第二十三話 父母来る
八月の中旬が過ぎて、もう、そろそろ夏が終わるなといった頃。それは唐突にやって来た。連絡もなく、通知もなく、やって来た。
ピンポーン。
チャイムがなった。
「あ、お客さんみたいですね、私が出ましょうか?」
キクが言うが断る。もし、友達とかが尋ねてきて、最初にキクが出たら弁解が難しくなる。僕が出たほうがいい。他のやつもしかりだ。まあ、こんな時期に遊びに来る奴はいないだろう。なぜか、一切友達が遊びに誘いにこなかったからな。本当に友達かと疑いたくなるぜ。薄情な奴らばかりだ。まあ、誘われたところで、シルたちがいるからむやみにどこかにいけないんだけど。
ピンポーン。
おっと考えてる間にもう一回チャイムが鳴らされた。早く出ないと。
「は~い!」
「ようやくでたか、息子よあいたかったぞ~!!」
「望月最終奥義旋龍脚!!」
「ぶねら!!!」
抱きつこうとしてきた、髭面のおっさんが吹き飛んだ。まだ、生きているようだ。しぶとい。
「あらあら、透。また、強くなったんじゃない?」
その男の隣には、かなり若く見える麦藁帽子をかぶった女性が居た。
「はあ、何しに来たの母さん」
そう、この人は僕の母さんの望月姫子。若作りしてないのに、端からみたら十代後半から、二十代前半にしか見えないといった化物。こう見えて武術の達人だったりする。母さんには逆らえない。
で、その横で僕の蹴りを喰らって倒れている変態は、認めたくはないが父さんの望月健。なぜか、息子の僕を溺愛している変態だ。変態以外に説明することがない。会社はそれなりに成功しているが、それだけだ。母さんの方が儲けてるし。
「父さんは無視か!!」
なんだ、変な声が聞こえたぞ。いや、空耳か。疲れてるのか? ああ、そうかもな、いきなりシルたちとか現れたし。知らないうちに疲れがたまってたんだろう。
「ふふふ、一週間休みが取れたから、一緒に旅行に行こうかともって来たのよ」
「今から!?」
「そうよ~ふふふ楽しみね~」
いやいやいや、今からって、結構問題じゃん。せめて連絡しといてよ。準備まったく出来てない。てか、なんで伝えなかったんだよ。
「何も言わないほうが驚くと思ってな」
「お前か!!」
容赦なく鳩尾を殴る。
「ぐはっ! いい拳だ。わが息子ながらやる……な」
はあ~。なんで、こんな奴の息子なんだろうか。いや、溺愛されることについては、まあ、結構いいんだが、何しても許されるし。でも、この父親がついてくるのは、ダメだ。まあ、気絶したからとりあえず、話を。
「お兄ちゃんどうしたの~? 何か大きな音が聞こえたけど」
そう言いながらシルが出てきた。当然、父さんと母さんと鉢合わせするわけで。
「あ」
「あ」
「あちゃ~」
話すつもりだったけど。こんないきなりではない。
「あらあら、透さん、この子はどこからさらってきたのかしら」
怖い! 母さん顔は笑ってるけど、まったく目が笑ってない。
「え、えっと、その、ほらこの家かなり家あまってるだろ。だから、困ってる人たちに貸し出してるんだよ。で、この子はその人の子供」
「ふ~ん」
う、母さんってかなり鋭いからな。そんなにじろじろ見ないでくれ。
「そうなの、母さんてっきりどこからか誘拐してきたのかと思ったわ」
実の息子を誘拐犯だと疑うか普通? まあ、母さんって結構普通じゃないからな。納得してくれて助かった。あのままだったら何をされたか。想像もしたくない。
「誘拐なんかするわけないだろ。ちゃんと紹介するから上がって」
「あら、まだいるの?」
「うん、結構大勢」
「ふうん~」
あれ、母さんの目が怪しく光った気がするんだが、気のせいか? うん、気のせいだな。さて、父さんが入ってくる前に鍵を閉めてと。
「うおおおおお!!! なぜ、鍵がああああああああ!!!!!」
「そこで朽ち果てろ」
さて、邪魔者はこれでこない。
「ふ、舐めるな。ピッキングの技術などとうに習得しとるわ!!」
「警察に捕まれ!!!」
「あびば!!」
がちゃ。父さんを吹き飛ばし、再度鍵をかける。今度はチェーンもかける。これで完璧だろう。庭側の窓も完全に閉めている。そもそも、あいつらがいるから、入ってこれないだろう。入ってきても撃退してくれそうだし。
「じゃあ、紹介するよ」
リビングに行き母さんにみんなを紹介した。
さて、透君の協力両親登場。
ぶっちゃけます。変態親父書きやすい!! 今、この小説の中のキャラで一番書きやすかったです。
あと鬼畜外道の名前は募集中です。誰でもいいのでお願いします。何でもいいです。面白い名前でもいいです。お願いします。
ついでにこれもさらしてみる
年齢を順に並べるとこうなる。
美鈴>キク>エミ>ライ>トウカ>ティー>サクミ>シル
実際の年齢順です。美鈴は若く見えますが中華鍋って歴史長そうなので実は一番年上。ヘタ○アの中国と同じと思ってください。