表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
モノもち  作者: テイク
第一章 現れるモノ
10/44

第八話 洗濯ばさみ現る

 翌日、キクと供に洗濯物を干していた。キクは、掃除洗濯など物や場所を綺麗にすることに関しては右に出るものがない。擬人の二名さんは得意分野がはっきりしている。元がモノだからだと思う。ま、それが何かはそのときにならないとわからないんだけどな。


「キク、洗濯ばさみとってくれ」

「はい」


 キクが洗濯ばさみを差し出す。


「ありがとう」


 それを受け取り洗濯物につけようとした瞬間――。


 バキィ


 ――持つところ(?)が折れた。


「…………」


 はい、もうみなさんお分かりのお約束。


 刹那洗濯ばさみが光り輝いた。咄嗟に洗濯ばさみを離す。


 現れてのは茶髪をツインテールにした少女が居た。


「最後まで使ってくれてありがとうです」


 少女はそう言った。


「え~っと一応聞くけど洗濯ばさみ?」

「はいです」

「そうか」


 やはりまた一人増えてしまったようだ。


「それで、名前をくださいです」

「ああ、そうだな」


 何がいいだろうか。洗濯ばさみだから…………。


「よしじゃあ、サクミだ」

「サクミですか。どこかいい加減な感じがするですがまあ、いいです」

「うぐっ!」


 確かに安直過ぎたか。まあ、気に入ってくれたならいいだろう。


「じゃあ、みんなに紹介するか。サクミ、まず僕の隣にいるのが元ホウキのキクだ」

「よろしくお願いします」

「よろしくです」

「じゃあ、他の連中に紹介するから行こう。キク、悪いけどあとは頼んだ」

「はい。わかっています。あとは任せてどうぞ」


 洗濯物干しをキクに任せて家の中へ。


「あ~お兄ちゃん~。洗濯終わ――あれ~? その子だれ?」

「今紹介するよ。シル」

「うん」


 頷くシル。


「この子は元洗濯ばさみのサクミだ」

「またー!!」

「サクミですよろしくです」

「うう。よろしく」


 さて次だな。キッチンに向かう。エミと美鈴(メイリン)がいた。


「アレ、透どうしたアル?」

「どうしたんだ?」

「ちょっと新人を紹介しようと思ってな」

「アイヤ、後輩アルカ? うれしいアル」


 美鈴(メイリン)は嬉しそうだ。


「パシリには使えそうか?」


 エミが言う。パシリにする気なのかよ。


「やめろよそんなこと」

「冗談だよ」


 本当にやりそうなんだよ。


「まあ、とりあえずサクミ――あれ?」


 …………サクミはキッチンに入って来てなかった。


「お~い、サクミ~!」


 呼ぶと、サクミは顔を出した。顔だけ。


「なにやってんだサクミ? こっちこいよ」

「危険な感じがするです」

「…………」

「ん? どうした?」


 視線がエミに集まる。わかる気がするな。さっきの発言を聞いた限りでは。


「特にそっちの赤毛からは危険な匂いしかしないです」

「しかし、そこにいたら紹介できないし。出て来いよ。大丈夫だよ」

「いやです」


 即答された。


「どうするかな」

「透さん。任せるアル。伊達に長生きしてないアルヨ。子供の扱いとても得意ネ」


 そういった美鈴(メイリン)はチャイナ服の袖からアメを取り出した。何でそんなの持ってるんだよ。


「!!」


 サクミがじっと見つめている。


「もっとあるアル」


 もうひとつアメを取り出す美鈴(メイリン)


「あう」


 サクミがほしそうな顔をしてじっとアメを見つめる。行こうか行かないか迷っているみたいだ。


「まだあるヨ。アメが嫌ならチョコもあるアル」


 アメとチョコが出てくる。一体何個持ってるんだ。


 ゆっくりとサクミが出てきて美鈴(メイリン)に向かう。


「はい、どうぞアル」

「…………もきゅもきゅ」


 もきゅもきゅ食べ始めた。


「どうアルか?」

「…………おいしい」

「それはよかったアル」

「………………ありがとです。いい人です」


 餌付けされてるぞサクミ。


「ワタシ、美鈴(メイリン)アルよろしくアル」

「サクミです。よろしくです」


 これで美鈴(メイリン)とは打ち解けたなあとは問題のエミだ。


「おう、お前が新入りか」


 エミが近づいていくがサクミは美鈴(メイリン)の後ろに隠れる。


「あ~」


 頭をかきながらどうしようか考えるエミ。


「よし」


 お、何か思いついたみたいだ。


「コイツがどうなってもいいならそのままでもいいが」


 エミが僕を抑える。


「おい!」

「いいからいいから」

「よくねえよ! もっと酷いことになるよ!」

「まあ、いいって」


 サクミを見ると。


「ひ、人でなしです。あ…………どの道人ではなかったんですね。これはみんな人でなしです」


 変な納得をしていた。


「っと、そういうことじゃないです。早く透さんを離すです」

「あ~、離す離す。だからそっちも出てきてくれよ」

「わかりましたです」


 サクミが前に出る。


「悪かったな透」

「いや、いいがどうするんだ?」

「ん? こうする」


 取り出したのはお菓子詰め合わせ。


「お前もかよ」

「いい人です」


 お前もお前だ。サクミ餌付けされるな。


「はあ~。まあいいか」


 本人たちが納得してるんなら。


「さて、あとはトウカだけだが、今どこにいるんだ?」

「ここ」

「うわ!!」


 いきなり後ろから声をかけられて驚く。


「お前どこにいたんだよ」

「……ずっとここにいた」

「そ、そう?」


 気がつかなかった。


「…………」


 トウカがサクミを見る。


「…………トウカ」

「え? あ、はい、サクミです」


 名前だけ言ってトウカはさっさとソファーに座ってテレビを見始めた。もう、何も話を聞く気はないらしい。


「おかしな人ですね」

「言うなよ」


 それだけは言ってはいけない。


「まあでも、ここの人たちは楽しそうです。いい人も多いし」

「そうだな」


 お前の判断基準はおかしい、そういいたかったがいえなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ