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『弥生……ちょっと、何泣いてんのよ!』
飛鳥が胴着の裾で顔を拭いてくれる
『飛鳥…来斗君もう来ないって』
『あぁ、転校するみたいね…それで泣いてたの?』
それで…私は泣いてたの?
『胸がチクチク痛くて…苦しいの…』
『あはは、だろうね~いつも喧嘩腰だったけど、やっぱり弥生って来斗君の事が好きだったんだね』
『………』
好き?
私は来斗君が好きなの?
だから泣いてるの?
胸がチクチク痛くなるの?
どうしよう…頭の中がパニックだ
『それで?そうやってちゃんと言ったの?』
『………』
首を横に振ると飛鳥がまた聞いてきた
『じゃあ何話したの?来斗君アンタと最後に話すって言ってたわよ』
『叩きのめす相手が居なくなるとつまんない…って言った』
『何それ!最後まで性格捻れてるわね!可愛くない』
可愛くない…本当にそうだ…私って何でそんな事しか言えないんだろう
突っ張ってそれで後で後悔するんだ…いつも
『早く行きなさいよ』
『飛鳥?』
地面に目線合わせる様にずっと下を向いてた私の体が前に押された
『来斗君に今の気持ちちゃんと言ってきなさいよ!後で後悔するわよ』
『…私って…来斗君の事好きなのかな?』
『バカ!胸が痛くて泣いてる癖にわかんないの?ほら、行きなさい…取り合えずその事だけは伝えなよ』
『うん…そうだね…行ってくる!』
弥生に背中を押されて私は来斗君が帰った方向に駆け出した
運動神経なら自信があるし来斗君より私は足が速い
追い付けるかな?
来斗君が好き……そうやって考えると何だか恥ずかしい
これが好きって事なのかな?
そう思うとさっきまでのチクチクがなくなった
町で一番大きな交差点ここなら信号が長いから…居るかも知れない
『来斗君!』




