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モノもち  作者: テイク
第一章 現れるモノ
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第二話 命名、そして二人目

 そんわけで僕の家に新しい住人が増えました。いや、増えたかどうかはわかんないけど。もとからいたわけだし。この白いワンピースを着たショートの黒髪の小柄な妹系元シャープペンシル少女は。さて、どうなることやら。


「じゃあ、お兄ちゃんこれからよろしく」

「あ、ああ」


 ああ、いまさらながら思うなぜこんな状況に陥ったのだろうか。それともこれは神様が与えた何かなのだろうか。そしたら神様僕になにを望んでいるのか。


「そうだ、名前付けてよ」

「名前ないのか?」

「当たり前でしょ。わたしシャーペンだったんだからね」


 いや、そんなこと言われてもな。


「あ~そうだなシルはどうだ?」

「いいです。シルで」


 あっさり決定。名前の由来? シャープペンシル。ここまで言えばわかるだろう。そのまんまだ。あまり僕にネーミングセンスを求めないでくれ。本当にセンスないから。本当ですよ。


「さってと、これからどうしよう」


 本当にどうしよう。マジでどうしよう。部屋は開いているのだ住む分は関係ない。問題はもしこれが親にばれた場合。


「どうやって言い訳しよう」


 これ端から見たら誘拐だよな。家に知らない女の子がいるのって。元シャーペンっていっても信じてくれないだろうし。さて、どうしよう。


「お兄ちゃんどうしたのそんな難しい顔して?」

「いや、ちょっとね」

「ふ~ん」

「てか、思ったけどなんでお兄ちゃん?」

「えっと人生の半分を一緒に生きてきたんだからもうそれはおにいちゃんって呼ぶしかないでしょ」


 …………こいつアホだ。


「いま、シルのことバカにしなかった」

「いや」


 鋭い。シャーペンだからか意外にするどい。


 ぐぅ


「ん?」


 シルが真っ赤になってる。


「腹減ったのか?」

「…………うん」

「とりあえず夕飯にするか。これからのことはこれから決めよう」

「うん」

「っとそうだ、もしかしてお前みたいなのまだ出てくる可能性あるの?」

「あるよ。だってお兄ちゃん物持ちいいし。どんな(もの)も大切にしてたし。壊れるまで最後まで使ったらたぶんわたしみたいにでてくるんじゃない?」

「マジか」


 これ以上増えたら洒落にならないぞ。とか言ってるそばから。


 バキッ


「あ」

「あ~」


 ホウキが折れました。なぜに!? てか、たてかけてあったホウキ触っただけだぞ。寿命って本当にあるのかよ。


「寿命だったんだね」

「いやなタイミングだろこれ」


 やはりというかなんというかホウキが光を放ち。そこには女の子が立っていた。


「は~」

「あははは、ナイスタイミング」


 さて、これはどういうことなのやら。こいつらについてはもう本当に信じるしかない。


「ここまで使っていただきありがとうございました透様」

「さ、さま!?」

「はい、主人に様をつけるのは当たり前です」

「それなんだけと様はやめてくれ」

「わかりましたそれなら透さんとお呼びします」


 今度はホウキが擬人化。腰まである茶髪をひとつにまとめていて全体的にシックな服装で茶色の長袖に黒のロングスカート。こんどはシルと違って大人びたお姉さんという感じ……いや、お母さんか? そんな印象を受ける。


「透さん、今失礼なこと考えませんでした」

「いえ!!」


 怖い、笑顔なのに怖い。絶対この人怒ると怖い。注意しよう。


「それでは名前をいただきたいと思うのですが」

「あ。ああ」


 さて、どうしよう。


「じゃあ、キクで」

「キクですかありがとうございます」


 よかった気に入ってくれたようで。


「ね、二人目でたでしょ」


 シルが笑い顔で言う。ああ、本当だったよ。


「はあ~。キクも一緒にご飯食べるか?」

「ええいただきます」

「ああ、じゃあ、ちょっと待っててくれ」


 さて、三人分だからな。材料足りるかな。………………足りなさそうだな。


「ちょっと買い物行って来る」

「それなら私も行きます」

「ずるいわたしも!!」


 そんなわけで三人全員で買い物に行くことに。シルお前はおなかすいてるんだよな。

 買い物では知り合いに会わないように警戒しながらだったので余計に疲れた。結果誰にも会わずに買い物を終えることが出来た。シルが余計なものを買おうとするし。キクは安いものを選んでくれた。これはうれしかった。新しいシャーペンは買った。なぜかシルが選んだのだが。元シャーペンだからいいのがわかるのかね。


「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまー!!」

「おそまつさまでした」


 はい、夕食終了。


「透さん、お風呂がわいているので入ってきてもいいですよ」


 キクが言った。


「いつの間に」

「透さんが夕食の用意をしているときにです」


 手際がいいな。


「ああ、じゃあ、入る」

「シルも!!」

「駄目です」

「ぶ~」


 頬を膨らましたままのシルをキクに任せて僕は風呂に。


「ふう~」


 落ち着く。何か今日は本当にいろいろあった。


「でも、まあ、なんだろうね」


 あいつらといるのは悪い気はしなかった。


「でもまあ、あいつらが増えるってことはモノが壊れるってことだからな~」


 ふと風呂場を見回す。洗面器、シャンプーなどの石鹸類、髪を洗う裸のシル、シャワー。

………………え?


「洗面器、シャンプーなどの石鹸類、髪を洗う裸のシル、シャワー」


 ………………。


「何でここにいるシル」

「えへへへ、お兄ちゃんと一緒に入りたくて~」

「すみません、こちらにシルが行ってま…………」


 キクまでやってきてしまった。


「…………シル行きますよ」

「ああ、ちょ!!」


 容赦なくキクがシルをつれだした。


「…………はあ~」


 騒がしくなりそうだな。


 風呂を上がる。


「お前たちも入ったらどうだ?」

「はいでは。行きますよシル」

「は~い」


 ふう、これから本当にどうなるのだろうか。これからもあいつらみたいなのは増えるのだろうか。


「まあ、そのときに考えよう」


 当面の問題は……。


「親にどう説明するかだな」


 それは本当にどうしようもない問題だった。


おかあ…………お姉さん系ホウキ登場

年順


キク>シル

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