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第30話:ハルカ達のシェアハウス

 ジャスシティーの冒険者ギルド会長であるゲンから、ハルカ達へのプレゼント。

 それはジャスシティーの外れの森に佇む、大きな空き家であった。

 ようするハルカ達に共同生活をするためのシェアハウスをプレゼントされたのである。

 中はそこら中ほこりまみれではあるものの、部屋はいくつもあり、大きめのお風呂もあるため、ユリアを新たに仲間に加えたハルカ達が寝泊まりするには十分すぎるほどの広さであった。


 グリフォン城からジャスシティーに帰還したハルカ達は、ゲンからその空家のことを紹介され、さっそく家の中の清掃を開始した。

 ハルカ達は、ほうきや濡れ雑巾といった掃除用具を使い、ほこりやゴミを払い、汚れをキレイに拭き取っていった。

 ちなみにゲンも手伝っている。



バニラ「ミャ〜!」


マリー「バニラちゃんもありがとね!」


フェザーキャットのバニラは空を飛びながら、捨てる物を運び、みんなのサポートをした。



 より重めのゴミはノワが軽々と運んでくれた。


ゲン「お前さん結構力持ちだな! さすがは魔犬王だぜ!」


ノワ「褒め称えるのもいいが、所詮しょせん我は異世界人とその仲間達に敗北した身。その肩書きは撤回した方がいいのかもしれぬ」


などと渋く返すノワ。

 そんなノワに、ゲンはさらにこう言った。


ゲン「今さら何言ってやがる。お前さんもそんな異世界人の仲間だろ、今や?」


ノワ「確かにな」


 ゲンの励ましに、ノワはクールに微笑みそうつぶやいた。



 一方、王女であるユリアもそれなり掃除ができるようである。

 彼女曰く、勉強の合間に、掃除をしている使用人達を観察していたようである。


トム「さすがですね、ユリア様!」


ユリア「あのー、私のことは『ユリア』とお呼びしてください。敬語を使わなくて大丈夫です。私達、いつかは夫婦になるのですから」


 ユリアは顔を赤ながらそう頼んだ。

 対するトムは困ったような顔をするものの…


トム「夫婦かぁ…まだ心の準備がなぁ…。でもお言葉に甘えて、改めてよろしく、ユリア!」


ユリア「はい! こちらこそ改めてよろしくお願いします、トム様!」


トムに呼び捨てされ、ユリアは大喜びし、彼に抱きついた。


トム「だから急に抱きつくのはやめてって!」


マリー「みんな〜! またトムくん達がイチャイチャしてるよ〜!」


トム「だから誤解を生むのような言い方すんな〜!」





 一同が掃除を開始してから数時間後、家中見違えるようにキレイになり、いつでも寝泊まりできる状態になっていた。


ゲン「見違えたぜ〜!」


ハルカ「ゲン会長、こんな素敵な家をくれた上に、掃除まで手伝ってくれてありがとうございます!」


ゲン「いいってこと!」


マリー「そういえばお腹空いたな〜」


トム「そういえばもうお昼過ぎだね」


ハルカ「じゃあおととい行ったばかりだけど、モグでお昼にしようか!」


マリー「やったぁ!」


ユリア「いいですね! カフェ酒場モグには前から行ってみたかったのです!」



こうしてハルカ達は掃除した家を一旦後にし、昼食休憩のため、カフェ酒場モグへと向かった。


マリー「ちなみユリアちゃんはパンケーキはどれ食べる?」


ユリア「バター&メープルですかね!」


トム「あ、僕と同じだ!」





それから数日後、マリーやトム、ユリアはそれぞれの家族に一時的に分かれ、掃除したシェアハウスの前に集まった。


ハルカの心の声「結成したパーティーでシェアハウスに住む…異世界アニメでたまにあるパターンね」


などと心の中でつぶやくハルカ。


マリー「パパ達としばらく会えないのは残念だけど、これはこれはで楽しみだね!」


ユリア「私はトム様と一緒に寝たいですね!」


トム「それもまだちょっと…」


ハルカ「ともかくこの共同生活で、より私達の絆を深めていきましょ!」


ハルカの言うことに皆共感し、家の中に入っていった。

 こうしてハルカ達のにぎやかでほっこりとした共同生活が幕を開けた。

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