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「千春……」
「どうしたの?」
「悪化したのかと……」
「そう言えば先生が忙しそうにしてたわ」
医者が急いでた患者は千春じゃなかったらしい
体調は相変わらずらしいが横になりながら俺の名前を呼んだ
「千春、話がある」
何となくだけど…このまま俺が居なくなったらいけないような気がする
「嫌」
「千春」
「だって良い話じゃなさそうだもん」
「……俺は生きてるんだ」
嫌と言われて、顔を背けられたけど俺は話した
予感だけど…もうすぐ俺はもうすぐ居なくなる
この頃なかなか姿を現せないし、手足が透けてる様な気がする
生きて目覚めるのか、そのまま眠りにつくのか分からないけどでも……ちゃんと千春に話さないと
「……何それ」
「だから俺は幽霊じゃないんだよ千春が死んでも俺は居ない」
「…………」
「生きてるって……」
背けてた顔をやっと向けてくれた
「生きてるって言っても眠ってるけど死んで無いから…だから千春」
「解ってるわよ!だけど来斗は全然解ってない…死ぬのが怖くないわけないでしょ?何か理由が欲しかった…死んでも大丈夫って思える事が……」
「千春」
「来斗が待っててくれるかもって思えば…少しは怖くなくなったの」
死ぬ事が怖くないなんてない
少しでも和らげる材料を千春は探したんだ
それが俺
それなのに…
「怖いよ…私だって…」
「俺もだ」
「…………」
ベットの枦に座ると千春は体を起こした
「本当の事を思い出して……このまま消えてしまうかもって考えたら」
「……来斗……手……」
俺の透けてる手を見て千春が泣きそうになる




