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「あのねぇ……」
「俺が悪いんだよ…今だって…俺が悪い」
「来斗君?」
抱き締められてた温もりが急に無くなる
来斗君は私から離れて寂しそうに笑う
「俺がもっと勇気を出して性格がひねくれ捲った弥生に告白してたら…」
「性格がひねくれ……悪かったわね!」
告白って言葉が霞むような事をなんで
「ひねくれてたろ?でも俺も子供ながらに見栄があってさ……弥生に勝ってから言いたくて」
「……」
「でもちっとも勝てなくて俺本当に弱くて」
「そんな事」
「なくないだろ?」
「まぁ……」
「弥生は意地っ張りでひねくれてて…素直に言わなくて良い所だけ素直なんだよな」
さっきから……悪口みたいな事ばっかり
忘れそうになるけど来斗君は本当に告白しようとしてたんだよね?
「弥生に勝ちたくて勝ちたくて」
「よく、稽古終わっても残ってたよね」
「知ってたのか?!」
「ちょ!声大きいってば」
私の言葉が意外だったのか来斗君が身を乗り出した
「聞こえてねーよ…」
「あ……そうか……そうだね」
来斗君がどんなに大きな声を出しても幽霊の声は他の人には聞こえないんだ
……ちょっと待って!
それじゃあ……普通の生きてる一般人の私だけの声が廊下に聞こえてる可能性が
「…で、なんだっけ?」
「…何で急に小声なんだよ」
「来斗君は良いかも知れないけど私は困る事に気付いたのよ…1人で夜に誰も居ない病室で話す女の子……なんて巡回の看護師に聞かれたら………明日退院なのに出来なくなりそう」
「……弥生って創造力も半端ねぇな」




