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解釈違いです、公爵様!〜予見を理由に婚約破棄されたので、推しと一緒に汚名返上の旅に出ます〜  作者: 河津田 眞紀@第一回Nola原作大賞早期受賞×2作


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23. 夢からの目覚め



「――ん……」


 瞼に朝日の光を感じ、私は目を覚ました。


 ここは……どこだっけ。

 あぁ、そうだ。メイプルグマの巣穴で、一緒にお昼寝をしているんだった。

 なら、もう少し眠っていよう。

 あったかくてふわふわな、クマの胸に抱き付いて――


 ――と、抱き付いた私の頬に、平らで硬い感触が当たる。


 ……あれ?

 クマの胸って、こんなにゴツゴツしていたっけ?



「ん……?」


 重い瞼をなんとか開け、うっすら前を見てみると……

 

 そこにあったのは、クマのふわふわな胸ではなく……

 厚くて逞しい、ウェイドの胸板だった。


 ……って?!


「っ……?!」


 抱き付いていた手をバッと離し、私は目を見開く。

 心臓が、自らの仕事を思い出したかのように早鐘を打つ。


 なんで……どうしてウェイドが、私のベッドに?!


 言葉が出ず、唇を結ぶ私に、ウェイドはいつも通りの無表情で言う。


「目が覚めたか。おはよう」

「お、おはよう、ございます……」

「熟睡していたようだが、少しは疲れが取れたか?」

「え、えっと……」


 彼と話しながら、脳が次第に覚醒してゆく。


 ……そうだ。昨晩、強盗を名乗る男に襲われて……

 私を護衛するために、ウェイドが一緒に寝てくれたのだった。


「お、おかげさまでよく眠れました……ありがとうございます」

「ん。そうか」


 と、横向きに寝そべったまま言うウェイド。

 同じベッドの中で、こんな近距離で添い寝をしていて、私の方は心臓バクバクなのに……


(なんでこんな涼しい顔でいられるの?! もしかして、女性と寝ることに慣れている……?! それとも単純に私が子供扱いされてるだけ?!)


「う……ウェイドは、よく眠れましたか?」


 内心の荒ぶりを隠すように、そう尋ねてみる。

 すると、ウェイドは……少し間を置いてから、


「……いや、眠れなかった」

「え?! な、なんでですか……?」


 聞き返す私に、ウェイドは手を伸ばし……

 私の髪を、さらりと撫でて、


「さぁ……なんでだろうな」


 と……

 低く、囁くように言った。


 ま……ままま、待って。

 私、なんで髪を撫でられて……?!

 それに、この優しい目……胸の奥がきゅんきゅんして、直視できない……!


 っていうか、なんか、空気が甘い……?

 私たち、昨日の夜、本当に何もなかったよね……?!


 恐らく真っ赤になっているであろう顔を、ぴくぴく強張らせていると……

 ウェイドは、髪を撫でる手を止め、こう言った。


「強いて言うなら……君がこうして寝癖を作るくらいに、暴れてくれたからだろうか」


 ……え。

 それって、つまり……

 私の寝相が酷すぎたせいで、ウェイドは眠れず……

 今、髪を撫でられたのも、ただ寝癖を直してくれただけ……?


 ……す、


「すみませんでした! 私のせいで、ウェイドの睡眠を妨害してしまって……!! 次からは動かないよう縛ってもらって結構です!!」


 バッと起き上がり、私はベッドの上で土下座した。

 あぁ、なんて恥ずかしい……どこが甘い空気だ、私のバカッ!!


 彼の顔を見ることができず、ひたすらに頭を下げていると……

「ふっ」と、彼が息を溢すのが聞こえた。


(……あれ? 今、笑った……?)


 恐る恐る、顔を上げると……ウェイドは変わらぬ無表情のまま私を眺め、一言。


「……冗談だ」

「えっ?!」

「あいにく、女性を縛るような趣味は持ち合わせていない。君の寝相にも問題はないから……()()()()安心して眠るといい」


 ……しまった。私……

 勢いに任せて、「次からは」とか言っちゃった……!?

 これじゃあ、今後も共寝する気満々みたいじゃない!


「いや、今のはその、言葉の綾で……!」

「それと、君の小さな友達は外に出ている。夜が明けるなり窓をつつき、出たがっていたから解放した。どこで何をしているかは知らないが……その内戻って来るだろう」


 淡々と言うと、ウェイドは起き上がり、ベッドを降り……


「出発前に朝食を食べよう。準備ができたら廊下に来てくれ。君の荷物を運ぶ」

 

 そうして、ドアの方へ歩いてゆき……部屋を出て行った。


「………………」


 ……心臓が、まだ速い。

 結局、ウェイドは……なんで眠れなかったのだろう?


 ぺたんと座り込んだベッドには、まだ彼の温もりが残っていて……

 もう一度、恥ずかしさをふつふつを感じていると、窓が「コンコンコン」と鳴った。

 ピノが窓をつつき、「開けてー!」と叫んでいた。



 

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