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モノもち  作者: テイク
第一章 現れるモノ
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第十四話 古き電灯

「ふう、こんなもんか?」


 いるものといらないものを振りわけして整理した。と言っても――。


「あまり意味なかった気がする」


 ほとんど捨ててない。まだまだ使えるものがあるわけでそれに捨てるのがもったいなかったという理由で捨てなかったわけだ。いや、わかってるんだけどね。捨てないといけないってのは。


「透さん、物置の中のそうじ終わりました。いつでも戻せますよ」

「ああ、キクありがとう」

「いえ、やりがいがあって楽しかったですよ」

「そうか」


 さすがホウキ掃除は楽しいんだな。


「さて、あとは…………ん?」


 そこで僕はあるものを見つけた。


「電灯か」


 昔、僕が使っていた電灯。


「懐かしいなこんなところにあったのか」


 いつから忘れていたのだろうか。昔はよく使っていたはずなのに。いつの間にか使わなくなってこんなところに置き去りにしてほこりにまみれさせていた。


「綺麗にしてあげよう」


 綺麗なタオルで丁寧にほこりを拭いていく。


「よし、綺麗になった」


 そして拭き終わるのを待っていたかのように電灯が光り輝く。そして黄色い髪の少女が現れた。


「ようやく出てこれたわ~!! コラー!! 透~お前うちをあんなほこりっぽいところに入れて忘れおってからに~!! こんな乙女をほこりまみれにした罪は重いで!!」


 若干関西弁でしゃべる少女が一気に言い切った。


「え、あ、ああ、ごめん」

「うん、まあ、反省しとったみたいやし、その…………綺麗に体拭いてくれたし…………」


 赤くなる少女。何かそんな風に言われるとこっちまで恥ずかしくなる上になにか誤解されそうで怖いんだけど。


「っとと、赤くなっと場合やないで、言わなあかんことがあるんや、今まで使ってくれてありがとうな。ふふ、ようやく言えたで、これでも感謝しとったんや、壊されて捨てられるだけやったうちを引き取って使ってくれたんやからな。まあ、ほこりまみれにされたのはちょっと怒ったけど」


 昔の記憶が蘇る。そう、この電灯は昔、よく遊びに行っていた近所のおじいちゃんの家にあったものだ。幼稚園位の頃、そのおじいちゃんが引っ越すからという理由で古いしという理由で壊されて捨てられるところを譲ってもらったのだ。そうだったそれに確かあれつけたな。


「ささ、透名前付けてや」

「名前ならお前あるだろ」

「え? そ、そんなんあったけ?」

「…………」


 こいつ忘れるのか。まあ、こうなる前だし、しかもかなり前に一方的につけた名前だからな。忘れてても文句は言えないけど。でも悲しいな。


「そ、そんな捨てられた子犬のような目で見んといて~」

「はあ~、お前の名前はライだよ」

「うう~ん、思い出せへんな~」

「まあ、いいよ、今度は忘れんなよ」

「了解や!!」


 自信満々に言うライ。本当に大丈夫だろうな。まあ、昔つけたのと同じ名前だし大丈夫だとは思うが。


「で、名前なんやったけ?」

「おおい!!」

「冗談や」


 心配になった。


「はあ、とりあえず行くぞ」

「ん? どこへ?」

「ほかのみんなに紹介するんだよ」

「うちというものがいながら他の女と!!?」

「誤解をまねくようなことを言うな!!」

「もう、冗談やって」


 冗談に聞こえないんだよ。頼むからシル達の前でそんなことは言わないでくれよ。


「お兄ちゃん~終わった~?…………お兄ちゃんまたなの?」

「ああ」

「む~、まあ、お兄ちゃんだから仕方ないか」


 シルなんだその僕だから仕方ないから私たちが諦めますよ的な発言は。


「かわええ~!!」

「きゃあああああ!!」


 いきなりライがシルに抱きつく。


「ああもう、めっちゃかわええな~! うり、うり」

「うにゃ~~!!」


 ライによりもみくちゃにされるシル。ひとつ発見ライって可愛いもの見るとめちゃくちゃに可愛がる。見てる分にはほほえましいがそろそろ止めるか。シルが助け求めてこっち見てるし。


「ほら、ライそろそろやめとけ、紹介が出来ないし、シルが嫌がってるからな」

「は! あかん、つい体が勝手に、ごめんな~」

「うう~」

「はいはい、よしよし」

 ちょっと涙ぐむシル。そして僕の後ろに隠れる。


「そんな姿もかわええな~」


 そしてまったく反省する気ゼロのライ。


「どうしたです~?」

「…………うるさい」


 シルの声を聞きつけてサクミとティーがやって来た。遅いだなんてツッコミはなしだ。しかし、この二人はちょっとまずい気がする。


「二人もかあいい~!!」


 案の定ライが二人に抱きつく。そして二人はシルと同じ道を辿った。


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