみたいだし。
「母さん、近くに川があるみたいだから言ってきていいかな?」
「いいわよ。私は変態と待ってるから。みんなで言ってきなさい。終わったら電話するわ」
「わかった。みんな、行くぞ」
みんなで近くにあると思われる川へと向かった。
はい、どうもテイクです。
来週から一週間ほど、用事で出掛けるので執筆が一切出来ないため、二週間ほど更新できなくなります。
ので来週と再来週の更新はお休みしたいと思います。