78
「婦長?」
「知らない?」
「知らねーよ、本当に千春の病室にずっと居たから……今更だけど……呼んだのって」
「その婦長さんと話して少し過去が見えたの」
「…………」
「あのね、来斗君は生きてるかも知れないの」
「……俺が?」
10年前の来斗君の手術が成功してこの病院を退院した事
引っ越したからそれからの事はまだわからないから『絶対に今も生きてる』とは言えない事も話した
「だから、転院した病院を探そうと思って……って……何でそんなに嬉しくなさそうなの?」
さっきから来斗君の顔は難しい顔してる
「転院したのに何で俺はこの病院に縛られてるんだろうな」
「それはこの病院に運ばれたからとか……大きな手術をしたからとか想い出深いって言うか……」
「死にそうな人間が想い出深いとか考えるか?」
確かに
「とにかくもう少し待っててよ、私…」
「あのさ……」
「ん?」
「もういいや」
「え?」
何?
何がもういいの?
「探さなくていいよ……弥生は…」
「何言ってんの?生きてるかも知れないんだよ?探さないなんて」
「でも……探して良い結果だって保証はないだろ?弥生だって辛いはず……」
「向き合うって決めたのっ……決めたんだから…!」
「おい、弥生!」
「嘘つき……」
走って病院の外に出でベンチに座る
此処なら来斗君は追ってこれないし…私の考えも読めないはず




