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いつも怒ってばかりの癖に…心配?
「そうよ、意地っ張りで…我儘で……お兄ちゃんが何でもやるから黙って見てるだけの甘えん坊に育って…女の子らしくもなくて…これから先もずっと心配よ」
喧嘩売ってるみたいな言葉だけど言い方は凄く優しくて…最後は私の手を握って撫でてくれた
「お母さん…病院の看病に私を選んだのは?」
「少しでも家事や身の回りを世話出来る様になって欲しいからよ…ずっとお兄ちゃんと一緒にいるわけにはいかないでしょ…それにお母さんもずっといるわけじゃない…弥生よりは先に亡くなるしね」
「………」
ずっといるわけじゃない…
「あら、いつもなら反論するくせに…やっぱり頭痛い?」
「わからないから……人は…本
本当にいつ居なくなるかわからない…来斗君みたいに若くても…」
「………弥生、その事…」
ちらっと横目で視線を向けるとお母さんが驚いた様な顔をしする
「やっぱりお母さん知ってるんだ」
「どうして?貴女はその事…」
「どうやって私はこの記憶をなくしたの?何で…ずっと忘れてたの?」
こんなに大切な事を…
「『忘れてた』んじゃなくて『忘れさせてた』のよ…だから柔道なんて習わなければ良かったのよ……頭が痛くなったのは思い出したからよね」
お母さんは思い出す様に怒ってる
相手はお父さんだろう
「忘れさせてたって…どうやって…」
「大きくなるにつれて思い出すリスクは高くなるって言ってたけど…思い出さない事もあるから安心してたのに」
「お母さん…」
「催眠を掛けたのよ」
「催眠?」
仕方ない…という様にお母さんは話してくれた
「簡単に言えば、弥生の記憶を取り除いたのよ…あの子の事故の記憶を」
来斗君の…事故
私の柔道着を紅く染めたあの時の記憶




