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モノもち  作者: テイク
第一章 現れるモノ
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第十話 ラジオ現る

 また、今度はすごいのが出てきたな。ゴーグルが顔のほとんどを覆っていてその表情はまったくわからない。ちなみにゴーグルはとある○術の○書○録に出てくるクローンの御○妹のかけているアレの真っ白バージョンだ。よく似ている。


「…………最後まで……ありがとう」


 澄んだ小さな声でそういった。


「あ、ああ」

「…………」

「えっと、名前だよな」


 なんにしようかな。


「そうだなお前はティーだ」


 正直なんとなくだ。


「…………了承した。マイマスター」

「それで少し聞きたいんだけどそのゴーグルは何のためにしてるんだ?」

「………………目隠し」

「目隠し?」


 何で目隠しする必要があるんだよ。それじゃあそのゴーグル役に立たなくないか? そう聞こうと声を出そうとすると。


「目が見えないから」


 とティーは言った。僕は声になんて出していない。心でも読めるのか?


 コクリ


 ティーが頷いた。


「……それって能力か?」


 再び頷くと――。


「…………ラジオだから受信して……聞かせるのが仕事……だから」

「そうか」


 やはりモノたちは擬人化すると能力が上がるようだ。まあ、あまり人に害はなさそうなので気にしないでおこう。


「なあ、顔見せてもらってもいいか?」


 盲目なのには驚いたが口元とかで判断するに結構可愛いと思う。一度はみておきたい。


「…………それは命令?」

「命令じゃないよ。お願いだよ」

「………………了承」


 ゴーグルに手をかけるティー。そしてそれをはずした。


「…………」


 この三点リーダーは僕。ゴーグルを取りあらわになった淡い紅色の瞳が僕を見つめる。全体を見たティーの顔はどこか儚げな美しさがあった。純粋に綺麗だと思った。


「…………どこか変?」

「いや、変じゃないよ。綺麗だと思うよ」

「…………そう…………もう、戻していい?」

「ああ」


 ティーがゴーグルを元に戻そうとする。少し名残惜しいというか残念だな。


「…………ゴーグルはないほうがいい?」

「そうだな。ないほうがいいかもな」


 盲目だけど見た目じゃわからないし。


「…………そう」


 ティーは戻しかけたゴーグルを首にかける。重くないのだろうか。


「………………いい?」

「ああ」


 でも、やっぱり顔は見えてたほうがいいな。


「…………そう」


 表情は変わらないが喜んでいるのがわかる。


「おう、透終わったみたいだぜ!」


 エミ再び登場。お説教は終わったようだな。


「あと、時間がなかったから昼は美鈴(メイリン)が作ったぜ」

「ああ、悪いな」


 そこでエミがティーに気がついた。


「お! また新入りじゃねえか」

「ああ、ティーっていうんだ」

「そっかそっか、あたしはエミだよろしくな」

「…………よろしく」

「それにしてもけったいなゴーグル持ってんだな。なんだそりゃ?」


 なんと答える気だろうか。もう、目隠しとは言えないし。てかさっきまでのは目隠しでよかったのか?


「…………趣味」


 趣味にしたようだ。


「へ~いい趣味してんじゃん」

「…………そう」

「さてとじゃあ、下行くか」


 下に降りる。中華のいいにおいがする。


「………………いいにおい」


 ティーは視覚がない代わりに他の感覚が強いからよくわかるだろう。


「アイヤー。透さん悪いけど昼は作ってしまたアルヨ」

「ああ、いいよ。正直な話助かる」

「そう言ってくれると嬉しいアル。そっちの子は新入りアルか?」

「ああ、ティーだ」

「ワタシ美鈴(メイリン)ネ。ヨロシクアル」

「…………よろしく」


 リビングに入るとソファーの上でシルとサクミが落ち込んでいた。


「大丈夫か二人とも?」

「あうううあ、キクおねえちゃんが怖いよ~」

「お、怒らせないようにするです」


 キクに色々トラウマを植えつけられたみたいだな。


「まあいい。ほら二人共新入りのティーだ」

「…………よろしく」

「よろしく~、あ~また増えてるよ~」

「またですか!! わたしが出てきたあとにすぐですか!!」

「歓迎してあげろよ!!」

「冗談です~」

「そうか?」

「そうです~」


 う~ん、大丈夫か? 冗談にまったく聞こえなかったぞ。


 トウカがリビングに入ってきた。


「知らない子がいる。どこからさらってきたの?」

「さらってない!!」

「じゃあ、誰?」

「元ラジオのティーだよ」

「そう、ワタシは元冷蔵庫のトウカ。よろしく」

「………………よろしく」


 そのままトウカはソファーへ。


「あらあら、またにぎやかになりましたね」

「ああ、キク。何か機嫌がよさそうだね」

「ええ、うふふ」


 ああ~ストレスたまってたのかな。


「と、とりあえず食事にしよう」

「そうですね」


 サクミとティーを加えさらににぎやかになった食卓で昼食を食べた。


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