40
『弥生!勝負しようぜ!』
『……来斗君』
『なんだよ』
『来斗君にはこんな暑苦しい柔道なんて似合わないよ…顔可愛いのに…ピアノでもしたら?』
『………』
『良い提案だと思わない?それに来斗君そんなに強くないんだし』
『弥生……』
『顔可愛いんだから『俺』じゃなくて『僕』の方が……来斗君?』
『弥生……お前より強くなったら俺の言う事聞け!』
『は?なんで……』
『いいから!』
『……いいよ、来斗君が私より強くなるなんて…あり得ないから』
「思い出した」
あまり思い出したくない記憶だけど思い出した
本当に私って……口悪かったなぁ
ま、だから『相変わらず』って言われたんだろうけどさ
「………それから直ぐだっけ?」
来斗君が道場に来なくなったの
私が来斗君を忘れてたのも小さい時だからって言うのもあるけど来斗君と一緒に居た時期が短かったからだ
来斗君はどうして来なくなったんだっけ…?
転校したんだっけ?
「………」
お母さんやお兄ちゃんに聞いても無理だよなぁ…お父さんなら……知ってるかも知れないけどもう居ないし
私は部屋にある仏壇を見つめる
「お父さん……ん?」
少し感傷的になってる私を現実に呼び覚ます様に着信が鳴る
……飛鳥だ。




