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「そんな事無いわよ、起こる事を想定して考えてるのよ……ねぇ、来斗君」
「ん?」
「何で今なのかな?」
「え?」
「私のお母さんがこの病院に入院しなかったら…私、来斗君に会ってなかったよね?」
お母さんが骨折して…お兄ちゃんじゃなくて私を指名しなかったら
「かもしれない……あのさ弥生」
「何?」
「正直…俺がなんで此処に居るかわかんないんだ」
「え?」
「俺がこの病院にいる事が俺がわからない」
少し困った顔で髪の毛を掻き上げる姿は嘘を言ってる様には見えない
「えっと…何で……此処に居るか解らないって事?」
「あぁ」
「だって…千春ちゃんは?仲良しじゃない」
とても2人の仲はここ最近のやり取りじゃない
「……気付いたらこの病院にいて…看護師に話し掛けたんだけど無視されて…パジャマ着てるんだぜ?どう考えても入院患者だと自分は思うから何回も話し掛けたんだけど…」
「全部無視?」
「手当たり次第声掛けたけど駄目だった…取り合えず子供だから小児科に行ったんだ……そしたら千春と会ったんだ」
千春ちゃんと……
「………」
「千春に聞こうかと思ったけど…千春は重い病気みたいで俺の事なんか言ったら余計な心配掛けそうで」
『気付いてたわよ』
「千春ちゃん…気付いてたよ?」
「だよな、この病院に長くいる千春が知らない子供の患者なんていないもんな…でも敢えて話さなかった」
「………」
「自分で探そうと思ってたら…弥生に会ったんだ」
「私に……でも、私の事…」
来斗君は私だって…
『アンタって…お前相変わらず口悪いな』




