第十三話 掃除の続き
女装で街を歩くという拷問を終えて帰宅。一時間くらいでそんなに時間はかかってないので掃除の続きをする。女装道具は捨てた。もう二度と女装などしてたまるか。
その時その女装道具をティーが回収していたことなどこの時の僕は知る由もなかった。
「さて、続きやるぞ~」
「お~!」
そんなわけで掃除の続きだ。引き続き物置の中にあるものを出していく。日に当てても大丈夫なものはそのまま天日にさらし、駄目なものは家の中へ。二時間後ようやく全てのものが物置から出た。
「へ~物置の中ってこうなってたんだなすっかり忘れてた」
「お兄ちゃんすっかりって忘れてたって」
「ああ、すっかり忘れてた」
あれ、シルなんか呆れてないか?
「何年掃除してないんです?」
サクミが聞いてきた。えっと、確か最後にしたのが あのあとだから……。
「五年位前かな」
「ドン引きです」
ちょ、それ酷い!! ってそれなんかのパクリじゃないか? 駄目だ思い出せない。
「うわああああ!!」
その時悲鳴が聞こえた。美鈴のようだどうしたんだ?
「Gアル!! Gが出たアル!!」
ああ、Gね。わからない人はいないと思うが一応言っておこうゴキブリのことだ。
「任せろ!!」
どうやらエミが退治するようだ。
モクモク
あれ何か煙たいって!!
「エミ、こんなとこでバ○サン炊くな!!」
「う~わ~!!」
「しみるです~」
急いで物置の外にでて避難する。
「なにしとんだお前は!!」
「わりぃわりぃ。まさか一気に十個使ったらこんなことになるとは思わなくてな」
「おいおい」
やばいんじゃないかこれ。なんか軽く火事が起きたみたいになってですけど。
「あっはっは~やりすぎたか~」
「笑い事じゃないですよ!! どうしてくれんです!!」
サクミが洗濯物をさす。うわ、本当だ大変なことになってる。洗い直しか~はあ~。
「だから、悪かったって」
エミは謝るがサクミはかんかんだ。
「サクミ、エミも悪気があったわけじゃないんだ許してやってくれ」
「む~、わかりましたです。でも、次はないです」
これでこっちの方はいいな。
「次はこの野次馬を何とかしないとな」
いつの間にかご近所さんが集まってきていた。
「あうぅ、いっぱい来てるよ~」
その後何とか事情を説明し事なきを得た。まあ、嬉しい誤算としてはバ○サンのおかげで虫がいっさいでてこないことか。
「じゃあ、私ははわきますね」
「ああ、キク頼んだ」
物置内のホウキがけをキクに任せ僕は中にあった物の整理をすることに。
「…………」
「ティー何をしてるんだ?」
確認しようと物の置いてある場所に行くとティーが狸の置物を抱えて座っていた。
「気に入ったのか?」
コクリと頷くティー。
「なら、やるよ」
「……いいの?」
「ああ、その代わり大切にしてやってくれよ」
再び頷いてティーは自分の部屋に置きに行った。
「さて、整理するかな」
いろんなものがあった。本当に自分が持っていたものかわからないようなものまである。
「小学校の教科書か」
さすがにもう使わないし使う機会もない。時には捨てることも必要だ。これからは特にな。
「捨てるかリサイクルだな。…………ごめんな」
束ねて紐でくくる。そして脇に丁寧に置く。
「さて、次だ」
中学の教科書。
「これもだな」
同じように紐でくくって脇に置く。
「おっ! 皿発見」
いったいいつ買ったのかわからないが綺麗な皿が箱に入っておいてあった。
「美鈴いるか?」
「何アルカ?」
「これを台所に持って行ってくれるか。一人で持ちきれないなら他の奴にも頼むけど」
「大丈夫アル」
両手で箱を持ちさらに器用に頭でも持っている。物凄い心配なんだが。
「気をつけてくれよ」
「わかたアル」
台所へ向かう美鈴。思わず耳をすませる。
「さてと」
他には何があるかな。五年前にも一度整理はしたのだがどうやらあまり意味はなかったようだ。五年前だからよく覚えていない。