76
掛けられた声がする方向に走り出す
普段の私なら絶対にしない行動だ
「弥生」
「捕まえた…やっと!」
触れる事を良い事に腕を掴んだ
来斗君はビックリしてるけどそれ以上に自分が驚いてる
「なんだよ…そんなに会いたかった?」
「……会いたかったよ」
意地悪そうな顔をする来斗君を見て素直に告げる
「…………」
「……これくらい言えるんだから…」
「なんか素直な弥生は変な感じ」
「何よ…折角……そうだ、千春ちゃんっ…幽体離脱みたいで…目の前で消えてたの!」
来斗君に会えて一瞬忘れてしまった
腕を引っ張って人が来ない非常階段に移動して起きた事を話す
「落ち着けよ…文章になってねーよ」
「だから……」
「大丈夫だよ」
「大丈夫?」
「千春なら、ちゃんと生きてる…弥生の言う通り 幽霊じゃなくて幽体離脱みたいなもんだな…」
「…やっぱり…?」
自称幽霊が違うって言うんだから幽霊じゃないんだ…良かった
「あぁ」
「でも…千春ちゃんが幽体離脱してたの知ってたの?」
なんか来斗君、話が通じるな
私のさっきの説明で理解出来るはずないもの
「千春の傍にずっと居たからな」
「……」
そうか……そうだよね…ずっと傍に居たんだよね
「千春の体がいきなり浮いたと思ったら歩いて部屋を出で行った」
「来斗君には?」
気付かなかった?




