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「…………」
「病室に戻ろう?」
「大丈夫よ」
「何が?」
千春ちゃんの近くに行き腕を掴もうとすると振り払われる
「ベットにちゃんと居るから」
「は?」
「ベットにちゃんと私は寝てるから平気よ……最初は死んだのかと思ったんだけど機械もちゃんと動いてるし息もしてたわ」
「…………」
「これって来斗と同じ状況なのかも…」
『ペアルックみたい!』と嬉しそうに言う千春ちゃんの肩に急いで触れ様とした
スッ……
触れない、手は肩をすり抜けた
「触れない……えっ…と…千春ちゃん……って……!」
「触れない幽霊なんて普通でしょ?…来斗が珍しいのよ」
言いながら千春ちゃんは私の腕をスカスカ行ったり来たりさせる
「…………」
幽霊……ちょっとその言葉を避けてたけど……
本当に幽霊かよ
「また……幽霊なの……なんでまた視えるの」
「知らないわよ、体質なんじゃないの?」
「千春ちゃん、落ち着き過ぎだよ!もっと焦ろうよ?と言うか戻ろうよ?」
幽霊って言うより…千春ちゃんは生きてるんだから…幽体離脱なんじゃ
幽体離脱ってあまり本体から離れてると戻れなくなるって聞いたような気がする
「嫌よ、やっと自由に動けるんだから…来斗を探したい」
「駄目だよ…戻ろう!ね?」
千春ちゃんの腕を掴んで歩こうとして触れられない事に気付く
あぁ……もどかしい!
「会いたいんだものっ……」
「…………」
「弥生みたいに何処にでも気軽に行けないんだから……いいでしょ…せっかく動けるんだから」
「動けるって……その身体は…」
気持ちは前より解るつもりだけど千春ちゃんの事考えたら戻らないと
「解って欲しいなんて思わないから」
「千春ちゃん……え……?」
「何よ……あ……透けてる?」
目の前の千春ちゃんの姿が徐々に透けていく
「千春ちゃん……」
「どっちかな…このまま消えるのかな?戻るのかな」
慌てる事もなく消えていく自分の手を見てる
「消えるって……千春ちゃん!」
淡々と言いながら千春ちゃんの姿は目の前から消えた…
『このまま消える』
まさか……消えたりしないよね?
「…………」
急いでエレベーターに乗って小児科に行く
小児科病棟に着いて廊下を歩くといつもの様に子供達の泣き声や笑い声が聞こえた
何か……緊急っぽくないから…何もなさそうだよね…?
会えるかわからないけど千春の居るICUに向かう途中に聞きたかった声で名前を呼ばれた
「弥生」
「……来斗君!」




