57
「最初、弥生とぶつかった時は少しだけ思い出した…それからドンドン思い出して 」
「全部?」
「あぁ、自分が交通事故に遭った事も……でも何で……今、此処にいるのかはわかんねー」
「じゃあ最近なんだね……幽霊になったの」
「まぁ……そうかな…でも弥生には感謝してるよ」
「感謝?何で……私に」
恨まれる事はあっても感謝なんて
「弥生とまた会えたから思い出せたし…あのままだと自分が誰かもわからなくて辛かったと思うしさ……まぁ、あまり思い出しても良い事じゃなかったけどな」
やめてよ……そんな風に笑わないで
来斗君が切なそうに笑う姿……凄く辛いよ
「………」
「あ、良い事もあった」
「何……?」
駄目だ…来斗君の目を見れない
「弥生を好きだったって事」
「………」
また手の温もりを頬に感じた
来斗君
「泣くなよ…」
「泣いてない」
「すぐわかる嘘つくなよ」
私の涙を拭ってくれる……涙まで拭えるのか……本当に幽霊らしくない幽霊だよ
「……探すよ」
「は?」
私は来斗君の事…過去から逃げてた。記憶を消して
「このままじゃ駄目だもん…来斗君が此処を動けないなら私が調べるから」
「調べるって」
この町から引っ越した来斗君だけど、何か手掛かりがある筈
「来斗君の事、私が探すから…幽霊になったのも最近なのも気になるし…待ってて?」
「弥生」
お母さんの事で来斗君に会ったのもきっと私のチャンスだと思う
『お母さん…もうすぐ退院するからまた病院に行き ましょうね?』
「私……ちゃんと向き合うよ」




