第9話:ケタ外れの潜在能力
ついにトムくんも…!
グリフォン王国の王女であるユリアを放置し、近くまで来ている護衛達に後を任せその場を離れるハルカ達。
森の中を歩いている最中、ハルカ達はユリアを助ける際に出会った少年トムの話を聞いていた。
トムはこの森の付近の街で、マリーも住んでいるジャスシティーの貴族フェザール家の長男であり、ジュネッス魔法剣術学園の魔法科の1年生でもある。
ハルカ「トムくんって貴族の子だったんだ!」
マリー「しかもあのジュネッスの生徒だったんだ! すごーい!」
トム「別にすごくなんかないさ。学園では落ちこぼれの1人として扱われてるし、相性で勝るはずの水魔法の使い手に負けることもあるからね。さっきのハルカさんとブレイジングオークの戦いのように」
ハルカ達にモテはやされるものの、やれやれと自分は彼女達が思うほどすごい存在ではないと視聴するトム。
メロス「いかに属性の相性であっても、魔力の高さで逆転されるケースもありますからね」
トム「でもそんな僕を家族はいつも励ましてくれるんだ! 特に父さんはね!」
自分の家族の話をし始めると、さっきまで暗めだったトムの表情に明るさが戻っていた。
トムはそんな家族の期待に応えるために、日々魔法の特訓に取り組んでおり、明日学園で行われる魔法使い同士によりトーナメント方式の大会・マジックバトルトーナメントにも出場するとのこと。
ハルカ「いい家族だね!」
メロス「えぇ、息子想いで素晴らしいです」
マリー「大会優勝できるといいね!」
トム「優勝は無理かもしれないけど、いい結果は残せるといいんだけどね」
そんなトムのセリフを聞き、ハルカはいいことを思い付いた。
ハルカ「トムくん、良かったら私をなでてくれない?」
トム「えっ!? 何急に!?」
ハルカは自分の体をなでさせ、トムの潜在能力も引き出そうとしていた。
これはただの同情や興味ではない。
さきほどのユリアを守るためにブレイジングオークに立ち塞がった勇敢さ、さらに暖かい家族の期待に答えたいという熱意を評してなでさせようとしているのだ。
だが当然のことながらトムはその申し出に驚いた。
マリー「ハルカちゃんはすごいんだよ! なでると潜在能力が解放されるんだよ!」
トム「潜在能力って、あの体の中に眠っている隠された力のこと?」
ハルカ「とにかくなでてみて! でもおっぱいとかはダメだよ!」
トム「それは分かってるから。じゃあ、あごをなでさせてもらうね」
トムは半信半疑で、ハルカのあごをなで始めた。
ハルカの心の声「あ〜、あごなでなでも最高〜♪」
猫人族に転生したことで、猫の要素を取り入れているため、あごをなでられ、かなり癒されているハルカ。
さきほどのマリーによる猫耳もみもみとは違った優しめの気持ち良さであった。
そんなハルカの頭に直接メロスの声が鳴り響いた。
メロス「ハルカ様の癒し度が上限に達したため、スキル:潜在能力解放が使用可能となりました! 対象人物に対して使用しますか?」
ハルカの心の声「YES!」
メロス「かしこまりました! 潜在能力、開放します!」
メロスの宣言と共に、ハルカとトムのいる方の地面に水色の魔法陣が浮かび上がり、トムの体は水色のオーラに包まれた。
トムの潜在能力の解放に成功した。
トム「信じられない!? 魔力がみなぎっている!」
マリー「試しにあの岩に向かって雷魔法を撃ってみてよ!」
トム「う、うん…。サンダーバレット!!」
マリーに頼まれ、トムは恐る恐る、指先から緑色に輝く針状の電撃エネルギー弾を、直径2メートル以上はある岩目掛け発射した。
なんと電撃エネルギー弾が直撃した岩は大爆発した。
岩の跡地には丸い焦げ跡と、粉々となった無数の岩のみが残っていた。
トム「………?」
ハルカ「うわ〜! トムくんすご〜い!」
トム「あのさぁ…1つ聞いてもいいかなぁ? あれ僕がやったの!?」
うん、そうだよ。
ハルカ「信じられないと思うけどね」
潜在能力が解放されて、その力に自分自身で驚いているトム。
ハルカ「あっ、そうだ! ステータスチェック!」
うっかり忘れていたハルカは、トムのステータスを再び調べてみた。
すると…
名前:トム・フェザール
種族:人間
性別:男
年齢:13歳
ステータスポイント
格闘術:120 剣術:108 槍術:56 射撃術:122 弓術:66 盾術:53
ステータスポイント(魔法)
炎:0 水:0 風:0 土:0 雷:157 氷:0 回復:50 テイム:54
ハルカの心の声「ひゃ、157〜〜〜!?」
ハルカは心の中で驚愕した。
何故ならトムが得意としている雷のステータスポイントがアルティメットクラスに軽く到達していたからである。
おまけに剣術に射撃も大幅にアップしており、格闘もマリーをやや上回っていた。
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