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お母さんの退院がもっと先だったら飛鳥には頼らないで探したかった
「時間って…」
「お母さんが退院したらこの思い出した事をまた消されちゃう」
「だろうね……私だって…消したいくらいの出来事だったもん」
「…………」
「弥生アンタ……大丈夫なの?」
「…………」
自分だっていきなり10年前の事を聞かれて気分は良くない筈なのに飛鳥は私を心配してくれる
飛鳥は私が全部思い出したと思ってるんだ
「……大丈夫だよ」
ごめん、飛鳥
私は全部は思い出してない……と思う
「それならいいけど……来斗君の病院?」
「そう手術して成功してから転院した病院が知りたくて…」
「ちょ……ちょっと……転院って……何?」
「えっと……引っ越しする筈だった場所の病院?」
「………来斗君って生きてるの?」
「え?」
飛鳥は首を傾けたまま考えてる
「だって……あの事故だよ?来斗君には悪いけど… 私はずっと弥生の病院に行ってたから………成功したの?」
そうか、飛鳥は直ぐ転院した私の病院に来てくれてたんだ
だから来斗君のその後は知らないんだ
「うん……病院で聞いたのその後、転院したみたい…だから今もちゃんと生きてるって確信はまだ無いけど」
「そうなんだ……私てっきり……そっか」
「飛鳥っ……大丈夫?」
廊下の壁に寄り掛かってた飛鳥はズルズルと床に沈んでいく
「大丈夫……なんだ成功してたんだ……知らなかった」
「…………」
「成功してたら教えて欲しかった!ずっとさ……この辺?シコリが有ったから」
少し笑って胸を抑えながら言う飛鳥に私は頷いた
「飛鳥……ごめんね」
「…………」
「飛鳥はずっと覚えてたのに」
辛い記憶を
「……でもさ弥生が調べなきゃ今の事実は知らないままだったでしょ?」
「……」
「私もごめんね、告白して来いとか……言わなければ事故も無かっただろうし弥生が傷付く事もなかったのにさ」




